第34話

絵本というのは一つの世界である。

その一つ一つに人生やにゃん生やニンジン生がある。非力な主人公が力を合わせて相手に向かう物語。努力した結果よい未来が待ち受ける物語。悲しいことから嬉しい展開になる。大抵の物語が幸せ大団円となる。

今の私はどんな物語の途中なのか。その答えは担任にはわからなそうだ。

「私がどんな気持ちでいるかは知らなくていいです。優子が、いや、日野さんがいろいろ言ってたの知ってます。まずは聞いてください。」

「...わかった。話してください。」


「正直に言ってめちゃくちゃへこんでました。今までできないことを隠して、誰かにバレないように普通を演じられるようにすごく努力してきました。それを全て踏みにじられたような気分でした。だけど、今わかってきたんです。成績では勝負できないし、このままだと大学も低いランクのところしか行けなくなる。ましてや行く意味もあるのかって思うくらい。」

「うん。」

「私は考えたんです。今から字の勉強をするよりも、絵の勉強とか、違うことを勉強すれば良いって。」

「なるほど。」

「その、作品とか、よくわからないけど、何をしたかを残せれば、そういう勉強するところに行けるんじゃないかって思います。」

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