第21話

「お前……”雪姫”って、知ってるか……?」


 クラウス王子の問いに思わず一瞬ドキッとしてしまう私。

 一応、冷静を装って首を横に振っておいたが、一瞬の戸惑いを見逃さなかったのか。

 王子は先程まで退屈そうにしていた顔が、何故かあくどい顔でニヤニヤと楽しそうに笑っている。


「そうか……。それはすまなかったな……。まぁ、静葉共々頑張ってくれ……。我が国においても”あれ”の力はどうしても必要なんだ……」


 それじゃあな……、と言いたい事だけ言い残して王子は部屋を出て行った。


 何か、感づかれたかな……。もしかして、私が”雪姫”本人だって事がバレてたりして……。





「お姉様。一体何をなされたんですか?」


 ようやく拘束を解かれた私はいきなり妹からそんな質問をされた。


「何って、何が……?」

「何がって……クラウス王子の事に決まっているじゃないですか!!」

「いや、そう言われても……」


 静葉の話だと、クラウス王子は基本に関して以外には全く興味を持たない性格で、ああいう風に笑うのはまれなのだという。


 というか、何もしていないんだけどな……。


 何度か静葉に根掘り葉掘り聞かれたが、途中で諦めたのかリゼベルの書が眠る保管庫へと案内してくれた。


 そんな私達の背後で意味深に微笑んでいた者がいたのも知らずに――――――


 

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