第120話 夜中に

 わたしは、夜中にトイレへ行きたくなった。普通なら起きてトイレへ行けば良いのだが、わたしの両足の上には猫がいた。わたしはとりあえず猫に声をかけてみる。


「ねえ、起きてる?トイレに行きたいんだけど」


 猫は何も答えない。起きているのか寝ているのかもわからない。わたしは片方の足を引き抜く。すると猫はもう片方の足にのし掛かる。どうやら猫は起きているようだ。わたしはもう片方の足を引き抜くべく猫を退かそうと試みる。しかし猫は、わたしの足にしっかりと手をまわしている。


「ねえ、トイレに行くだけだから」


 わたしは猫に話しかけもう片方の足を引き抜く。

 夜中にトイレへ行くのも一苦労だ。

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