第34話
絵本というのは一つの世界である。
その一つ一つに人生やにゃん生やニンジン生がある。非力な主人公が力を合わせて相手に向かう物語。努力した結果よい未来が待ち受ける物語。悲しいことから嬉しい展開になる。大抵の物語が幸せ大団円となる。
今の私はどんな物語の途中なのか。その答えは担任にはわからなそうだ。
「私がどんな気持ちでいるかは知らなくていいです。優子が、いや、日野さんがいろいろ言ってたの知ってます。まずは聞いてください。」
「...わかった。話してください。」
「正直に言ってめちゃくちゃへこんでました。今までできないことを隠して、誰かにバレないように普通を演じられるようにすごく努力してきました。それを全て踏みにじられたような気分でした。だけど、今わかってきたんです。成績では勝負できないし、このままだと大学も低いランクのところしか行けなくなる。ましてや行く意味もあるのかって思うくらい。」
「うん。」
「私は考えたんです。今から字の勉強をするよりも、絵の勉強とか、違うことを勉強すれば良いって。」
「なるほど。」
「その、作品とか、よくわからないけど、何をしたかを残せれば、そういう勉強するところに行けるんじゃないかって思います。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます