第20話

 次の日――――妹と共に王宮を訪れ、もとい連行された私はとある少年と謁見えっけんしていた。

 その少年の名はクラウス・フィン・ロンデル。

 簡単に言えば、この国の王子様だ。

 

 何故、私がその王子様と謁見しているかというと、リザベルに関しての事だ。


 あの後、妹の静葉からある程度の情報を得てはいた。


 リザベルの書が王宮の地下に戻った事。

 何も話す事も無く沈黙し続けて王宮の人達が頭を悩ませている事。

 そして、”雪姫”の事は何一つとして正体が分かっていない事などだ。


「そいつが静葉の言っていた姉の雪葉か……?」


「はい。その通りでございます。クラウス王子」


 王の間と言われる場で、気だるげに椅子に凭れている王子の問いに私の隣にいた静葉が答える。

 私はというと、何重なんじゅうにも縄でぐるぐる巻きにされた上、拘束着、猿轡さるぐつわ、足枷、首輪など拘束具のオンパレードを無理やり付けられ、妹に首輪に繋がれた鎖を握られる始末だ。 

 

 これって何てはずかしめなんだろう……。


 何か、敬語の騎士たちが変な目で見てるし……。


「今回はこのような見苦しい姿での謁見で大変申し訳ありません。こうでも致しませんと姉はすぐ逃げ出した上に姿をくらませてしまいますゆえ……」


「ふ~ん……。ま、どうでもいいけど……」


 そう言って静葉の言葉に対して、退屈そうに欠伸あくびするクラウス王子。


 初めて会ったけど、こんな人が王子で良いのかこの国。


「それで、そいつなら”あれ”をどうにか出来んのか……?」


 王子の問いに力強く肯定する妹。


 あれとは間違いなくリザベルの書の事だ。


「そうか……。なら、その件はお前に任せる」


「はっ! お任せください」


「だが、その前に――――――」


 静葉が頭を下げると王子はもたれかかっていた椅子が立ち上がると、王子はおもむろに私の目の前まで足を運びぶと、私の目線が会う高さまで片足を着き、腰を低くした。

 そして、「一つ訊きたいんだが……」ととある質問を投げかけて来る。


「お前……”雪姫”って、知ってるか……?」

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