第6話嵐の前の一時
由香里達5人は、早苗の家を後にした後、徒歩で近くの私鉄の駅まで行き、そこから電車を乗り継いでI駅まで行き、I駅からJR線に乗り換えてT駅に向かった。
T駅から新幹線でS駅まで行き、そこでN県内を走るローカル線に乗り換えて、今回の目的地の最寄り駅であるK駅で降りた。
K駅から目的地近くまで路線バスが走っているのだが、由香里達が駅に着くのとタッチの差で出ていってしまったので、由香里達は2台のタクシーに分乗して目的地の温泉地に向かった。
目的地の緑豊かな温泉地の旅館に着くと、女将さんが、「河西さんの紹介でいらした方達ですね。お待ちしておりました。」と、快く出迎えてくれた。
「後1人、遅れて来ますのでよろしくお願いします。」と由香里達が挨拶すると、すぐに女将さんは、遅れて来る早苗を含めた6人がゆっくりくつろげる部屋に案内してくれた。
部屋に入って荷物を置くと、ほどなくして香織が、「ねぇ、せっかくこんな緑豊かな場所に来たんだから、早速周辺をブラブラしてみようよ。」と誘って来た。
「そうね。このまま部屋に居てもあれだし、早苗が来た時の下見を兼ねて、出掛けてみよ。」と恵梨香。
「じゃあ、出発。」と真由美の合図で、部屋を出ようとした時、ふと由香里は、携帯が気になった。
携帯を手に取り、電源を入れると、着信履歴があったので、ページを開くと早苗からだった。
何だろう?と、思いながら、早苗の携帯にリダイヤルしようとしたが、「由香里、早く。」と、杏理にせかされ、後でリダイヤルすればいいかと思い、携帯をその場に置いて、部屋を出て行ってしまった。
その行動が、ほどなくして由香里達が不幸のどん底に突き落とされる結果を生む事になってしまったのである。
緑豊かな森林を歩きながら、由香里は早苗からの着信履歴が、自分の携帯に入っていた事を香織達に伝えた。
「早苗にリダイヤルしたの?」と恵梨香に聞かれたが、「しようと思ったけど、みんなを待たせちゃ悪いし、後ですればいいかと思って、しなかった。」と、由香里は答えた。
「もしかして、予定より早く来られる事になったのかな?」、「もしそうだとしたら、由香里に早苗の携帯にリダイヤルさせてあげれば良かったかな?」と、真由美や杏理が言ってきたが、「いいよ別に、早苗にはいつでもリダイヤル出来ると思うから。」と返事を返した。
こうして楽しくお喋りしながら森林を歩き続けると、やがて小川が流れる広場が目の前に広がった。
「ねぇ。川底はそんなに深く無さそうだし、川に入って水遊びしようよ。」と由香里が言うと、一斉に靴や靴下を脱いで、川の中に入って行った。
それからしばらくは、楽しい光景が広がっていた。ワンピースのスカートの裾を濡らしながら、川の中を駆け回ったり、胸の谷間を見せながら、前屈みなって両手で水をすくうと、水を掛け合ったり、楽しい一時が過ぎて行った。
こうして思う存分水遊びを楽しみ、足が乾くのを待って靴下と靴を履き、そろそろ旅館に戻ろうとした時、由香里達の前に、1人の男が姿を現した。
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