115豚 自由連邦:ダンジョン都市ユニバース
「帝国が兵を下げたぞー! 戦争は起こらない! 傭兵稼業なんて辞めてみんな冒険者になろうぜー! 特にここユニバースなんて周りをダンジョンに囲まれて成り上がりにはもってこいだぞ!」
「誰かパーティ組まないかー!? こっちはC級冒険者が三人に、D級冒険者が一人! C級ダンジョンに挑戦したいやつこの指とまれー!」
ガヤガヤとした喧噪が街の至る所で行われている。
自由連邦の一大都市ユニバースは荒野の中に建てられた都市であった。
その始まりは周辺に存在する数多のダンジョンを求めて大陸中の冒険者達が続々と集まったことに起因する。
自分のランクに合わせたダンジョンで稼ぎ捲る冒険者や荒くれ者達によってただの地方都市に過ぎなかった都市ユニバースではいつのまにか裏カジノや違法商品の売買が行われるようになり、暫くするとユニバースはアンダーグラウンドの者達が集まる聖地となった。
その後は各国の横流し品や違法製品、さらには一攫千金を求めて大陸中から多くの人物が訪れるようになり、ユニバースは自由連邦有数の都市として成長することとなる。
「B級ダンジョンでゾンビモンスターが大繁殖してるらしいぞ! 冒険者ギルド二階でクエストがバンバン出てるから受注するなら一気に取ろうぜ!」
「なあ、何でS級冒険者第一位の情報ってどこにも無えの?」
「ああ!? S級一位はひたすらダンジョンに篭って金稼いでるって噂だぜ!? お前も知ってるだろ? A級からしか入れない冒険者ギルドの三階にゃあS級一位をダンジョンから引っ張り出してこいなんて特別クエストも張られてるらしいぜ!」
都市ユニバースは金になる。
自由連邦を影で支配する反逆ギルドはそう判断すると潤沢な資金や人手を次々と送り込み、ただの地方都市であったユニバースはますます繁栄と拡大の一途を辿ることとなったのだ。
そして滅びた皇国からの流入民が自由連邦に流れ込んで数年も経つと、ユニバースは遂に自由連邦にて最も栄える街にまで辿り着いた。
例え周りを荒野に囲まれていても、都市ユニバースには食料や衣類といった生活に必要な物は潤沢な資金によって整備された街道から次から次に集まってくる。
「それより聞いたかよ! 冒険者でもねえダリスのスロウ・デニングを冒険者ギルド本部は特A冒険者に指名したって話! これが意味することはたった一つ!
「あぁ? どういうことだよ」
「冒険者ギルドが守ってきた厳格な伝統! S級冒険者はどの時代においても七人しかその存在は許されねえ! ずっと空いてる第七位にスロウ・デニングが入るんじゃねえかってもっぱらの噂だぜ!」
「おいおいそりゃああり得ねえ話だッ! スロウ・デニングは冒険者でもねえんだから! S級になるなんて俺たちが許さねえよッ!」
「そりゃそうだ! 幾らスロウ・デニングがドラゴンスレイヤーって言ってもS級になるには俺達冒険者が認めるようなすんげえ伝説を達成しなけりゃいけねえ! あのネメシスの
荒野に存在する数多のダンジョンは全て都市ユニバースに構える十以上の冒険者ギルドの手によってFランクからAランクまで適切なランクに維持・調整されてある。
そのためにこの都市ユニバース近郊に存在するダンジョンに潜る冒険者には冒険者ギルドからダンジョンコアの破壊は厳禁であると厳しく伝えられていた。
そんな自由連邦の一大都市で大きく話題となっている出来事は大きく二つ。
「何で帝国は急に軍を下げたんだろうな? 三銃士の力を前面に押し出して北方を平定したあの戦争王にしちゃあ可笑しな話だ」
北方との国境沿いに配置されていた兵士がいなくなり、帝国では戦争終結宣言が出されたとの噂が今南方の各国で駆け回っていた
そして、もう一つは―――
「ダリスに生まれたドラゴンスレイヤーを探せ! 有力な情報には金がたんまり貰えるって話だ!」
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