第2話指名手配犯の男

6月の梅雨の晴れ間の日曜日、早苗達6人は、休みを利用し、A市の中心街を散策していた。

十数年前までのA市街地は、大勢の市民達で賑わっていたが、最近は人口の著しい減少もあって、最近では休みの日でも閑散としている日が珍しくなかった。

ちなみにこの日の彼女達の服装は、梅雨の晴れ間のむし暑さのせいもあって、ノーブラで白いキャミかタンクトップ姿で、豊満な胸をユサユサ揺らしていた。下は今にもパンティが見えそうな白やパステルカラーの超ミニスカートである。

彼女達があるお寺の境内へと続く石畳の道を歩いていた時、ふと早苗が、1人の男の姿を遠くから見て、「あれ?」と声を出した。

「どうしたの?」と由香里が聞くと、「あの男の人、何処かで見たような気がする。」と答えた。

「あの人、早苗の知り合い?」と香織が聞くと、「そうじゃないんだけと…」と早苗は答える。

しばらくその男を見続けた後、早苗が「思い出した!」と声を上げた。

そして、「前に落とし物を交番に届けた時、壁に貼ってあった指名手配の犯人の人だ!」と言い出したのだ。

実は数ヵ月前、都内で強盗殺人事件があったのだが、事件現場付近の防犯カメラの映像や、現場に残っていた指紋等から、過去にも強盗等の前科がある水島英一という男が、全国に指名手配されていた。

今、その場にいる男が、指名手配犯、水島英一に似ていると、早苗が言うのだ。

「どうするの?」と恵梨香が聞くと、「やっぱり警察に知らせた方がいいでしょ?」と早苗は答える。

「じゃあ私が連絡する。」と真由美が言い、携帯を取り出して110番通報し、状況を詳しく説明した。

その間に、男が移動しているのを杏理が見て、「あの男どうする?」と聞いてきたので、危険が潜んでいるかも知れないが、とにかく後を付けてみることにし、真由美が警察にその旨を伝えた。

しばらくして、男が路地を曲がったので、早苗達もその後を付けてみると、すぐまた路地を曲がって行くのが見えたので、慌てて早苗達もその路地を曲がったが、男の姿は見えなくなっていた。

焦りを感じながら、まっすぐ進むと、ふいにその男が物影から現れ、「さっきから俺の後を付けているみたいだが、俺に何か用か?」と聞いてきた。

「いえ、何処かで見たような気がしたので、気になっただけで…」と早苗は答えたが、遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえて来ると、「俺の存在を知って、通報したな!」と、男が迫って来た。

やはりこの男は、指名手配犯、水島英一だったのだ。

どうしようかと、早苗達は一瞬焦ったが、男とはいえ、相手は1人である。こっちは女だけど、6人もいる。どうにか取り押さえる事が出来るに違いない。そう決意し、早苗達6人は、一斉に水島に向かって行った。

思った通り、6人の団結が功を征し、水島を押し倒す事に成功した。

「この尼!」と早苗達を罵りながら、水島は起き上がろうとしたが、ここで早苗達の豊満な胸に目が眩んでしまった。その隙に今度は、純白パンティ丸見えになりながら、必死に水島を蹴り続けた。格闘の末、無事にパトカーが到着し、水島はその場で逮捕された。

早苗達が水島を撃退した事は、瞬く間にマスコミにも話題になった。新聞でも全国紙に、早苗達の写真がカラーで掲載されながら紹介され、週刊誌にも取り上げられた。もちろん、警察署からも、感謝状等が送られ、一躍英雄になった気分に浸っていた。


早苗達が注目の的に晒されている頃、ある山間にある一軒家では、1人の男が、早苗達のカラー写真が掲載されている写真を見続けていた。そして、大声を上げると、棚の引出しからカッターを取り出し、瞬く間に早苗達の顔を切り裂き始めたのである。そして、顔を無残にズタズタに切り裂いた写真を見ながら、こう呟いた。

「この小娘達の顔を写真の様にズタズタにしてやる。我こそはフェイスキラー。」

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