第44話 滅ぶべき勇者

 黄金色の光を放つ、大樹が絡み付いたような身体。

 これまでどんな攻撃を受けても、爆炎が晴れるか追い抜かれるかすると、歪み一つ見えなかった。

 そのたびに絶望感が増す。

 背中からは木の葉が集まったような翼。

 それに並ぶ結晶はクェーサーのジェットを召喚し、巨体に飛行能力を与える。

 尻には爬虫類のような尾。

 長い首に乗った人面。

 身長は1キロメートルに迫る。

 しかも、周りには直径数キロに及ぶマグマのドームを作り、ドラゴンメイドたちVIP艦隊を閉じ込めている。

 それが黄金怪獣。


 VIP艦隊は、あきらめず砲撃を続ける。

 瑞風も円盤形態のまま大型プラズマで砲撃していた。

 まばゆい閃光は確かに怪獣に直撃する。

 黄金怪獣はそれを受けても、びくともしない。

 それでも瑞風は、間合いを詰める。

『少しでも敵の目を引き付けるためか? 』

 悟られていた。

『竜に変形したやつと宇宙空母。あれらの艦を逃がさねばならんのか。

 ならば』

 瑞風を見据えると、黄金の皮膚が、泡立つように盛り上がった。

『お前は死ね! 』

 皮膚の泡が無数のミサイルのように飛びかかった。

 時に泡同士がぶつかっても、気にしない。

 それらは瑞風のバリアにあたると、粘着性を発揮して張り付いた。

 その泡は、爆縮委員会の巨人や怪獣に変わる。いや、戻ったのだ。

 しかも全て金色の体。天上人の力を受け継いでいた。

 バリアのエネルギーを吸収すると、溶かすようにして沈み込んでくる!


「機体! 強制高速回転!! 」

 ドラゴンメイドが叫ぶと、瑞風は円盤状の体をコマのように回転させる。

 たちまち、泡から変身した敵は遠心力で飛ばされた。

 その後はマグマの壁に食い込んだり、弾かれて転げ落ちたものもいる。


 ワイバーンもオウルロードも、次に来る事は理解していた。

 その理解は、戦場全体を管理する作戦内容を共有するデータリンクではない。

 多くのコンサート、遊び、ケンカ、戦い、長い時間をかけて繋がった、絆だ。

 それが今、全てを捨てて殺意のみに成り下がった敵に対し、怒りとなって繋がった。

 瑞風の回転速度はさらに早くなり、空気を切り裂く音が爆音のように響き渡る。

「突っ貫! 」

 真っ直ぐ、黄金怪獣へ飛んでいく。その様はフリスビーの様だ。

 黄金怪獣はそれを迎撃しようと、巨大なパンチをくりだす。

 片手で瑞風の胴体を掴めるような、大きな手で。

 しかも天上人譲りの電撃まで放ってくる。

 瑞風は電撃をバリアで受け止めながら。

「人型に変形します! 」

 オウルロードの声にかぶさる、回転音。

 もともと爆音に似たそれが、さらに激しさを増す。

 瑞風の28,967トンの重量に、勢いを乗せたキック!

 黄金怪獣は瑞風より2倍近くも大きかったが、拳を蹴られ、自分が焼き尽くした地面に足を滑らせた。

 それでも倒れない。

「はぁあ!! 」

 瑞風の体勢が崩れる。だが構わない。

 叫びにのせて、勢いをそのまま乗せた右パンチ!

 地中竜譲りの首の付け根に叩きつけた!

 二つの巨体が絡まるように、ごう音を上げて立つ。

 瑞風の左手が指からパラボラアンテナ状に、ドラゴンメイドやワイバーンのプラズマレールガンと同じ形になる。

 ひときわ大きなプラズマが放たれ、その爆発で瑞風自身が後ずさるほどの。

 それでも黄金怪獣は余裕を持って首を少し揺らしただけだ。

 瑞風は全速力で後ろに回り込み、パンチを連発する!

 翼の付け根、肋骨に守られない脇腹や首を狙う。

 衝撃で足元がえぐれる。クレーターが次々と掘られた。

「ウップス。ぜんぜん効かない!? 」

 金色は平然と顔を巡らしただけだ。

「いえ、時間稼ぎは充分です! 」

 オウルロードの視線は頭上の、マグマのドームの天井に向いていた。

 赤く不気味に輝くドームに、黒い円があらわれている。

 そこから青いドラゴンが顔をだした。

 サイガだ。

「サイガさんが、穴をあけてくれました」

 オウルロードの説明。

「海水は一瞬で蒸発されましたが、一度突っ込んでしまえば、水蒸気の圧力で内部から斬り裂けます! 」


 サイガが呼ぶ。

「早く! 外に! 」

 そして頭を引っ込めた。

 ルルディックやレイドリフト四天王の、VIPを乗せた艦隊が穴に向かって上昇する。

 瑞風からも思わず声をかけた。

「急いで! 」

「モタモタするんじゃ無いよ!」

 マグマの壁から、サイガの蒸気カッターが爆発する。

 噴出は瑞風を目指し、ドームを引き裂いていく。

 その時、黄金怪獣は腹をVIP艦隊に向け、光を迸らせた!

 オウルロードが。

「クエーサー砲です! 」

 ドラゴンメイドが。

「首を締めよう! 」

 巨大な背中に飛びつき、首にしがみつく。

 そのまま力をもめるが、怪獣には何の変化も見られなかった。

 それどころか、瑞風はバリアを張っていたにもかかわらず、腕から異常な音が聞こえる。

「クエーサー砲の熱が! バリアの想定を超えています! 」

 緊張したオウルロードの声も、ドラゴンメイドの脅威感をかきたてた。

 黄金怪獣は邪魔者を振り落とそうと暴れている。

 今はバリアに阻まれているが、首への戒めなど、その指先だけで千切りそうだ。

 翼も、バタバタと暴れる。

「ドラゴンメイド! オウルロード! このまま投げよう! 」

 瑞風が黄金怪獣の背中を改めて踏みつける。

 そして全ての推力を使い、後ろに勢いよく転がる!

 黄金怪獣は瑞風の腕から外れ、巨大なクレーターの反対側へ飛んでいく!

 腕を動かしてみる瑞風。

 動きはしたが、ぎこちなく、金属のこすれる嫌な音がした。

 その時、瑞風の後ろまでサイガの切り裂きが届いた。

「さあ! 早く出て! 」

 サイガが呼びかけたが、爆音でかき消された。

 黄金怪獣の胸の結晶が、光を増している。

 その結晶が胸から翼に滑るように移動する。

 黄金怪獣の翼はクエーサーの光を、ロケットのような推進力として得た!

 勢いよく飛び上がる黄金怪獣。その先には、ドームを出たばかりのVIP艦隊!

「まてぇ!! 」

 瑞風は傷んだ手を伸ばす。

 その先の地中竜譲りの長い尾を掴んだ!

 当然クエーサーの光にさらされる。

 それを避けながら、背中によじ登る。

 絶対に離さない心で、全推力で制動をかける!

 それでも止まらない。

 怪獣が電撃で反撃すると、瑞風のバリアとの間ではじけた。


 ガツン!


 サイガもしがみついてきた。

 瑞風は身長300メートル。全長70メートルのサイガなど足一本分もない。

 それでも速度は鈍った。

 サイガはさらに海水をロープのように地面に垂らしていた。

 地面を引っ掻きながら、避雷針になってくれる。電撃が逃げていく。

 これをチャンスととらえた瑞風が、黄金怪獣の翼を蹴る。

 軌道が激しく曲がり、分厚いマグマドームに頭から突っ込む。

 超高温の粘液を引きずり、ぶち抜いて外に出た。

「ぶ、VIP艦隊は!? 」

 ワイバーンに聞いた。

「大丈夫! 離れていくよ! 」

 カメラは奇跡的に無事だった。

 VIP艦隊が空へ登っていく。


 だが大地に目を移すと、そこかしこで陽炎と煙で揺らめいていた。

 真っ赤なのっぺりした世界に成り果てていた。

 息を呑む。喉を詰まらせる。

 その音を仲間と重ねた後、ドラゴンメイドが聴く。

「あれ、全部マグマ?! ぎゃっ」

 きつい衝撃!

 あきらめない黄金怪獣の高機動に言葉が詰まる。

 それでも見えた。クエーサー砲の熱は、視界の地面をことごとく焼いていた。

 そして海側。

 マグマが海水に触れ、沸騰した蒸気が壁のように立ち上がった。

「あんな遠くまで……ひゃっ! 」

 マグマの果てが見えた。

 向こうには、街が広がっているはずだ。

 だが今は、生活の光が全く見えない。

 人工心臓でなければ、今頃は辛さで痛いほど激しく脈打っていただろう。

「落ち着いてください。住民の避難は完了しています。

 冒険者や政府関係機関も、それに合わせて」

 オウルロードが言った。

「そう、あうっ! よかった」


 だが、目まぐるしく回る視界の中、別の物に釘付けになる。

 マグマと燃えていない土地の間で、何か蠢いている。


 それについて聴こうとしたとき。

『瑞風もサイガも、そのまま押さえていろ!! 』

 ジェットの轟音が空をつんざき、それにも負けない男の声が聞こえた。

「今のは、オルバさん!? 」

 気がつけばまわりに、飛行能力を持つ冒険者たちが飛び交っていた。

 皆、手にワイヤーの束を持っている。かぎ爪が付いていた。

 それに混じった黒い影。

『確保を優先する! 』

 彼の号声と同時に、かぎ爪が飛んでくる。

 かぎ爪を焼き払うと、黄金怪獣が電撃を放つ。

 だが青白い電撃は、いくらかも飛ばず円形に広がり、消えてしまった!

 学園艦隊の一隻、次元潜航艦マーングターの力だ。

 自身だけでなく山さえ次元の彼方へ追いやる力で、電撃を霧散させたのだ。


 ワイヤーが次々に黄金怪獣の手足に絡まる。

 スピードがさらに遅くなった。

 正面に黒い怪鳥が見える。

 怪鳥は黒い巨人となり、手にした先を輪にしたワイヤーを黄金怪獣の首にかけた!

 オルバイファスだった。

 ワイヤーは全長1キロメートルの巨艦イライラ・ベイに繋がれていた。

 これまでにない減速!

 あまりの制動でドラゴンメイドの意識が飛びそうになる。

 多分、タケくんも同じだろう……。と思いかけて。

「あわわわわ。今、気絶してた?!」

「いえ、お二人共にしてないと思います。さすがPP社の脳改造技術です」


 オルバイファスの身長25メートルの身体は、黄金怪獣の首に降り立つ。

『お前達! 早く下りろ! 』

 そして、かぎ爪を踏みつけ黄金のウロコに食い込ませる。

 黄金巨人からの防御の電撃は、放たれていた。

 だが絡まった各ワイヤーから学園艦隊へ、そして避雷針から地面へ追いやられ、完全に無力化された。

 やって来るワイヤーは確実に増え、そのたびに黄金怪獣は動けなくなる。

 さらに、高度も下がっていく。


 瑞風はサイガもろとも、飛び下りた。

 すぐ下に山頂がせまっていた。

 あおむけで、山に寝そべるような格好で軟着陸する。

「オルバさんは!? 」

 一人残ったオルバイファスは、首にしがみつき、肩にのせた2門の大砲で黄金怪獣を狙っていた。

 おそらく、首の付け根の鎖骨の隙間に。

 そこなら骨に邪魔されず、心臓まで衝撃が届くからだ。

 二つの砲火が見えた。

『ギャー!!! 』

 恐ろしい、黄金怪獣の絶叫!

 だが素早く立ち直り、巨大な爪で切りつけた。

 それは間一髪で当たらなかった。

 オルバイファスは飛び降り、戦闘機に変形すると猛スピードで飛び去った。


 黄金怪獣は一人ぼっちになった。

 ドラゴンメイドはそう思った。そう感じるのは自分だけかもしれないと思いながら。

 あの怪獣は、実際には複数の種族、個体の集合体だから、集団と言っても間違いではない。

 それでも、その姿に孤独を感じたのだ。


 次の瞬間、黄金怪獣に撃ち込まれた砲弾の時限信管が発火した。

 異形のボールのような炎が、空に広がる。

『オルバさん必殺の反物質砲弾だ! 今だ! 』

 冒険者たち同士で勢い付ける叫びが、無線で重なる。

『これで黄金怪獣は酸欠だ! 畳み掛けろ! 』

 その後は各レーダー波や、サーチライトの嵐!

 次は、それに誘導された無数の攻撃の嵐!

 極彩色の波となり、天の一点に殺到する。

 消えかけた炎のボールが、さらに大きなボールによってはじき出された!

 だが黄金怪獣は諦めなかった。

 火の玉を貫いて、クエーサー砲の光がばらまかれた!

 夜空が昼間のように照らされる。

 その光のなかに、消えそうになる二つの光があった。

 今や白い巨龍となったルルディックと宇宙空母インテグレート・ウインドウ。

 ほんのわずか黄金怪獣に近かったのは、インテグレート・ウインドウだった。

 その後部を、すべての護衛を突破した一撃が襲った。


 VIP艦隊の、本当にVIPが乗る2隻は、ポルタから宇宙空間へ逃げようとしていた。

 だが、KK量子の影響がどの程度残っているかがわからない。

 まず無人のドローンを飛ばして調査していたのだ。

 それも終わり、ルルディックが虹色のリングでポルタを作りだす。

 当然、黄金怪獣との間には、意志を持つ星団メタトロン、宇宙戦艦フェッルム・レックス、巨大ロボットのディスパイズロボがいる。

 この護衛たちが、撃っている間は安全! と言わんばかりに砲撃を続けていた。

 だが、クエーサー砲は安全ではなかった。

 まずルルディックがポルタに入ったところで、インテグレート・ウインドウが襲われた。


「ああっ! 」

 ドラゴンメイドは、これまでの努力が無に帰するのを感じた。

「どうしよう! インテグレート・ウインドウがやられちゃったよ! 」

「落ち着いてください! まだ不時着は可能です! 」

 オウルロードの声だ。

「2号がインテグレート・ウインドウに移られるようです。助かりますよ」

 オウルロードの言うとおり、ポルタの向こうへ消えるルルディックから、ドラゴンを形作っていた白い魔法文字がはがれていく。

 魔法文字はゆっくり落下するインテグレート・ウインドウに、改めて取りつく。

 そうだ。こういう時のオウルロードの言葉はいつだって正しいんだ。

 そのことが、ドラゴンメイドを落ちつかせた。

 ただし、いやなことでも正しいんだ。

「それと、あちらも危険ですよ」


 瑞風のほんの鼻先を、ミサイルが通り過ぎた。

 空ではなく、地上と平行に飛ぶ一撃。

 その着弾地点にセンサーを集中させる。

 たぎるマグマと、まだ燃えていない街の境に着弾した。

 ここでも、続く攻撃が次々と牙をむく。

 むけられる相手は、陽炎を上げてうごめくマグマだ。

 いや、違う。

「爆縮委員会も、進化してる!? 」

 ワイバーンの言うとおりだ。

 ライオンの巨人、鹿の竜、熊の大樹。

 それらが皆、大きな翼と結晶、黄金の体、そして人間の頭を持っていた。

「あれ? エアクラウンはどこ? 」

 ワイバーンが気付いた。

 瑞風と構造を同じくする、量産型ロボットがいないことに。

「映像、ありました。

 爆縮委員が進化した時、内部の天上人がバラバラになって、あの大群に加わったようです」


『えーと、瑞風さん! 生きてるの!? 』

 足音とともに近づく砲撃音。

 ついさっき作られたコールサインに戸惑っているらしい女の子の声。

 青い、身長50メートル級の人型ロボットだ。

 ただし足は逆間接。

 両腕に大砲、右肩にミサイル、左肩に多数の砲を束ねたバルカン砲という物々しい姿。

「ブロッサム・ニンジャ! 」

 ドラゴンメイドにとっては、こういう時にはコールサインで呼び合う、見知った冒険者仲間が乗る。

「ゴキゲンだね」

『稼ぎどきだからね。あんたもやる? 』

「今はネットワーク派勇者のお仕事中よ」

『あらら。それは残念。

 魔術学園派の入れ食いね』

 ブロッサム・ニンジャは山影から出した砲撃で、黄金爆縮委員をけん制し始めた。

 右腕のレールガンから超音速の砲弾が、衝撃波で木々をなぎ倒しながら飛んで行く。

 左腕のレーザー砲は切れ目のない軌道で空の敵さえ撃ち落とす。

 右肩のミサイル、左肩のバルカン砲も、大群の動きを止める。

『左の山に迂回してくる敵がいるよ! 』

 ブロッサム・ニンジャから聞こえた声を、さらに幼くした声がした。

「ディメイション・フルムーン! 」

 身長100メートルの人型ロボットが、最前線にやってきた。

 黄色と白のストライブで彩られた装甲。

 腰から頭まで幅のある四角い箱状に構成されているが、手足はスマートだ。

 重装甲と高出力を売りにした機体だが、瑞風に比べると3分の1サイズでしかない。

 人型だったディメイション・フルムーンが、突然四つん這いになった。

 ブロックを組み合わせていた背中の装甲が、隠されたアームに導かれ左右に広がる。

 装甲の下には、大砲のような機械が隠れていた。

『爆砕シールド! 』

 広がった機械から、圧縮された空気が飛びだす。

 その圧縮空気が超音波で振動され、高温でありながらその場でとどまる、炎の壁を作りだした!

 連続爆発を率いて、迂回する敵に突撃する。

 その姿は4足歩行の猛獣を思わせる。

「あれ? ウイークエンダー・ラビットは? 」

『フルムーンの背中にいるよ! 』

 三度、同じような少年の声。

 ディメイション・フルムーンの背中から、赤い影が飛んだ。

 ブロッサム・ニンジャと同じ構造を持ち、格闘戦向けに調整された赤いロボット。

 それが飛びかかり、殴りかかる様はドラゴンメイドでも追い切れないものがある。

 ただ、飛び散る黄金の陰の数が、頼もしい。


 さらに、上空には3体の母艦である雷霧が飛来した。

 左右に合わせて400メートル、まっすぐ羽を伸ばした影が真上で制止する。

 その機首に備えた巨大な機関砲を、正面の敵集団にお見舞いした。

 追いついた冒険者たちがそれに続く。

 突撃が始まった。


 その中に身長50メートル級の生徒会も混ざっていた。

 緑のカマキリのようなカーマと、巨大なハンマーを持つ青鬼のようなディミーチ。

 青く光る模様を銀の甲殻に反射させているのはジルだ。これで冒険者デビュー戦だ。

 右腕にドリル、左腕に円形のエンジンノコギリをつけたフォルテス・プルース。


 人間大の冒険者もいる。

 明らかに獣とわかる影も。

 テレジ・イワノフの金色の髪が、ちらりと見えた。


「調子いいじゃない! 」

 ドラゴンメイドはうれしくなった。

「でも、これだけじゃ倒せないんだよね」

『そうなの。エネルギーをある程度吸収できる液体を、骨格で支えたボディ。多彩な攻撃……』

 ワイバーンに尋ねられたブロッサム・ニンジャが。

『でっかいドラゴンメイドと闘ってるみたい』

「失礼な! 」

『わ! わかってるわよ! でも、構造は似てるんだから、何かいいアイディアはないの!? 』

「本当に同じ構造なら、液体構造に不純物を混ぜるのは!? 」

 そうだ。ボルケーニウムは敵のあきらめきった死の魂によりアレルギー反応を発症し、使えなくなった。

『液体とはいっても、頑丈になったみたい。もうえぐれたりしないよ』

「それじゃあ、それじゃあ……」

「インテグレート・ウインドウが緊急着陸する! でもスピードが速すぎる! 」

 ワイバーンが呼びかけた。

「瑞風のサポートが必要のようです! 」

 オウルロードも。

『瑞風! こっちはいいから! インテグレートを救って! 』

「わかった! 」

『いっくよ~! 悪霊退散! 』

 ブロッサム・ニンジャは、そう外部スピーカーで言い切った。

 そして、敵に突撃する。

 瑞風もわずかに体を浮かせ、4足の獣のように山を駆け下りた。

 300メートル級とは思えない、猫そのもののしなやかな走り。


(悪霊、か。

 スイッチア人に三種族、旧宇宙帝国にはとても、理不尽な呼び名でしょうね)

 走りながら、ドラゴンメイドは考えていた。

 地球の常識としては、スイッチアとは高度なAIを持つロボットを残して滅んだ、全てが公害で覆われた星。

 周辺の宇宙も同じだ。

 しかも、スイッチアのロボットは地球に攻め込んできたこともある。

 だがシエロや爆縮委員にとっては、自分達は何年も前に死んでいることになる。

 そして。

(なんで私、あいつらと構造が同じと聞いた時、怒ったんだろう? )

 瑞風は山肌を滑るように降りる。

 街に差し掛かると体を浮かせ、2本足で立つ格好になる。

 そのままインテグレート・ウインドウの着陸地点まで、反重力で飛んだ。

 まだ崩れていない家があるが、暗闇に沈んだ街だ。

「空中で待とう。地上で受け止めるより優しくとめられる。

 街もつぶさずにすむからね」

 ワイバーンに言われ、そのとおりにインテグレート・ウインドウを待たせる。

「なるべくスピードを落とす距離を長くとりましょう。

 捕まえたら海へ飛んでください。

 海に付いたら足でブレーキを掛けます。

 その後、向かい側の浅瀬に止めましょう」

 オウルロードが予定を地図にして見せてくれた。

「よし、それだ。受け止めるのは、ウインドウの真正面でいいんだね? 」

「はい、そうです! 姿勢制御は自力で可能だそうです。

 押しつぶされないようにしてください」

 瑞風は大きく手を広げ、バリアの形を巨大な籠のように整える。

 インテグレート・ウインドウがせまる。

 今は2号の魔法が白いドラゴンとなって囲い込んでいる。

 墜落の心配はない。

 だが後方の炎と煙は止まらない。

 船体下から魔法が外れ、あらわになる。

 各部にあるバーニアから小さく噴射を繰り返し、何とか体制を保っている。

「10・9・8・7」

 オウルロードのカウントダウンが始まった。

「6・5・4・3・確保! 今! 」

 ほぼおなじ300メートル同士のぶつかり合いにしては、小さな衝撃だった。

 瑞風が張り付いた!

 腕だけではなく、全身で支えるようにして、共に飛ぶ!

 震動はないが、制動をかけた分の衝撃が来る!

「足をおろして! 浅瀬で完全に静止させます! 」

 体勢を変え、今度は足から腕まで支え棒のようにした。

 浅瀬でも、瑞風のかかとから大波が上がる。

 ごつごつした震動は、海底の岩を削っているからだ。

 大きな岩があれば転ぶかもしれないと思ったが、それはなかった。

 計画道理に巨体は滑っていく。

 そして。

「静止に成功しました! 」

 かかとのすぐ後まで海岸に迫っていた。

 テトラポットでおおわれ、それを超えるとコンクリートで護岸されている。

 その向こうには舗装道路、そして住宅地になっている。


『助かったわ。瑞風! 』

甲板にいる二号がドラゴンに話させる。

『ランプウェイを伸ばして中の人を下すから。

 もっと海岸へ近づくね』

 白い翼が羽ばたきもせず移動する。

 インテグレート・ウインドウが支柱を伸ばすと、優しく下した。


 艦尾の火事が海水に触れ、急速に蒸発させる音がした。

「あの火事に海水をかけて大丈夫? 」

「ええ。構いません」

 オウルロードの許可が出た。

 瑞風は手で海水をすくい、火事にかけた。

 みるみる火が消えていく。

 インテグレート・ウインドウがランプウェイをおろしはじめた。

 だから、素早く人々を逃がせるだろう。

(とっさにそこまで考えられるなんて、さすがオウルロード)

 火事を消しながら、ドラゴンメイドは感謝した。


「戦線を見てください。地球側の方が、有利のようです」

 オウルロードも安心したようだ。

 確かに、空では黄金怪獣がとらえられている。

 地上では地球側が押し返していた。迂回して側面を突こうとした敵戦力は、もともと数が少なかったらしい。

「ほんとだ。なんでそれだけの数で迂回したのか、不思議なくらい」

 明るい色をまき散らす彼らでは、隠れることさえままならないだろうに。

 それが隠れる場所があるとすれば。

「でもなんで、爆縮委員は海に入らないんだろう? 」

 ワイバーンの疑問は、ドラゴンメイドも感じていた。

 それは自分たちに降りかかる危険への不安とは違う。だが気になることでもある。

「あれだけ高熱の者が海に入ると……水が蒸発する。それで浮力が得られなくなって、沈む? 」

「ですが、天上人の力を使えば熱エネルギーを吸収できるのですよ? 」

「そういうノウハウが、伝わって無いのかもしれない」

 ワイバーンに言われ、少し考えた。

「彼らは、同じに進化したのに、お互い信じていない?

 その上、自分たちに与えられた力を憎んでいる? 」

 その時、ドラゴンメイドはさとった。

「そうか! それがあいつと似ているといわれた時、怒った理由なんだ! 」

 ワイバーンに怪訝そうに聞かれる。

「何? どういうこと? 」

「今のあいつらの弱点……。と言っていいのかな?

 スイッチアの四種属、もしかしたら、政治委員としてきた異星人も、一つになってああなったんでしょ?

 だけどその進化は、私たちが怖くて追いつめられたから選んだ。

 合体はしても、互いに信じてはいない。

 だから、新しく与えられた力が怖くて仕方がない。

 と思うんだけど、どう? 」

 オウルロードが、録画映像を見せてくれた。

「その考えは、正しいと思います

 先ほど敵が行った包囲作戦ですが、味方同士での同士討ちが多発しています」

 映像の中で、爆縮委員が地球側を狙うためにL字型に展開している。

 爆縮委員の位置は、自ら光ることではっきりわかる。

 そんな爆縮委員から放たれた光、クエーサー砲は、冒険者を狙ったはずが、そのまま味方の陣地に突っ込んだ。

 L字型だった戦線は、たちまちI型になった。

 そしてIの字がぐちゃぐちゃと乱れる。

 恐ろしい粛清が始まったのだ。


 インテグレート・ウインドウのランプウェイから、救急車が列を作って走りだした。

 ランプも光らず、サイレンも光らない。

 黒いビルに捕らえられた異星人を乗せ、目立たないようにして。


「あのさ、バカなことかもしれないけど……」

 ワイバーンが考えを述べはじめた。

「あいつらの目的は、ここで戦って銀河列強に戦力を見せつける事なんだよね?

 だったら僕たちが撤退すれば、勝手に帰ってくれるんじゃないかな? 」

 オウルロードが素早く打ち消した。

「それはどうでしょう。

 実は、地球側の戦線もだいぶ崩壊しているのです。

 オウルロードの理屈で言うと、200キロは撤退しなくてはいけませんよ。

 挟み撃ちになっていないという事は、ただ単に逃げただけかもしれませんが」

 

 救急車の列がのびていく。

 だが、甲板に縛り付けられたビルからの救助はまだ済んでいないはずだ。

 色とりどりの小型人型ロボットがてつだう。

 ドラゴンメイドとオウルロードのアイドルグループ、メイトライ5のオーバオックスだ。

 黒い多脚戦車もいる。

 1号の専用機である、マークスレイだった。

 ドラゴンメイドは初めて見た。


 火災は消せた。

 その時、オウルロードが叫んだ。

「地上の爆縮委員に動きが!

 一丸となって、海に向かって行きます! 」

 カメラが山に向く。

 本当だ。

 先ほどまでの同士討ちや粛清が嘘のように。

 ドラゴンメイドたちが見た時、すでに海に飛び込むところだった。

 黒い海中に沈む、自ら金の光を放つ集団。

 それは、集団であるとは思えないほどまとまり、素早い速度で泳ぎ始めた!

「何!? あの動き!! 」

 驚くドラゴンメイドに、ワイバーンが。

「空の黄金怪獣と同じ、合体したんだ!

 それにあのスピード。

 水を自らの熱で一瞬で蒸発できるのなら、水の抵抗をなくすることができる。

 海中を走ってるんだ! 」

 海中の黄金が向かう先は、インテグレート・ウインドウ!

 瑞風の手がプラズマレールキャノンに変わる。

 二号ドラゴンの口の中に、虹色に輝くリングがうまれる。


 黄金が近づくたびに、押しのける海水が大きくなり、ついにはじけた。

 同時にプラズマキャノンとリングが放たれた。

 続いて、爆発!

 その爆心にいたのは、新たな黄金怪獣。

 身長こそ100メートルほどだが、空でとらえられているそれと、そっくりだった。


 瑞風のプラズマが矢継ぎ早に放たれる。

 それでも黄金の勢いは、押し戻されながらも止まらない。

 巨大な爆炎が包み込んでも、浅瀬を駆け上がる!

「あれ? 何あれ。あいつの首」

 迫る黄金怪獣にも、長い首があった。

 だがその形がおかしい。

 顔の数だ。

 地球人と同じスイッチア人だけではない。

 ペースト星人、バルケイダ星人、ワタレ-星人、機械の様な物もある。

 無数の顔が、首全体を覆っていた!

 そのたくさんある口が、一斉に動く。

『すぐに、お友達がいっぱいいるところに連れて行くからね! 』

 その視線は、甲板の一点に、黒いビルに注がれている。


(やっぱりそうだ)

 ドラゴンメイドは確信した。

(これは異星人たちもスイッチアも関係なく共通した思い。

 自分たちの得た力を憎み、それは黒いビルの中に捕らえられた子供達も同じだと信じてる! )

 無数の口から閃光がほとばしる。

 地中竜譲りの炎だ。

「やめろ! 」

 二号のドラゴンが噛み付いた。

 口からリングを生みだし、透明なボール状の牢に変化させ、怪獣をとらえる。

 固く閉された牢屋は、怪獣が暴れてもびくともしない。

 そのまま遠くの海岸に抛り捨てられた。


「おかしい」

 ワイバーンが気付いた。

「あの大群が合体してこれだけのはずがない。

 残りは、海!? 」


 沖の海底から、光がほとばしった。

 海水も沸騰どころか、灰色の水蒸気が空高く湧き上がる!

「クエーサー砲! 来ます! 」

 オウルロードに言われるまでもなく分かった。

 だが、瑞風にできることは、体をできるだけ広げ、インテグレート・ウインドウをかばうことぐらいだ。

 今まではなんとか避けてきたが、もう、それもできない。

 2号の翼が瑞風ごと包み込もうと動かす。

 少しでも守り合えるように。

 だがそれは間に合わない。

 それに、すでに離れた救急車の列を守ることはできない。

 ドラゴンメイドは嫌だった。

 せめてそれを示したくても、叫ぶことしかできない。

 もう、脆弱なバリアをクエーサー砲が貫くはずだ。

 その後は瑞風の装甲板。

 自分のチタン装甲など、いくばくもなく吹き飛ぶだろう。

(脱出は?

 この中の方が安心でしょうね)

 オウルロードなら、遠くのランナフォンへ電子的に逃げられるだろうか?

 と思ったが、クエーサー砲の中でまともに電波が飛ぶとも思えなかった。

(そうだ、立体映像で皮膚がある姿を見せるの忘れた。

 攻めて綺麗な笑顔で2人にお礼を言いたかった……。

 でも、2人ならわかってくれるよね……)

 

「達美ちゃん! 編美ちゃん! 今までありがとう! 」

 突然ワイバーン、鷲矢 武志が叫んだ。

 それを聞いてドラゴンメイドも、肩書など関係ない、真脇 達美として答える。

「こちらこそ! 」

 オウルロードも、親からもらった久 編美として叫んだ。そう信じた。

「お世話になりました! 装甲板に、異常発生! 」

(編美、もういいよ)

 報告を続ける彼女にそう言おうとしたが、なにかがおかしい。

 未だに衝撃も閃光も来ないことに気付いた。

 オウルロードは続ける。

「装甲は融解などしていません!

 それが、なにか違う物質で置き換わっています。

 装甲内から収納されていたわけではありません! 」

 そう言われて、ドラゴンメイドもワイバーンも外を見た。

 光の中で、たしかに灰色の装甲が何か輝く物に変わっていく。

 まるで絵の上に、新しい絵の具を重ねていくような変化だ。

「変化後の物質が判明しました。これは、海中樹の結晶体です! 」

 オウルロードの言葉に、我が耳を疑った。

 だが、変化した装甲は確かにクエーサー砲を吸収する。

 これならダメージが来ないわけだ。


「何これ? 進化!? 」

 いきなりのパワーアップに、ドラゴンメイドは素直に喜んだ。

 装甲の変化は背中にも及んだ。

 その背中から、次元を超えて曲げられたクエーサー砲が放たれる。

 それは天高く飛び、あの拘束された黄金怪獣に直撃した!

 黄金怪獣は、不細工に曲がった異形のボール状に引き伸ばされた。

 そののち、爆炎!

 曲げられたクエーサー砲は、倒れたままの小型黄金怪獣にも襲い掛かった。

 その一撃で檻が割れ、吹き飛ばされ、その余波は文字どうり大波となって街を襲った!

 白波に襲われた家が、一瞬で吹き飛ぶ。

 道路もえぐられ、瓦礫に変わる。

 

 正面からのクエーサー砲が止まった。

 撃った相手は、この砲撃を後悔したように後づさった。


 瑞風がそれを追い、殴り付けた。

 相手の首には、やはり異星人を含めてたくさんの顔がついていた。

 その首を右手だけで締め上げる瑞風。

 硬いはずの皮膚が、簡単にへこむ。

 瑞風のパンチもキックも、黄金怪獣は防ぐことができなかった。

 かざされた黄金の腕はおしかえされ、少しずつ歪に歪んでいく!

 その余波は再び大波を生む。

 動けないインテグレート・ウインドウが、あおられる!


「あれ、私、こんなコントロールしてないよ」

 ドラゴンメイドは恐ろしくなってきた。

「僕も何もしていない! 」

「私もです。瑞風は、誰のコントロールも受けていません。

 完全なAIによる制御です。

 ですがこのAIは、以前の検査では存在しなかったものです! 」

 その時、ワイバーンが何かに気付いた。


 彼らの後、インテグレード・ウインドウの甲板で、いくつもの光が動いている。

 それは、あの艦にいた人びとだった。

 地球人も、スイッチア人も、異星人も、懐中電灯を手にしている。

「何かを叫んでいるみたい」

 それが何だというのか、ワイバーンはその声を拡大した。

『がんばれー! 』

 普段なら喜ぶべきもの。

『負けるな―! 』

 それは、無数の応援の声だった。

『僕たちを助けて! レイドリフトさん! 』

 

「更新履歴だ! 」

 ワイバーンは、慌てた様子で指示を出した。

「この機体が地球にくる前の、最後に整備した人間は? 」

 何に気づいたのだろうか。

 とにかくオウルロードはそれに従った。

 ウインドウに数字とアルファベットで示されるロボットの名が並び、流れて行く。

 その最後、つまり過去にあったのは。

「作業責任者はカーリタース・ペンフレッド。許可はシエロ・エピコス」

 ドラゴンメイドにも、それが何を意味するのか分かった。

「何、それってまさか? 」

 だが、その答えを言う時間はなかった。


 その時、操縦席の照明が消えた。

 モニターや計器類も、次々に意味を失う。

 おかしい、と思った。

 この部屋には独立した非常用バッテリーがあり、まだ余裕があるはず。

「緊急脱出しよう! 良いね! 」

 ドラゴンメイドが、自分の席の下にある黄色い大きなレバーを握る。

「うん! 」

 ワイバーンも自分の席にあるレバーを。

 二本のレバーを同時に引けば、操縦室は固形燃料ロケットで外に放りだされる。

「よろしいですよ」

 オウルロードも同意したので、ドラゴンメイドがカウントダウンを始める。

「スリーサウザンド、ツーサウザンド、ワンサウザンド、ゼロ! 」

 レバーが上がる。

 ゴーッ! と轟音が響き、操縦室が上昇し始める。

 加速していく。

 しかし、するはずのない金属音と共にカプセルが止まった。

 ロケットの轟音に隠れても、3人のセンサーには金属音が聞こえる。

 切り刻み、轢き裂く。

 壁の向こうで、なにかが近づいてくる音だ。

 その何かが壁を突き破ってきた。

 ロケットを襲ったのはそれに間違いない。

 黒い、せいぜい30センチ四方の箱型胴体に、昆虫の様な6本足とハサミのような口がある。

 床に落ちると金属らしく重そうな音がした。

 オウルロードの体、ランナフォンをかばい殴りつける。

 5,6匹まとめてあっさり砕け散った。

 だが7,8匹目が殴った腕を、それ以後は全身に噛みついてくる。 

 それらもなぎ倒す。

 だが金属の虫は数を増し、ギシギシと音を立てて部屋を埋め尽くす!

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