第2話

 埼玉県某市某所の3階建ての本屋があるマンションにて、どこでも同じようにそこでも新年が迎えられた。

 本屋は年末休みの紙をシャッターで貼り、その上の3階に住んでいるマンションの1室で俺は朝方に目を覚ます。

 今年の正月に俺はそこで18歳を迎えた。

 だが、ちっとも嬉しさも湧き上がらず、何とも言えない昨日の無気力感だけがしこりとして残っていた。

 昨日たった2時間も寝てないせいでもあるが、今は不思議と眠くならなかった。

 昨日のあの日の先輩達の言葉から俺は立ち直れないでいた。

 もちろんそれはサークルの解散のことだ。

 今日は正月の初詣だが、そんな気分でもなく、冬休みの宿題も進まないままコタツでテレビを呆然と見ていた。

 テレビではアニメの特番をやっている。

 昨日先輩達が本にしていた魔法少女物だった。

 テレビアニメのキャラがお決まりのセリフを言って番組は終わった。

「今年も私達が世界の平和を守るのですわっ☆」

 その魔法少女のセリフに俺は思わず、こう言いたくなった。

 世界の平和は守れても、俺の創作場所は守れなかったなっと言いたくなったのだ。

 こんなことは言うだけ虚しいだけだった。

 俺は脱力して、コタツに入り、昨日の事を考えた。

 昨日の理屈は解るが、やはり納得できなかった。

 先輩たちは来年は大学3年生だし、それはもちろん就活をしなければならないだろう。

 だから出来ないとヘタレな発言に受け取るわけにもいかない。

 けれど俺は就活しながら卒論を描いて同人誌を出している大学生の人を知っているし、今年も出しますよと元気に言っていた。

 隣のスペースで半日しか話さなかった人だけど、彼は凄い人だと思った。

 だからと言って3年近く活動した先輩たちを否定することは出来ない。

 受験に就活は、人として誰もが通る道だろう。

 よほどの金持ちでそんなものは必要ないと言う人もいたが、論外にしよう。

 結局のところ俺には2人に無理して同人を続けてくれ、なんていう強引なやり方は出来ないし、先輩たちが無事に就活が出来た後で再会することを願うくらいにしかできなかった。

 我ながら無力な結論だと思う。しかし、他にどうしようもできない。

 同人作家だって人だ、事情もあるし、いつかは辞めなければならないと誰だって遅かれ早かれきっと来るだろう。

 でも、逆に先輩たちの立場を自分に照らし合わせて考えてみた。

 もし自分がこれから大学に行って、創作を続けながら先輩達と同じように就活をしなければならなくなった時に、果たして選べるのかと?

 就活をしながら創作をして、良い就職先にちゃんと就いて、今後も同じように両立をしながら、仕事もこなしていけるのか?

 俺にはそれがとても困難に思えた。

 先輩たちの選択は決して悪い事でもない、けれど納得が出来ない自分自身がそこにいて納得しようにも納得できずにいた。

 現実的な壁にどうしようもない創作を続ける自分の無力感のようなものが出てしまっていた。

 ただ創作をしたい、それが大人になると許せなくなるほど厳しい物なのだろうか?

 それは悲しくもバカげているとさえ思えてきた。

 実際にまだなっていないのに、今が1番マシにさえ思えるようになって嫌な気分にすらなった。

 出るのはため息だけで、いつかこの漫画を描ける時間も仕事に削られ、このまま無個性な大人として社会の歯車になってしまうんだろうか?

 そう思うと先輩たちは覚悟を決めていたのだろうか?

 覚悟というのは、大人になって創作をやめて、これまでの漫画のスキルを今後使わずに公務員やサラリーマンなどの労働者になって、疲れで時間が取れず働いていく覚悟を、遊びの余裕がある学生のうちに持たなければいけない覚悟の事である。

 そんな覚悟は嫌だが、こればかりはどうしようもないし、そう思うと大人になっても社会人のまま創作を続けている人たちが立派にも思えてくる。

 もちろんこれは俺こと青井弘樹の1人の価値観だ。

 そしてテレビの魔法少女が俺のそう言った事情を改善してくれるわけでも守ってもらえるわけでもない。

 俺もいつか創作に終わりを付ける日がやってくるのだろうか?

 それは凄く嫌だ、と言いたい自分がいてもどうしようもない気がし、今描いているに作品にもやる気が乏しくなっていく気がした。

 こんなことを考えていてもしかたなく、もしかしたら描ける日があるかもしれない、創作を続けて無駄にならない日が来るかもしれないと勝手な希望的観測で俺はやけくそ気味に漫画を描くことにした。

 解決にもなっていないし、事態は何も変わらなかった。

 それは結局ただの逃避行動に他ならなかった。

 どこかでまだ甘えがあると自分で気が付いていた。

 俺はまだ受験が一足先に終わった高校生だから、あと4年ほど残っているから、先の事は考えなくて良いんだ。

 そういった嫌な逃げが自分の心の中でくすぶっていた。

 いつかは来るのに何も対策が思いつかない。

 何とかしようとしても、逃げに走り、不安がまた襲う。

 最悪の堂々巡りだと思うが、考えるのをやめてどうにかなるものでもないのは火を見るより明らかだった。

 漫画を描きながら余計なことを考えない様に、俺はタブレットをボードに走らせた。

 タブレットというのは絵をパソコンで描くための筆のようなものだ。

 先輩たちもタブレットによるデジタルの絵描きツールで作品を生み出している。

 今の時代だと、ほとんどの絵描きがタブレットと描画ソフトによる作品作りが主流になってきている。

 アナログの人も今の時代だと少なからずいるが、年々アナログの絵描きは減ってきているのが現状だ。

 理由は色々とある。

 1番ポピュラーな理由としては、制作の進行速度が早いと言う理由だ。

 実際にアナログよりも慣れると、完成度の高い作品が早めに作り出せるためにデジタルに移行する人が結果として増えていくのである。

 それが逆にアナログで描いているのが珍しいと言う理由で注目もされる場合もあり、個性として成り立つ一例もあった。

 俺の知り合いの同人作家のエンゼル☆フレンチさん(仮名)はそれで注目される同人作家で実際に商業でウェブ漫画の連載を任されている。その人はもちろんアナログ一筋で絵に味があり、俺も凄い人だと思っている。余談だが、実際話すと結構シャイな人だった。

 話がほんの少し脱線したが、それだけデジタルの絵描きは普及していると言える。

 その次の理由として、デジタルはアナログと違って何回でも絵のやり直しができるので気軽に漫画やイラストが制作できるのが良い点だ。

 アナログの場合は一度ミスをするとその絵は大抵やり直しが出来ないケースが実際によくある。

 例えば色を間違えたとか、余計な線を引いて悪目立ちしたとか、インクが乾いていないまま液体が下に垂れて台無しになったとか、そういったミスをデジタルは修正して元に戻してくれる。

 次にデジタルならではの色々な塗り方や効果線が気軽にできると言うことも理由に入っている。毎回トーンや絵の具などを買わなくても、デジタルはそれらのコストを大幅にカットすることが出来る。つまり財布に優しいのだ。

 他にも色々あるが、主にそういった理由から多くの絵描きに利用されている。

 同じように小説を紙で書かず、テキストファイルやワードを用いて作品を作るように現代の絵描きや小説書きはデジタルである。

 気軽に絵の見せ合いも通信ツールのスカイプなどで出来るので、デジタルで描かれたイラストなどはそういう意味で非常に便利でもある。

 そういう俺も当然のように絵描きソフトを2万円で購入し、使っている。

 今年で3年目だが、他の画材を買わない分、長くソフトを使って絵を描くことを続けば続くほどお得である。

 通常デジタルで手軽に絵を描くには絵描きソフトとタブレットの二つが必要だ。

 絵描きソフトは色々あるが、俺はクリスタという漫画専用に強めなソフトを愛用している。

 そしてタブレットは先っぽの芯が一定の期間長く使い続けていると壊れることがあるので、たまに芯を買いにネットショップで買わなければいけないときがあるがセットでせいぜい二千円ほどだ。年間単位で考えると安いものである。

 しかし俺のタブレットも長く使ってきたせいか、ボロボロになりつつある。無理もないかれこれ4年も使ってきた旧式だ。

 そろそろ新しいタブレットが欲しいと昨日売れ残った同人のあとがきにひっそりと書いたことがあるが、誰かが買うわけでなく、俺が買うものなので虚しいあとがきである。

「今日はここまでか」

 俺は疲れで漏れた一言とともに布団に潜った。

 時間はまだ昼頃だが、明日も休みだし、ひと眠りしようとゆっくりと体を伸ばした。

 布団に潜り心地よい温もりの中で、俺はうっすらと意識が遠くなり、睡眠へと入っていく。この眠りを妨げる者は誰もいないのだと、まるで世界の支配者のように変な自信と優越感を持って俺は眠りに入った。


 ※


 うっすらとした意識の中で、誰かが俺を賛美している。

「こんなに素晴らしい絵を描いた人が君のような少年だとは思わなかったよ」

 顔の見えないスーツを着た男が俺にそう語りかけてくる。

「将来は画家か?いやヨーロッパで修業すればいいものが手に入るかもしれない」

 顔の見えない男はそう俺に語り掛ける。

「彼はうちの生徒の中でも絵が上手いんです。今回のコンクールで先生がそれほどお褒めになるとは思いませんでしたわ」

 年を取った女性の声が隣で聞こえる。

 ここはどこだろう?

 ドアの向こうには学生服を来た人の群れと校舎の通路。

 額縁には様々な水彩画や油絵が飾られている。

 自分の中でこの場所に憶えがあった。

 ここは自分が中学の頃にいた教室だ。

 そしてここは美術室だった。

 教室には2人の人影がある。

 人影というのは語弊があるが、人ではない気がした。

 2人の顔がぼやけていて見えない、思い出そうとしても思い出せずぼやけたままの人の形をした人のようなものだった。

 俺はそんな人の形をした2人に何やら褒められている。

 こんなことが昔あった気がする。

 たしか中学の絵のコンクールに入選した時の事だった気がする。

 なぜそのことが今また同じように行われているのだろう?

 夢なのだろうか?

2人のやり取りは俺の沈黙でも続いていく。

「高校にあがったら美術部に入って絵の練習でもするのかな?その時はまたコンクールに出して欲しいですな」

 1人の顔のぼやけたスーツの男が勝手なことを言っている。

「この子なら優秀な絵描きになると思うわ。頑張るのよ青井君」

 もう一人の年の言った女性の教師が同じように勝手なことを言ってくる。

 なんで平気で人の進路を決めつけるのだろう?

 俺はただなんとなくコンクールがあるから全員で絵を描いて、それらを応募する美術の授業に課題の絵を出しただけなのに、なんで勝手に進路や云々で決められて話が進んで行くのだろうか?

 酷く不愉快になった。

 俺は絵が好きではあるが、漫画の方がもっと好きだ。それを解ってほしい。

 なぜ解ってくれないのだろう?

 怖くなって俺は出入り口のドアを開けて、走っていた。

 誰も呼び止めない、そうあの時は話が終わるまで待っていた。

 逃げもしなかった、適当に「まだ僕にはわかりません」とだけ答えていた。

 過去だった、この一場面は間違いなく俺の過去の出来事のような気がした。

 逃げればそこから色んな声が聞こえた。

 同い年くらいのクラスメイトの色んな声だった。

 聞きたくなかった絵についての声だった。

 色々な声が無人の通路から聞こえてくる。

「青井ってすげーんだな」

「私青井君の事は前から気になってたし、将来絵でお金持ちでしょ?告白しちゃおうか

な?」

「えー、止めときなよ。他にもいろんな子が絵のことで青井君の所に来るよ」

「やっぱ絵が描けるだけでも違ってくるんだな」

「俺も将来金で色々付き合えるんなら、今のうちにあいつの友達くんになっちゃおうかな

ー?」

「おいおいマジかよ、お前酷くね?」

「ギャハハハハ!でもコンクールだろ?将来画家はあり得なくない話だって」

「勉強そこそこなやつだったけど、絵はもっと出来るのか。そっち側の人間な訳ね」

 やめてくれ、聞くだけでどれも不快だ。

「ちょっと絵が描けるだけで、調子こいてんでしょ?ああいうのって、ああ、やだやだ」

「告ったあとでさ、絵描きだから裸婦とか頼まれちゃうかもよー」

「やだーキモいー」

「自分が特別と思ってんじゃねえぞ!くっそムカつくぜ」

「サインとか貰っとけばプレミアつくぜ。画家って死んだ後に絵が高く売れるんだろ?」

「いい絵描いて死んでお金がっぽりだな。やったじゃん」

 その声を聞いていくうちに、酷く気分が悪くなった。

 どいつもこいつも信じられなくなってきた。

 人の闇を見ている気がして、不愉快になってきた。

「お兄ちゃん」

 どこからか声が聞こえてくる、通路の人影の声じゃない。

「起きてよ、お兄ちゃん」

 誰でもいい。この人影の暗い闇から俺を出してくれ。ここに俺はいたくない。

「いつまで寝てるの?お兄ちゃん」

 声が段々大きくなっている気がした。

 周りが今以上にぼやけてくる。

 ぼやける人影の中に幼馴染みのあいつの姿が悲しそうにこちらを見ていた。

「おーきーてーよ!お兄ちゃんーまだ昼だよー」

 その声に誘われるように俺は周りの視界が真っ白になり、夢という名の悪夢から出て行った。


 ※


 ここは自分の部屋だ。

 どうやらさっきまで昔の記憶から出来た夢を見ていたらしい。

 俺の隣には130cmほどの幼児体系の女の子がいる。

 その子は俺の家族で妹だ、名前は美琴(みこと)と言って、小学三年生だ。

「昼に寝てばかりいたら、牛さんになるんだってママが言ってた」

 妹の美琴が笑顔でそんなことを言って、俺はその牛さんという言葉が滑稽で思わず苦笑いした。

 どうやら寝ていた俺を妹の美琴がわざわざ下の階の実家から鍵を開けて起こしに来たらしい。

 言い忘れたかもしれないが、俺の実家は下の本屋だ。1,2階が実家で俺は3階建てのマンションの1室で暮らしている。

 そういうこともあって、たまに下の本屋から妹が俺の部屋に階段を上がって遊びに来るのだ。

 合鍵は持っているので勝手に入り放題だが、親が無断で部屋に上がったことはこれまで一度もない。上がるのはもっぱら妹の美琴だけだ。

 何か起こす用事があってきたのだろう。

 どちらにせよ、思い出したくもない嫌な夢、というより過去の出来事を見ていたような気さえもした。

 起こしてくれたことに感謝して、美琴の頭を撫でた。

「そうか兄ちゃん牛になるところだったんだな、ありがとう。もう少しで牛になってたかもしれないぞ」

 冗談半分でそんなことを言って、布団から半身を起こす。

 美琴が背中を手でポンポン優しく叩いて、可愛いらしげに言う。

「起きたら歯を磨いて、うがいして美琴の宿題手伝ってほしいの。お母さん自分でやってって言ったけど解らない事はお兄ちゃんに聞けって言ったから、解らないところ手伝ってほしいの」

「わかった、わかった。じゃあコタツに入ってなさい。宿題はそこでやろうか」

「うん、お願い。算数が難しいのあと国語」

 俺はキッチンに向かい、歯磨きとうがいを済ませて顔を洗った。

 なんで今頃になって、あんな嫌なことが夢に出たのだろう、と思いながらコタツのある部屋に戻った。

 まだ若干の眠気が残っていたので、美琴の宿題を手伝って帰ったらもう一眠りしようと俺は思った。

「牛か…牛になった方が楽かもな」

 そんなことをぼやきつつ、コタツの中に半身を埋めて、美琴の宿題を手伝った。

「美琴ここの問題間違ってるぞ」

「えっ、でもここで4をかけないと、この数字にならないよ?」

「その前にここの計算忘れてるぞ」

「あ、本当だ。お兄ちゃんありがとう!」

 少しのどが渇いたので冷蔵庫から飲み物を取り出す。

「美琴のど乾いたか?」

「うん、ちょっと飲みたい」

「カルピスでいいか?お前の好きなグレープフルーツは今ないんだ。悪いな」

「お兄ちゃんもカルピスが良いなら、私も同じカルピス飲む」

 美琴は同じものでよければ飲みたがる一面があるので、兄としては少し変わっているなと思えてしまう。

「わかった、兄ちゃんもちょうどカルピスが飲みたいと思ってたよ。おそろいだ、良かったな美琴」

 美琴はうれしそうに見えた。

「やった!お兄ちゃんと同じ。ペアルックだ」

 どこでそんな言葉を覚えてきたのか、そんなことを美琴は言った。しかも、使い方が間違っているので訂正しておいた。

 カルピスが半分足りなかったので、俺の分は天然水で多めに入れて薄めた。

 飲んでみたが、すごく薄味だった。

 話を変えるが、美琴は下の実家の本屋からたまに合鍵を持って、上がって来ては遊びに来る。

 ほとんどはうちの母親から様子を見てくるように言われているらしい。

 前に美琴はそのことで自分のことをこう言っていた。

「美琴はお兄ちゃんの生活をみる監察官なのだ」

 よくそんな難しい言葉を覚えているなと感心するが、おかげで自立どころか半端な自称一人暮らしをしている。

 現に何かあった時は美琴が親を呼んでくるので、少し自由な一人暮らしが拘束されている感があるが、こればかりは仕方ない。

 というか家が目と鼻の先なのに仕送りはちゃんと銀行に振り込まれるので、なんというか面目ない日々である。

 それは俺が高校生だからという理由もあるかもしれないが、たまにバイトという名目で実家の本屋の手伝いもしているので、なんだか自立しているのかしていないのか微妙な生活ではある。

 まあ、俺が一人暮らしをすることになったのも理由があるのだが、そんなことを思い返していると美琴が色々学校の宿題の問題を聞いてくる。

「お兄ちゃん、この鎌倉幕府って何年に始まったの?」

「ああこれはね。そうだな、それじゃあ美琴は何年だと思う?」

「んっとね1500年くらいに始まったと思う」

 室町時代が無かったことにされているので、とりあえずやんわりと訂正した。

「うーん惜しいなー。正確には1185年だな。国語と算数以外にも宿題手伝ってほしいとは兄ちゃん聞いてないぞ」

「ごめんなさいなの」

 美琴がしょんぼりとしたので、なだめることにした。

「別にいいぞ、そんなことで兄ちゃんは怒ってないからな」

 美琴はそれを聞いて、すぐに笑顔になった。

「ありがとうお兄ちゃん。お兄ちゃんは器がデカいの。菩薩さんなの」

 本当にどこでそんな言葉を覚えてきたかは気になるが、俺は美琴の宿題を手伝うことを続けた。

「そういう器とかは人の前で言っちゃだめだぞ。わかったな?わかったなら宿題手伝うぞ」

「うん、わかった。絶対に言わない」

「よし偉いぞ、それじゃあここの問題何か解るか?」

「えっとね…」

 俺が菩薩かどうかは置いておいて、美琴と遅くまで宿題を手伝った。

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