第118話 登る

 ウチでは猫のおもちゃは二ヶ所に分けて置いてある。それは猫のおもちゃが大量で、一つの箱に入らないからだ。

 一ヶ所は食器棚の上、もう一ヶ所はケージの上である。

 猫にとっては食器棚の上には届かない。しかしケージの上なら届くのだ。猫は、おもちゃを求めてケージを登る。一所懸命におもちゃを目指し、足をケージにかける。そして手を伸ばし、足をかける所を探しながら登る。あと一歩だ。わたしは猫を見守る。

 よし!猫は登りきった。

 猫は、おもちゃが入った箱を覗き込んでいる。どんなおもちゃを持って来るだろう。わたしはワクワクしながら猫を見る。すると猫はおもちゃ箱から顔を出しケージの上を歩きだした。そしてケージの端にたどり着くと、床に飛び降りてしまった。

 おもちゃを探しに行ったのではなかったのか?やはり猫は何を考えているのかわからない。

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