第8話

困ったなぁ。

教師の仕事は悩みが多い。

いや、そもそも教師でなくても悩むことは多いと思うが、今回は特殊な悩みだ。

苦手なことをやっと話してくれたはいいが、そのものがいまいち掴みきれていない。

そもそも本当のことなのか?

わざとやっているにはリスクが高すぎる。

成績を落としてまで、実行することではない。

人がまばらになった職員室の机の上で肘をつきながらメモとにらめっこをしていた。

まずは調べないとと考え、パソコンに面と向かう。

「文字 読める 文章 読めない」

実際に同じ状態の人間がいるようだ。

文字を書けない。文字のつながりがわからない。音読が苦手。サイトにはさまざまな言葉で症状を解説する。

彼女は嘘をついていないかもしれない。


メモに関連していそうなことを書きなぐった。

私は彼女を理解したい気持ちが、自分の手を動かす。

周りがいなくなったことに気付くのはとっぷりと日が暮れた後だった。

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