第10話

ふゆみんは自分の考えをまとめようとする。

ふゆみんとは小学校からの仲だ。ウチと行動して、いつも一緒にいた。

ウチには相手の考えてることを結構読み取れる才能があるらしい。なにかと気付いてしまう。他人の持ち物、表情、発言、それらを自動で分析しちゃって、それが当たることが多い。

ふゆみんはたぶん本を読めていないだろう。冗談抜きで。

本人は必死に隠してるけど、ふゆみんの読んでいる本を読んだら、教えられたストーリーと全然違う道をいく話だった。

他にも教室で隠れて朗読の動画を見たり、課題の字が違ったりしていることにも気付いた。

だけど、ウチは黙っておいたほうがいいと思った。だって、自分から言って欲しい。自分を信じて欲しいから。


うーんと唸っていたふゆみんが小さくなっていった。

そろそろ限界みたいだ。

少し意地悪な質問をしてしまったことを謝ろうと口を開くと同時に喋り始めた。

「私としては、ちょっとほっとしたかも」

そんなに応えてはいないかな、いや、結構きてるかもしれない。明日からどんな学校生活になるのか怯えているかもしれない。

相変わらず、縮こまっていた。

「今日は私のおごりじゃーい!」

ふゆみんの悩みも飛んでってほしい、そんな気持ちを込めながら走り出した。

夕日はもう沈みかけていた。

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