第16話

 闇夜よりも暗く、光さえ存在しない黒く塗り潰された漆黒の世界。


 そこは『無』という言葉が相応し過ぎるほど何もなく、ありとあらゆるものが全てを奪われていく。


 そんな静寂に包まれた世界に突如まるで水面のように波紋が広がった。


 波紋は呼応し、次々と新たな波紋を生み出していく。


 そして、何もなかった無の世界に不気味に輝く赤い光が幾重にも現れ、憎悪を吐き出すかのような咆哮が世界を震撼させた。


 まるで、世界を終焉に導くかのように――――

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