第6話 シャンプー

 病院の先生によると、猫は自分で毛繕いをするのでシャンプーをする必要はないそうだ。しかし季節の変わり目には毛が抜けるし、毛繕いで毛を飲み込み吐くことを考えると、シャンプーをするのも悪くはない。大人になっていきなりシャンプーするよりは、子供のころから慣らすのも良いかもしれない。

 わたしは自分でシャンプーする自信がないので、とりあえずペットショップでシャンプーをしてもらうことにした。予約を取り、猫をペットショップへ連れていく。そしてキャリーバッグごと店員さんに渡す。飼い主が見ていると暴れる可能性があるとのことで、仕方なく少し離れた棚の陰から見守る。完全に怪しい人だ。


 こっそり覗き見ていると、別の店員さんの声が聞こえた。


「何、あの子!可愛い!」


 ん?もしかして、もしかしなくとも、ウチの子(猫)のこと⁉


 わたしは、すすすっとその店員さんに近寄った。


「あの猫ですか?」

「そうです!あの柄といい可愛いです!」

「あの子、ウチの子なんです」

「えっ、そうなんですか!」

「どの辺が可愛いですかねぇ」

「目がぱっちりして可愛いです。あの柄も珍しいですし、手足が白いのも可愛いですね」

「そうですよね!」


 つい叫んでしまった。親バカなわたしに店員さんは付き合ってくれたのだろうか。いや、しかし、ペットショップの店員さんが言うのだから、ウチの子は可愛いのだ。たぶん、きっと!

 こうして初めてのシャンプーは無事終わった。ウチの子は不満そうだったが。

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