第9話

ついに言ってしまった。私の弱点。何回顔を合わせようと、言えなかったことを言ってしまった。まるで私の心の大事な部分を遠くに置いてきたような気分だ。

とぼとぼと歩いていると、近付いてくる足音が聞こえた。

「ふゆみーん!一緒に帰ろー!」

ふゆみんと呼ぶのはあの子しかいない。

「あ、優子...。」

汗止めの匂いとさわやかなスマイルが近寄ってきた。

「あれま暗い顔してません??この時間ってことは、もしかしてまたまた面談あったの?...図星?」

つくづくこの鋭い女には頭が上がらない。私が顔に出やすいのか、なにかと見破られる。

「どんなこと聞かれたの?」

彼女は私の顔を優しい表情で見つめる。

「もう何度もやったからいつも通りの質問されて、...成績が落ちた原因を話してしまいました。」

彼女はほおという顔で私から視線を逸らし、空を見上げた。

「そっか。

今のふゆみんの気持ちはつらい?それとも辛くない?」

うーん。と唸ってしまう。

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