第8話ズタズタに切り裂かれる美顔

早苗が由香里達の身を案じて、小川の流れる広場へ駆け付けている頃、その場は既に凄惨な場と化してしまっていた。

突如として現れたフェイスキラーこと水島英二に捕われ、頭上でしっかり両手首を手錠で固定されてしまい、更には長い髪を斧でバッサリ切られて仰向けに倒れている由香里。その由香里の顔めがけて、容赦なく英二は、手に持った斧を降り下ろし続けた。

斧が顔を直撃する度、悲鳴を上げ続ける由香里。あまりも恐怖に香織達は、すっかり足がすくんでしまって、ただただ情況を見守り続ける事しか出来ないでいた。

ようやく英二が手を止め、改めて由香里の姿を見た香織達は、一斉に悲鳴を上げると共に、失神してしまいそうな気分になった。

仰向けに倒れ続けている由香里の顔は、無惨に顔をズタズタに切り裂かれてしまい、溢れ出た血で顔が赤く染まっていて、由香里本人の顔なのか分からなくなってしまっていた。

更に悲惨なのは、顔をズタズタに切り裂かれる前に、髪をバッサリ切られてしまっているので、余計、その場にいるのが由香里なのか分からなくなってしまっている事である。

当の由香里は、顔に激しい痛みを感じている上に、大量の血が目に入ってしまっていて、目が見えなくなってしまっていた。

その上、所々頬を貫通してしまっていたりして、口の中にも血が入り込んでしまい、やがて喉に血が入りそうになる度、口から血を吐きながら咳き込み続けた。

更に悲惨な事に、無惨な顔を手で隠したくても、頭上で両手首を手錠でしっかり固定されてしまっている為、顔を隠す事さえも出来なくなってしまっている。

苦しみながら由香里は、目が見えないながらも、血まみれの顔を恐らく香織達がいる方向に向けると、「逃げて…私に構わず逃げて…」と声を絞り出した。

だが、こんな必死の問い掛けに香織達は、由香里の無惨の姿を見て、恐怖でその場に立ちすくんでしまって、何もする事も出来なかった。

そんな中、フェイスキラー英二は、こんな香織達に向かって、「おいおい、まさかお前ら、この小娘の言う通り、この場から逃げ出すんじゃねーだろーな?」と言うと、更なる暴挙に出た。

「この小娘がこんな事されたら、さすがに逃げる気なくなるだろ!」と叫ぶと、血に染まった由香里の両頬を、血で手が汚れるのも構わず、平手打ちしてしまったのである。

こんな暴挙を目の当たりにして、不意に真由美が「止めて!」と叫ぶと、英二に突進して行った。

だが、英二にあえなくかわされ、逆に英二に顔を平手打ちされ、変わり果てた由香里の傍に倒されてしまう。

そして、「この尼!」の罵声と共に、素早く両手首を頭上でしっかり手錠で固定されてしまった。

「俺に立ち向かった勇気だけでも誉めてやろう。」と罵られると、真由美のセミロングの髪も、斧でバッサリ切られてしまった。

「今からお前の顔も、この小娘と同じ様にしてやる。」と言われた後に、真由美の顔までも、由香里と同じ様に、斧でズタズタに切り裂かれてしまった。

更には、「安心しな。お前の顔も、この小娘と同じ事をしてやるからな。」の言葉の後に、容赦なく真由美の両頬に平手打ちが炸裂した。

由香里に続いて、真由美までも本人か分からなくなる程、血で顔が赤く染まっている姿を目の当たりにした香織達は、すっかりこの場から逃げ出す気力さえも失ってしまっていた。

こんな香織達に、英二が近付いて来て、「今度は立て続けに、お前達をこの小娘達の横に寝かせてやる。」と言い、香織、杏理、恵梨香の順に平手打ちし、由香里達の傍に横たわらせると、素早く3人の両手首までも、頭上でしっかり手錠で固定されてしまった。

次に英二の魔の手にかかってしまったのは、香織…先の2人と同様に、まずは白いリボンでポニーテールにしている長い髪を、無惨に斧でバッサリ切られてしまう。

その瞬間、早苗にポニーテールをしているのを誉めて貰った事が、脳裏をよぎった。そして、悲しい気分になった。

そんな香織に対しても、容赦なく顔に斧が降り下ろされ、ズタズタに切り裂かれてしまった。そして、血で染まった両頬に、容赦なく平手打ち…

続いて、杏理が、斧でセミロングの髪をバッサリ切られ、顔をズタズタに切り裂かれ、血で染まった両頬を平手打ち…

最後に残った恵梨香…英二に、「こんな日に三つ編みなんかしなきゃ良かったものを。」と罵られると、容赦なく2つに三つ編みにした髪までも、無惨にバッサリ切られてしまった。

その瞬間、早苗に三つ編みを誉めて貰った事を思い出し、泣きたい気分になった。そして、英二が斧を降り被ると、思いっきり「早苗ーっ!」と叫んだ。

そんな恵梨香に対しても、容赦なく斧が降り下ろされ、ついに恵梨香の顔もズタズタに切り裂かれてしまったのである。そして、両頬に平手打ちされる音が響いた。


由香里達の元に急いでいる早苗は、ふと誰かが自分の名前を叫んだ様な気がした。

気のせいなのか?それとも…

どっちにしろ、由香里達が無事なのか、心配でならなかった。

早苗は途中、やや太めな木の枝を拾って、由香里達の元へ歩みを速めた。

万一に備えて、武器として用いる為にである。

これが武器になるか分からないが、少しでも万全を期した思いで、由香里達の元へ走り続けた。

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