第3話 great sea & big ship キサチの秘め事
ビンゾウとキサチの二人は、
「なにか凄くて秘め事が詰まっているもの」程度の認識だった。
この街では、豊漁を願って毎年「坂道」を作る習わしがある。
治三郎のおじいさんもそのまたおじいさんも続けてきた、いわば伝統のようなものだった。
街の真ん中の大きな坂。キサチの育ての親の坂。
あの伝説となった「
「キサッチャンがよければ、俺、舟に乗るよ」
呼吸が整ったビンゾウがボソリと呟いた。
特に問いかけてもいなかったキサチは、突然のビンゾウの言葉にビクっとなったが、
「そうだねえ」とだけ小さい声で答えた。
ビンゾウに届いているかもわからないぐらいの小さな声。
小さな声の持ち主はキサチの他に4人いる。正確には4人いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます