第4話 病院嫌い
動物は大抵病院が嫌いだ。人間でも好きな人は少ないと思う。ウチの子(猫)も病院は苦手らしい。
ウチの子と病院の関係は、ウチの子を引き取って二日目から始まる。
猫を引き取った初日、猫を注意深く観察しながら様子を窺う。構い過ぎず、また離れないように同じ部屋で過ごす。少しずつ部屋に慣れて、わたしに近寄ってくる。その可愛らしい姿に思わず頬が緩む。その時、
「クシュッ」
ん?くしゃみ?猫の様子を見るが元気そうだ。大丈夫かな、と思った時、
「クシュッ、クシュッ」
やっぱり風邪?でも鼻水は垂れてないし……。明日、病院に行った方が良いかなぁ。
二日目、やはりくしゃみをしているので、猫をキャリーバッグに入れて、朝一番で病院へ行った。
「風邪ですね」
病院の先生は当然のように言う。
「薬を一週間飲ませて、一週間後にまた来てください 」
猫を引き取って二日目なのに、風邪とは……。ウチに来る前から引いていたのだろう。可哀想に。すぐに気づいて良かった。
一週間、粉薬を水で溶き猫に飲ませる。まだ小さいので片手で猫を掴めるのだ。
一週間後、猫と念のためう○ちを持って病院へ行った。風邪は治っていた。一週間の投薬が効いたようだ。
しかし、う○ちから寄生虫が出た!
「こんな感じの虫で……」
と、先生が写真を見せてくれる。
ぎゃあ!気持ち悪い!
「また一週間投薬して、一週間後にう○ちを持ってきてください」
あぁ、なんたること。一週間の投薬がやっと終わったのに、また一週間投薬だなんて。
猫が可哀想だ。でも早期発見で良かったと思う。
先週と同じように、粉薬を水で溶き猫に飲ませる。すると口の端から泡となって出てきた。
わあ!ど、どうすれば?とりあえず病院へ電話だ。
「薬を猫が吐き出すのですが……」
「薬を口の奥に入れて飲ませて」
病院の先生のアドバイスによって、なんとか飲ませることができた。
一週間投薬して様子を見ていると、妙に右の耳を掻いている。まさか……。右の耳を見ると黒いものが見える。嫌な予感がする。どうせ病院へ行くのだから診てもらおう。
寄生虫の投薬を始めて一週間後、また病院へ猫を連れて行った。寄生虫は投薬のおかげで大丈夫だった。そして、右の耳に黒いものがあると説明して診てもらう。すると、虫がいるとのこと。
あぁ、またか。
これは病院の一回の処置で終わった。しかし、また一週間後に検査するそうだ。
猫を引き取って三週間ちょっと。たったそれだけで、四回の病院。 無理矢理キャリーバッグに入れられ、知らない人に体を触られ……。
ウチの子が病院嫌いになるわけだ。
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