第10話 カーテン登り

 ウチの子(猫)はやんちゃだった。

 わたしは内心、猫が壁で爪とぎをしないかドキドキしていた。それで猫を引き取った始めの頃、猫の動向に気をつけていた。しかし猫は、壁よりもカーテンを選んだ。レースのカーテンを登り始めたのだ。

 あぁ、良かった。カーテンなら取り替えが簡単なので構わない。いくらでも登ってくれ。

 猫は一心不乱にカーテンを登っていく。しかしウチのカーテンレールは上の壁にくっついている。つまり、登りきってもカーテンレールの上には立てないのだ。猫は上まで登ったら降りなくてはならない。しかし登ることはできても降りることは難しいようだ。猫はカーテンにぶら下がったまま、わたしに助けを求めてきた。わたしをちらちらと見ているのだ。

 わたしは立ち上がり、猫を床へ降ろしてあげた。すると猫はまたカーテンを登り始めた。自分では降りられないのに、登ることは好きなようだ。

 カーテン登りに飽きると、わたしに登ろうとする。どうぞどうぞ、いくらでも登ってくれ、と思ったが、痛かった。当たり前だ。猫は爪を立てて登るのだ。わたしは我慢して猫の遊びに付き合った。わたし頑張った!

 しかし猫を飼っている人はきっと同じような経験をしていることだろう。猫は子猫の頃やんちゃだと思っていたが、子猫としては普通だったのかもしれない。激しく遊んでは、電池が切れたように眠る。それを繰り返していた。

 そして穴だらけのカーテンは、今でもウチで使っている。

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