第2話「初めての戦闘」
エンスは崩壊した砦からデセスペラシオンに入ると、そこに広がる現状に驚愕する。
「な…なんだよ………これ」
建物からは黒い煙が立ち上っている。辺りを見渡せば逃げ惑うデセスペラシオンの住民達。そしてそれを追い回し襲う魔物の群れがある。この街に魔物が現れる事は殆ど稀で魔物は基本、人気の多い所を好まないはずなのだが。
住民達を追い回す魔物の群れの一匹がエンスに気付いて襲いかかって来た。
「くっ、来んな!」
エンスは魔物に背を向け走り出した。しかし、魔物との距離は縮むばかりで距離は取れない。
「うわッ!?」
エンスは瓦礫に躓き正面から倒れてしまった。エンスは近付く魔物に向かって瓦礫を投げつける。魔物はそんなエンスを嘲笑う様に口の端を上げる。そして魔物は鋭い牙をエンスに見せると跳躍し襲いかかった。
その時、フィランの声が聞こえた気がした。
─剣を抜いて!─
エンスは鞘から剣を引き抜いた。一閃、鞘から引き抜かれた剣は魔物の牙を砕く。
魔物は牙を砕かれ悶え、そして怒りを燃やす。唸り声をあげた魔物はエンスに再び襲いかかる。
エンスは立ち上がり、両手に剣を持ち構え叫ぶ。
「もう、どうにでもなれよ!」
エンスは魔物の噛み付き攻撃を避け、魔物に斬撃を加える。
魔物は悶えながらも爪や牙を使った攻撃をし続ける。エンスも二本の剣で少しずつだが魔物にダメージを与えていく。
「くたばれよ!」
エンスは片方の剣を魔物の背中へ突き立てた。魔物の悶える雄叫びをあげ、そして魔物は動かなくなり、魔物は薄い闇色の光を放ち消えていった。
エンスは荒い息を整えながら魔物に追われる住民達の元へ駆け寄る。
「早く逃げて! …面倒くさいなッ!」
住民達はエンスの言葉に頷き、被害の出ていない都市部へと逃げる。
今度は数体の魔物を相手にエンスは剣を構える。
魔物は口から炎を吐き出す。エンスは倒壊した建物の壁を盾にし、回避した。そして再び魔物に攻撃をする。
エンスは魔物の群れに身を躍らせ、次々と魔物を消滅させその身は闇色の粒子に包まれる。
しかしまた新たに魔物が現れ住民達を襲い始める。
「次々湧いてきやがって……」
闘いに慣れ始めたエンスは次々と魔物を蹴散らす。
しかし、魔物の数は一向に減らない。
エンスは魔物を蹴散らしながら、街中を駆け回る。
「グオオオオオオア!!」
突然魔物の咆哮が聞こえてきた。その方角は世界の断片の中央広場がある場所だった。
エンスの現在地から中央広場までは然程遠く無い。
エンスはすぐに中央広場へと走り出した。中央広場へと駆け出しながらエンスは空気が冷たくなっていくのを感じた。
「間違いない」と確信した。中央広場の方角から聞こえてきた咆哮の持ち主、それこそがこの都市を襲った魔物のリーダーであると。
「お前が親玉だなッ! ………って、で…デカ過ぎだろ!」
エンスが目にした魔物はエンスの身長を遥かに超えていた。大きさは周りのビルと変わらない程大きく、紺色の鎧の姿をした巨人─紺巨人は周囲のビルを斬馬刀で破壊する。
その瓦礫がエンスにへと降り注いだ。既に広場周辺の民間の避難は済んでいるらしく悲鳴も人気もない。
「ちっくしょー! 広場をグチャグチャにしやがって、覚悟しろよデカブツ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます