第2話 なにその展開

「起きてください」

誰の声だろう。綺麗な声。かわいいな。女の子の声だ。起こしに来てくれたのかな?なんだろ。義妹とか居たっけ?いやいや居ないな。実妹?はははッナイナイ

「起きてください」

あれかな?幼なじみとかかな?それも居ないな。

じゃあいったい誰だ…?

「そろそろ起きないと無脊椎動物にしますよ」

なにそれチョー怖いんだけど。

武流はゆっくりと瞼を開ける。何か物凄い勢いのモノが顔面に直撃した後からの記憶が無い。何故か地面に仰向けに倒れてしまったらしい。空、視界に入る。太陽の光が眩しい。次いで青と白の景色。

そして超絶美少女。

「なんだ。夢か」

武流は呟きゆっくりと目を閉じた。

「夢じゃないです」

「いやいや。こんな可愛い女の子が朝から俺の家に来るなんて無いから」

目を閉じたまま答える。

「痛みは?」

少女が問いかける

「あ~そうそうさっきから顔面が異常に痛くてさ。この夢リアルすぎるんだよ。夢じゃないみたい。」

「だから、夢じゃないんですよ。もう一発いっときます?」

「すみませんでした!!!!」

武流は身体を跳ね上げるようにして勢いよく立ち上がった。

「おはようございます。英雄さん」

「え…英雄?」

「あっ~すみません。神田先輩の方が良かったでしょうか?」

「あ、いや。そう言うわけじゃ…てか、何で俺の名前知ってるんだ!?」

「有名ですから」

「え?有名?ナニソレイミワカンナイ」

本当に何故この少女は俺の名前を知っているんだ?まぁ見たところ同じ学校の生徒だし調べようと思えば調べられるのだが。

わざわざ俺なんかの情報を調べるか?

武流はかなりテンパっている。朝からこんなイベントが発生してしまったのだから無理もない

どんなゲリライベントだよ!

こんな美少女どう対処すりゃいいんだよ!

くっそ。とりあえず情報を集めないと

「あのさ。君は?」

「あぁ。名前言ってませんでしたね。私は津々神アリッ………」

少女は噛んだ。

顔を俯かせた。頬や耳の先が真っ赤に染まる。

え?嘘だろ。自分の名前で噛んだのか?いやいやありえないだろ。自分の名前だよ?

「え?津々神アリちゃん?」

少女は首を横に振り。ゆっくりと顔を上げる。涙目で

「…アリラ」

呟くように声を発した。

あまりの可愛さに一瞬、意識が飛びそうになった。

「ぁ。アリラか。か、かわいいな」

「は?口説いてるんですか?」

「え?」

少女、アリラの口調が一瞬で通常に戻った。平べったいその口調は何処かきつく感じる。

「いや。べ、別に口説いてるとかそう言うわけではないんだけど…。」

「言っておきますが。私はその辺のビッ…アバズレ女とは違いますよ?そんな一言で私は落とせませんよ」

「あぁ。はい。すみません」

ビッ…って止まったから良しと思ったけど。アバズレ女って…ほとんど意味変わって無いような…。しかも。口説いてるつもりはなかったんだけど。勘違いされてしまった。まぁそこはツッコまないことにしよう。

「まぁ。それはどうでもいいでしょう」

アリラが腕を組んで言ってきた

「どう言うことだ?」

武流が首を傾げて問いかける

するとアリラが人差し指を出し武流を指差した。

「貴方には魔法使いになってもらいます」

武流は口をポカンと開けたまま固まった。



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