第28話

公民館はすごく近くにあった。

併設されている小さな図書館。

ドアからそっと覗くと、時が止まったように何も変わっていなかった。

司書さんは図書カードを揃え、静寂の中でひたすらに来訪者を待っていた。

その隣には大きな絵本袋を持った女性が見えた。

意を決して中に入ると、ドアの音に反応した師匠がこちらを向いた。表情がぱっと和らいだ。

「あら、久しぶりねみらいちゃん。」

「久しぶりです。神部さん。」

「高校の受験から見なくなっちゃって、どうしたのかなと思ってたところよ。」

「ほんとに久しぶりです。ちょっと高校から忙しくなっちゃって。」

一通りの想定された会話を終える。

「お願いがあって、もう一度前みたいに横で練習させてください。そしてまた、読み聞かせをさせてください!」


「あ、あれね。いいわよ。一緒にやると楽しいわよね。」

「ありがとうございます。」

理由聞かれなくてよかった。

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