第13話

できた。僕の最高傑作だ。

白い便箋を見つめる。

手紙を認めることは、小学校の「おうちのひとへのかんしゃのてがみ」以来だ。予備校の友人に相手に伝えるなら、手紙だと言われた。彼には感謝の気持ちしかない。

こういった手紙をもらうだけで、嬉しい気持ちになるだろう。さて、あとはどうやって渡すかだ。

どうせ彼女は朝の図書室に来るだろう。今日にでも渡してやろう。と考えた僕だったが、来ない。彼女がいつまでたっても来ないのだ。


なぜだ。出来るだけ粘ってみたが、分針は無慈悲に時を刻む。朝のチャイムがなりホームルームの始まりを告げる。

僕は後ろ髪引かれつつも、足早に図書室を去った。


明日こそ、明日こそを繰り返していたが、全く現れなくなった彼女を思う気持ちは大きくなっていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る