さらさちゃんは怖くナイ♪

「さらさちゃんさ、最近、尾ひれの付け根のところが、伸びたよね」

「アイ?」

「そこが伸びるとさ、全体の身長が長くなるんだよね」

「ソゥ?」

「背びれはさ、さらさちゃんのまんまる目の上のスジのところから、ちょっとずつ、増えてくる感じだね」

「ン?」

「ほんと、大きくなったよねぇ」


みーちゃんが、水槽の上からのぞいたので、さらさちゃんは、水面へ上がって口を出しました。


「ナニナニ?ごはん~?」

「ごめんごめん、ごはんは、まだよ。あぁ、泳がしてあげたいな~、もっと大きな場所で」


みーちゃんが、顔をひっこめたので、さらさちゃんは、ごはんはまだだと思い、水中へ降りました。


「池でもいいかもね!あっ、でも、池は、危ないか。カラスにつっつかれちゃうし、石を投げる人もいるし」

「へぇ、みーちゃん、川は?」

「川は、流れが速いわ、流されちゃうし、危ない!石で頭をぶつかもよ」

「頭ぶつって・・・それは、ナイってばヨ」


さらさちゃんは、ちょっとむくれました。

すると、テレビのニュースが流れました。



『民家の空の上から、突如、お魚が降ってきたとのことです。原因がわからず、周囲は、戸惑っています』



みーちゃんは、眉をひそめました。


「誰かが、お魚を、空から落っことしたのかな。何で?水の中の生物が、自然に落ちてくるはずないものね、なんだか怖いわ」


さらさちゃんは、言いました。


「みーちゃん、怖い?」

「うん、理由もわからないし。さらさちゃんは、怖くないの?」

「怖くナイヨ♪」

「なんで怖くないんだろう」

「みーちゃんは、ナンで、怖いの?水の中は、安心ダヨ。一緒にお散歩できるとヨカッタネ~~」


さらさちゃんはそう言うと、でめちゃんのそばへ泳いでいき、並んで一緒に、玉砂利をつつくのでした。

みーちゃんは、思いました。


(あたしって、いつも不安ばかり抱えて、恐れてばかりいるわ。テレビのニュースより大事なことは、自分の身に起こるリアルなことのほうよね。今日も、一日、無事に過ごせたことに、感謝。そうだわ、久しぶりに、実家に電話しようかな。たまには・・・そうね、水槽の中のことも、忘れてもいい?今は、みんな元気だから、大丈夫よね。そうかぁ、水の中って、そんなに安心なものなのかぁ・・・)


みーちゃんは、その晩、さらさちゃんやでめちゃんと一緒に、水の底で綺麗な石を探す夢を見ました。

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