第23話

ふゆみんの部屋に上がると、懐かしい光景が広がっていた。

勉強机やランドセル、昔使っていたリコーダーなど残ったままであった。

「友達呼ぶの久しぶりかも。」

そう呟きながら散らかっていた小さな机の上を片付ける。ふゆみんのクッションを借り、座布団の代わりにする。

「早速広げてもいい?ウチも内容が気になるからさ。」

うん。と頷いたのを確認すると、先ほど開けたラッピングの袋を横にどけて本だけ取り出す。

「これ知ってるって言ってたね。どんな話なの?」

「...えーと。キラキラした鱗の魚が」

「あ、まって読み聞かせしてよ。昔やってたって言ってたじゃん。」

少し固まるのが見えた。


「優子...あのね、確かに昔私は読み聞かせしてた。」

急にトーンが低くなる。

「文字が大好きで、それを読んであげることも大好きだった。でも、今の私だとできないよ。文字と喧嘩しちゃった。」

沈んだ目でこちらを見返された。


「そんなことないと思うんだよね。ただ単に、読み方を忘れただけだよ。もう一度ひらがなからやり直してもいいかなって。」

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