128豚 火焔の戦い【VS A級冒険者】③
「分かったぷぴ~~! オークの里の皆に伝えるぷぴ~~~~~~~~。皆着いてくるぷぴ~~!! ―――ぷ”ぴ”ぅ!」
捕らわれていた子供達を連れてゼロメガブータが走り出した。
と思ったら緊張していたのかゼロメガブータは地面から出ていた木々の根っこに躓いて激しく転けた。
E級モンスターの彼らはかっこつけようとしても中々上手くいかないのだ。
オークだもん、しょうがないね。
「ぅぅぅぅ……痛いけど頑張って伝えるぷぴ~~~~~~」
● ● ●
弱弱しいモンスター達が織り成す喜劇のような一部始終。
「そう。もう終わりでいいのね、オークキング。それじゃあ始めようかしら?」
そんな彼らをじっと見ていた者がいた。
その者は人間だった。
オークキングを呼び出すために子供のオークを捕らえた半裸の男だった。
「でも泣かせるじゃな~い? B級モンスター、オークキング? 私はダンジョンの中以外で出会うモンスターは狩らないようにしてるんだけど、これだけの規模の村を支配するオークキングはさすがに見過ごせないわよ~?」
鍛え抜かれた胸板厚く、鋭い眼光に一寸の隙は存在しない。
恐らく生涯消えることは無いだろう生々しい傷跡は冒険者としての生き様を感じさせ、そんな肉体を惜しみなく披露する半裸の男こそが
「でも私流の筋は通したわよ~? ダンジョンならダンジョンマスターがダンジョンコアを食べるまで待つけれど……この綺麗な自然の中はあの暗いダンジョンとは程遠い」
リンカーンは先程の弱弱しいオーク達のやり取りをひどく退屈そうな眼差しで見つめながら、頭の中では今後の方針を検討するに余念が無かった。
オークキングを倒した後はオークの村に集まったモンスターを襲撃、それは間違いなく既定路線だ。その次はやはりダンジョンに潜るのが最適か、それとも皇国の街に集まっているとされている強力なモンスター達の情報を探る方が有益か……。
だがそんな真面目な思考の裏で、ゼロメガブータという名前はさすがに無いだろと何度も笑いそうになったのは彼だけの秘密だった。
「だからオークの里で一番強いオークキング、つまり貴方をわざわざ呼び出したのよ~? これってとっても正々堂々だと思わないかしら~? ねぇ、オークキング? そう思うでしょう~?」
「銀色の腕輪……お前がスローブの言ってた
―――若きオークキングは腰に差したナイフに音も無く手を掛けた。
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