第5話 鬼って一体何なんだ
「…兵器?」
「はい」
「人間がつくったってどう言うことだ?」
怪訝そうに武流が問いかける
「それは歩きながら話します。学校に遅れてはいけないので」
そう言うとアリラが歩き始めた
「…ぁあ。そうだな」とアリラを見習って武流も背後を歩き出す。
考えてみれば不思議な光景だ。初めて会話する女の子と通学路を歩いているのに何だかとても懐かしい。まるで以前もこんなことがあったような…。武流はアリラの背中を見つめて歩く
「鬼と呼ばれる生物はもとは人間です」
アリラが前方に視線をやったまま話し出した。
何と反応すればよいのか分からず言葉を選んでいたが、結局「そ、そうか…」しか言えなかった。
「戦争に使おうと考えたんです」
「どういうことだ?」
「人間は増えすぎました。少しでも少なくするために人間を減らそうと考えた政府は、どうせ減らすのなら有効に使おうと考え、人体兵器を造ることにしました。」
「人体…兵器?」
「はい。何度も何度も人体実験を繰り返したそうです。その度に失敗を繰り返し、沢山の人間が死んでしまいました」
「な…冗談だろ?そんなの聞いたことねぇぞ」
「死刑囚や国籍のない者を使って実験を行っていたらしいです。メディアに漏れないよう政府が極秘で実験をしていましたし。そのために人工の島までつくって研究者たちを監禁して情報を一切外部に漏らさないようにしたそうです」
「何だそれ…じゃあ何で知ってんだよ」
「うちには、優秀な者がいますから。まぁそんな感じで実験が成功し、最強の人体兵器を造ることができましたーー!」
いきなり声を上げてこちらを振り向く
武流は汗をにじませ苦笑いをする
「しかし!」指を立てて左右に振る
「実験は成功したもののその人形兵器には意思がありました」紙芝居かよ
「意思を持った人形兵器は自分をこんな姿にした人間を許さないと言わんばかりに研究者を皆殺しー」紙芝居かよ
「全ての研究資料などのデータを奪い逃げて行ってしまいましたー。そう!人体実験で生み出された人形兵器こそが鬼と呼ばれる生物です」てか、こんな紙芝居嫌だ!
「政府は人体実験をしていた上に戦争ビジネスに人体兵器を使おうと考え、島までつくったのに、優秀な研究者やデータも全て無くなってしまいまい、計画は失敗に終わってしまいましたー。当然こんな事実!漏れてしまっては国がつぶれる可能性もありますし、隠しています。まぁこれがざっくりとした話です」かなりざっくりだな…。
「だから…《東京大空穴》も災害って報道したって言いたいのか?」
「おー理解が早いですね。そう。実際は鬼が全てやりましたから」
「まって!鬼の力やばくねぇか?」
「はい。かなり」
「まじかよ……。てか、何のために鬼はそんなことしたんだ?」
「んーよくわかりませんが…復讐?でしょうか?」
「はぁ!?」
「わかりませんよ?あくまでも私の憶測なので」
アリラが適当に言ってくる。正直、とても怖い話なのに何も怖さが伝わってこない。
しかも東京大空穴は10年前の出来事で武流自身何処か、他人事のように感じていた。
そんな様子に気づいたのかアリラが声を発する
「実は最近ニュースでやってる行方不明事件も鬼の仕業って言ったら驚きます?」
「な!?」
武流は目を見開いた
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