第11話早苗、涙と怒りの逆襲

フェイスキラー、水島英二の魔の手により、斧で顔を無惨にズタズタに切り裂かれてしまった。由香里、真由美、香織、杏理、恵梨香の5人…

そして、激しい痛みと出血により、ついに意識を失ってしまった由香里…

その悲惨な状況に早苗は、改めて目に涙を浮かべると共に、英二に激しい怒りを覚えた。

早苗は、手に斧を持って薄笑いを浮かべながらじっと距離を置いて眺めている英二に、こう呟きながら近付いた。

「許せない…どんな理由があるにせよ、私達を誘き寄せて、私の大切な友達をこんな目に遭わせるなんて…絶対に許せない!」そして、肩に掛けていたポシェットをそっと地面に置くと、自分でも信じられないくらいの力を発揮して、「ワァー!」と叫び声と共に、英二を思いっきり押し倒した。

「この野郎!」と叫び声を上げながら、英二が斧を振りかざそうとしているのを見ると、早苗は、右手に持っていた木の棒で、英二の手をひたすら叩き続けた。

あまりの早苗の猛攻に、英二の手から斧が離れたのを確認すると、早苗は英二の顔を両手で掴んで、「返してよ!由香里達の大事な顔を、返してよ!」と叫びながら、何度も英二の頭を地面に打ち続けた。

無我夢中で英二の頭を打ち続け、英二の身体に異変を感じて、頭から手を離すと、英二は意識を失ってしまっているようだった。

ピクリとも動かなくなってしまっている英二の姿を見て、早苗自身も本当に英二をこんな目に遇わせたのか信じられない気分になった。

ともあれ、英二が失神状態になっているのを見届けると、早苗は地面に置いたポシェットと拾って、再び由香里達の元へ戻った。自分がこの時、ある1つのミスを冒しているのを知らずに。


仰向けに倒れ続けている由香里達を見て、再び早苗の頭を悲しみがよぎった。

既に由香里は意識を失ってしまっているが、他の4人も意識を失ってしまっているのか…?あるいは、由香里達は既に、死んでしまったのか…?

絶望的な思いで由香里達を見続けていると、奇跡的に杏理が口を開いた。

「早苗…早苗無事なの…?」そう苦しげに声を絞り出した杏理に向かって、「杏理、心配しないで、私は無事よ。」と声を掛けた。

更に、「早苗…本当に無事なのね…?」と、恵梨香も苦しげに声を絞り出したのを聞くと、「杏理、恵梨香、これ以上声を出さないで、待ってて、今、助けてあげるから。」

そう言って早苗は、ポシェットから携帯を取り出し、救急車を呼ぼうとした時だった。

不意に早苗は、背中に衝撃を覚え、その場に倒れ込んだ。

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