第30話

ふゆみんどうなったかな。


社長出勤ならぬ社長登校はうちにとってはとてもプレッシャーで、みんなから注目を集めるものだった。だって遅刻したことないんだもん。2回くらいしか。先生には「高級ホテルのランチビュッフェの夢見てたら遅れました!」と説明したら、失笑を買った。

友達には怪しそうな目で話しかけられたが、明確にメニューを喋り始めたところでわかったわかったと納得してもらった。

時刻はもう3時間目が終わりそうなころ。


ふゆみんのお休みを担任に伝えるために、終業の合図が鳴ると同時に席を立った。

あいつはたしかこの時間は隣のクラスだ。

教室を出て覗くとあいつがいた。いやー苦手だわー。何考えてっかわかんないし。口数も少なくて、好きな人も少なそー。


「せんせ、ちょっと」

ドアから少し身を出して手招きする。

うちに気づき、こちらに寄ってくる。

「あ、あなたはたしか...」

「今日冬木さん休み。体調不良。それだけ。」

去ろうとすると、

「まって、冬木さんと仲良し?」

「仲良しじゃなかったら、休みなんて知らないです。」

「今冬木さんのことで困ってるんだ、助けてくれないか。」


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