第31話

「まあ小学校からの仲ですけど。ワタシにも知らないことはあります。だから話せることは少ないと思ってください。」

なぜか昼休みに呼び出しをくらい、職員室で向かい合っている。

先生用の椅子に座りお互いに向き合うが、目線は合わせないようにする。


「冬木さんが休んだり、顔を合わせなくなった理由を君は知っていますか?」

「特には知らないけれど、どうせ、先生が何かしたかと思ってます。」

はぁと息をはき、先生が話し始める。

「冬木さんだけ成績の順位から外した。そうしたら、文字が読めなくてものびのびと学べるのではないかと思ったんだ。」

「先生はそれで正解と思ってるかもしれないですけど、ふゆみんは悲しがってますよ。クラスから外されたって。今まで隠して生きていて、普通を装ってクラスに馴染もうとした努力を全部だめにしてんじゃん。」

「...そうか。本人が集中できると思ってやったんだがな。」

「それは違う。間違ってます。」

ふゆみんを守りたくて、言葉を続ける。

「自己満足じゃない?本人に確認取らないで、勝手にやって、勝手に決めつけて。どんだけ凹んでるか知らないでしょ。試作の第一弾みたいに思ってるかもだけど、続けてたらふゆみん困ってるよ。そんなこと言われなくてもわかってよ。

貴重な昼休みを返して。」


立ち上がり、足早に職員室を出て行く。

先生に対しての信用度はないに等しくなった。

はぁ...ふゆみんを守れるのはウチだけでいいよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る