第119話 掃除機
わたしが掃除機を出すと猫は尻込みする。掃除機は好きではないようだ。
掃除機で掃除を始めると、猫は掃除機を見ている。掃除機が苦手でも逃げようとはしない。掃除機の進行方向に猫はいるのだ。
はっきり言って邪魔だ。
わたしが掃除機を動かすたび、猫は後退りする。一気に逃げていってくれる方が掃除しやすいのだがそうもいかない。猫は怖いながらも掃除機に興味を持っているようなのだ。それで猫は掃除機につかず離れずついてくる。本には「怖がっている猫に掃除機を向けてはいけない」と書いてあった。でも自分から向かってくる場合はどうなのだろう。わたしは、「そこ退いて」と言いながら、掃除機を動かす。
猫に気を遣いながらの掃除は結構大変である。
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