第6話 これが…
「行方不明事件も…?」
「はい」
「え…」
東京大空穴は昔から災害と報道されてきた。だからなのか突然、鬼と言う訳の分からない生物の仕業と言われてもすぐには信じられない。
だが、今起こっている行方不明事件は8000人以上の人間が消えたあと戻ってこない。しかもこんな短時間の間に8000以上の行方不明者だぞ?あり得ない。あり得ないからこそ、その鬼と言う生物の仕業と言われると納得してしまう。
「その反応。少し納得してます?」
「あぁ。多分…」
「そうですか。このように鬼は基は人間でも人間を遥かに超えたあり得ない力を持っています。もう、バケモノです」
「そんなやつ…どうやって倒すんだよ」
「倒せますよ。貴方なら」
「何で俺?」
「英雄だからです」
「なんだそれ!」
武流は考える。魔法の力はもう信じている。
鬼も多分いるのだろう。
こうしている間にも人が消えていっているかもしれない。
自分に何かやれることがあるのならやりたい。助けられるのなら助けたい。
でも、こんな現実離れした所に足を踏み入れていいのか?取り返しのつかないことにならないか?
「どうします?」
アリラが問いかける。整理できないこの気持ちを言葉になかなかできない。
アリラから視線を逸らして自分の靴を見つめる。
しばらく黙り混む。アリラは何も言わない。静かになった空間が武流を漸く決心させる。
顔をげてアリラに視線をやる
「……わかった。やる――――」
『ビビビビビビビビビビビビビビビビビビ』
武流の声に被せてアリラのスクールバッグの中から物凄い音がバイブ音とともに響きだした。
アリラはすぐにバッグから音を発している携帯電話を取り出した。
画面に表示された『応答』をタッチし、耳に押し当てる
『緊急です!今、そちらに鬼が向かっています!数は一体ですが
携帯電話の向こうからは必死な女性の声がうっすらと聞こえてくる
「はい。わかりました」
アリラは通話を終了し、スクールバッグに携帯電話を投げ入れた。
アリラの目付きが鋭く変わる
「どうしたんだ!?」
アリラの張り積めた様子に戸惑い、声をかける
「鬼です!」
「鬼!?」
目を見開いた。嘘などついている様子は一切ない。急に緊張感が生まれ、武流はどうして良いのか分からなくなって固まる。先程話していた鬼が今ここにくる?なんだよそれ!タイミング良いのか悪いのかわかんねぇぞ!
「神田先輩…」
汗を滲ませアリラが声を発する。
アリラの緊張した様子に武流は唾を呑み込み「…なんだ?」と答える
「逃げてください――」
瞬間。物凄い衝撃音とともに地面が揺れて前方に砂煙が舞い上がる。
まるで何かが墜落したかのように。
武流は一瞬、倒れそうになるが何とか耐えた。
「お~魔力感じて来てみたんだが。すげ~可愛い女じゃん!ラッキ~」
砂煙が晴れて姿を現した人間が声を発する。
いや、ただならぬオーラ…人間ではない。これが
「鬼…!?」
目を見開いて武流は拳を握りしめた
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