第9話
ついに言ってしまった。私の弱点。何回顔を合わせようと、言えなかったことを言ってしまった。まるで私の心の大事な部分を遠くに置いてきたような気分だ。
とぼとぼと歩いていると、近付いてくる足音が聞こえた。
「ふゆみーん!一緒に帰ろー!」
ふゆみんと呼ぶのはあの子しかいない。
「あ、優子...。」
汗止めの匂いとさわやかなスマイルが近寄ってきた。
「あれま暗い顔してません??この時間ってことは、もしかしてまたまた面談あったの?...図星?」
つくづくこの鋭い女には頭が上がらない。私が顔に出やすいのか、なにかと見破られる。
「どんなこと聞かれたの?」
彼女は私の顔を優しい表情で見つめる。
「もう何度もやったからいつも通りの質問されて、...成績が落ちた原因を話してしまいました。」
彼女はほおという顔で私から視線を逸らし、空を見上げた。
「そっか。
今のふゆみんの気持ちはつらい?それとも辛くない?」
うーん。と唸ってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます