働いてください
サロメ様の信者が多い理由は、実のところ単純なロジックで説明できる。
なにせ、サロメ様は全ての人類に加護を与えている。その時点で他の神様より大きなアドバンテージを得ているというのに、その加護を与えるタイミングが『その人にとって人生で最も不幸な時』なのだ。つまり不幸で落ち込んでいる時に甘い言葉をささやいて取り込むという詐欺師の手法を天然でやらかしている。そりゃ信者もふえようというものだ。
――うぇええええええん!
そのサロメ様がわんわん泣いている。
コンプレックスの貧乳を指摘された直後こそは、サロメ様の拙なくて乏しい語彙で精一杯僕を罵倒していたのだけれども、罵詈雑言のレパートリーは早くも尽きたらしい。僕の悪口を言えなくなったサロメ様は、今は駄々っ子みたいに泣きじゃくっている。
――うぁああああん! 信一のバカぁ……信一がいつもそういう態度をとるから私は……私だってぇ……うぇえええええん!
涙交じりで支離滅裂になっている泣き言は何を言いたいのかさっぱり分からないレベルだ。お祈りの時間を終えて朝食の時間になってもまだまだ泣き止む気配がない。
まったくもってメンドクサイ神様だ。面倒だけど、こういう時の対処は簡単だ。
慰めるんじゃなくて、追撃してやるのだ。
――サロメ様。さっきからうるさいんですけど。アンナさんとの団らんの時間を邪魔しないでくださいよ。やかましいです。
――うううううう! うるさいってなによぉ! 信一のせいじゃない!
何で僕のせいなんだろ。僕のどこに原因があるのかさっぱりわからない。サロメ様が泣いているのはサロメ様が泣き虫なのが全部悪いと思う。
――そもそも何で泣いているんですか。
――なんでって、それは……信一が小さいって……。
――は? 貧乳の何が悪いんですか? サロメ様、自分のおっぱいに誇りはないんですか? 胸を張ってこれが自分のおっぱいですって言えないんですか!? そのくらいサロメ様にはおっぱいがないんですか!
――信一が、信一が今みたいにバカにするんじゃない……! 何よ。なによ何よ何よ! 小さいからって何が悪いのよ! そんなの私が聞きたいわよっ。
――だから別に悪くないって言ってるじゃないですか……。
僕はあくまでサロメ様だけをイジメたいのであって、他の女性のおっぱいに文句をつける気はちっともない。というか、そんな恐ろしい事はできない。僕は小心者なのだ。おっぱいに貴賤はなく、優越も付けられないのだ。
貧乳はステータス。誰かがそう言った。そうして日本では認められていたのだ。
負け惜しみとして。
――信一は! これだから信一は! いつだって無駄に一言多いんだから!
――だからやめてくださいって。第一、僕がクラス最少を誇った貴樹ちゃんのおっぱいをバカにしたことがありますか? ありませんよね?
――そ、それはないけど……。
――そうですよね! つまり僕はおっぱいを差別なんてしてないんです!
――うぅ……。
サロメ様はぐすぐすとぐずりながらも僕の正論を認める。
ちなみにクラス女子の前で貧乳を揶揄しようものならば地獄に叩き落されるのは『生命』の加護をもらって驚異的な生命力を得た小日向君が証明してくれた。いや、貴樹ちゃんは別に気にした様子もなかったけど、心当たりがある他の数名がキレていた。
ちなみに貴樹ちゃんの場合はロリっ子呼ばわりされるのが地雷スイッチだ。それでいてミス・ランドセルのあだ名は甘受してたから、いまいちあの子の沸点はよくわからない。
――で、でも……『剣』の加護の子とか『欲望』の加護の子の胸に見とれてたことがあるじゃない。それはどうなのよっ。
――それは自然の摂理だからしかたないと思います。
クラスの二大山脈を誇ったおっきいおっぱいに目が引き付けられるのはごくごく自然なことだから、僕、なんにも悪くない。
なのにサロメ様がまた泣き始めた。
――うわぁあああああああん! やっぱりバカにしてるわ! こうなったら告げ口するもん! 信一のクラスメイトの女の子に私の加護をあげるときに、信一が貧乳をバカにしてたって告げ口して信一がひどい目に合うようにしてやるわ!
――やめてくださいよ!?
サロメ様の加護は特殊で、全人類にもれなく与えられるというありがたみのなさがある。つまるところ、この世界に生まれた人間は誰しも一度はサロメ様の声を聞けるのだ。それは僕の他の二十三人の勇者も例外ではない。
だからサロメ様の言っていることはあながちただの脅しでも終わらないかもしれない。
もし僕が貧乳を揶揄しただなんて伝わってクラスの女性陣の怒りを買ってしまったらどうすればいいのだ。うちのクラスの女子は、なんかやたらと執念深くて恐ろしいメンバーが多いのだ。それに貴樹ちゃんは僕が友達だって言い切れる数少ない、それはもうほんとに少なくて片手に満たない稀少な人物なのだから、友情にヒビをいれる様な真似をしないでほしい。
「シンイチさん?」
貧乳をこじらせたサロメ様をどう説得しようかと思い悩んでいると、向かいにいるアンナさんが不思議なものを見る顔で声をかけてきた。
「さっきから黙り込んで食事の手が進んでいませんけど、どうかしたんですか?」
「え、いえ」
まさか脳内で女神様のおっぱいの話をしてますなどと告げるわけにもいかないので、うすっぺらいごまかし笑いを顔に張り付ける。
ちなみにアンナさんの胸は、ほっとするくらい平均値だ。クラスメイトでいうなら、委員長と同じくらいだろう。一番平和的なサイズである。
「あはは、いえ、実はゴブリンの件ってどうするか考えてたんです。あんな危ない魔物が村の近くに住み着いてるって考えたら、食事もうまくノドを通らなくって……」
――なんで嘘をつくのよ。
ぐすぐすとぐずりながら、湿度の高いじとっとした声が頭の中で響いたけど、なんだこの女神様。まさかアンナさんにサロメ様のおっぱいの話をしてましたと白状しろと言うのだろうか。
やめて欲しい。そんなことしたら、朝っぱらから女の子におっぱいの話を振るというセクハラ野郎になりさがってしまう。僕はセクハラが趣味だった小日向君とは違うのだ。清く正しく女性に誠実に接することを心掛け、実行している。
そんな誠実な僕の言葉を聞いたアンナさんが嬉しそうな笑みを浮かべて両手を合わせた。
「なるほど。よかったです。シンイチさんも何も考えないで行動しているというわけではないんですね。少しだけ安心しました」
「はい。今日は朝からずっとゴブリンをどうにかしようって考えてたんですよ!」
――なんで嘘つくのよぅ!
――やかましいですよサロメ様。
確かに朝は眠かったのでゴブリンのこととか考えたくないって言った気がするけど、それで嘘つき呼ばわりはあんまりだ。僕は都合の良い解釈に乗っかっただけであって、積極的にアンナさんを騙そうとしたわけじゃあない。
――いっつもいっつも自分の良いように正当化して……絶対いつか痛い目に合うんだからね!
ぶつぶつとサロメ様が何か言ってるが、そもそもゴブリンの件は要対処案件なのだ。人里近くまでゴブリンが出てくるだなんて言う事態は、魔物が群れて来た前兆である。放置し続けたら村が壊滅するかもしれないほど危険な案件なのだから、ちゃんと話し合わなければならない。当然だ。
「そうですね……」
僕が真面目に事態を受け止めていると勘違いしたのだろう。アンナさんがふむと考えこんだ。
――うぐぐ……。信一って卑怯よね。都合のいい時だけ正論を盾にそういう態度でいるから、後々怒られるようになるのよ。ふん、だ。知らないわよ。後になってアンナちゃんに怒られても、私、信一を慰めてあげないから。
――や、やめてくださいよ変なフラグ立てるのは!
――ふーんだ。
つーんとした口調をして見せてるけど、たぶんサロメ様のことだからいざとなったら慰めてくれるとは思う。だからご機嫌を取らなくてもいいや。めんどくさいし。
「ゴブリンの件は思ったよりも規模がおおきそうなので、近隣の村にある教会で協力しつつ、大きな町へ討伐要請ですね。町の方は冒険者組合に依頼してもいいんですが……そうすると、この村の資金だけでは心もとないです。やはりどこかの村と共同で出資するか、もしくは無理を承知で村人の方々から寄付を募るか。村長さんとも話をして方針を決めていかないといけません」
「へー」
放っておけば忘れるかごまかせば済む単純なサロメ様と違ってアンナさんの方は難しそうな話だ。コミュ力がゴミの僕では何の助けにもならなそうである。僕に人間関係の調整とかそういうの無理だ。全部アンナさんに任せようそうしよう。
ふむふむと頷く僕に、アンナさんは困り顔を浮かべた。
「あの、シンイチさん。そのまったくやる気のなさそうな相づちはやめて欲しいです」
「そんなことないですよアンナさん。僕のやる気はマックスです」
「昨日確信したんですけど、シンイチさんの言葉っていつもその場しのぎで心がこもってないですよね」
「……」
沈黙は雄弁に勝るときもある。何かしゃべるたびにボロボロ何かが崩れ去っていくので、白けた目を送ってくるアンナさんに気が付かないふりして黙って食事に集中することにした。
「そうやって都合が悪くなると黙り込むのも悪い癖です。黙ってれば追及されないとでも思ってるんですか? ダメですよ、そんな姿勢で人生やっていけると思ったら大間違いです」
「あ、はい。すいません」
「それです! その返事が駄目なんですっ。とりあえずやり過ごそうっていう態度がにじみ出ています! そこからまず直していきましょうっ」
もしかしたらアンナさんはお説教が趣味なのだろうか。ただの食事の席でなぜか僕の人生にダメ出しをされ、矯正が始まろうとしていた。
――あの、サロメ様。助けてくれませんか……?
――ちゃんとアンナちゃんの話は聞きなさい。ためになるお話よ?
――おふ……。
サロメ様が敵に回るというまさかの事態に加えてお説教に合わせた指摘が僕を射抜いていく。
どうもいろいろとボロが出ているみたいだけど、一か月近く一緒にいて確信したのが昨日なら、かなりもったほうだ。
視線をあさって方向にさまよわせ始めた僕の挙動不審な様子を見て、アンナさんがため息を一つ。
「まったく、シンイチさんは……そういえば、最寄りの街に枢機卿様がいらっしゃっているらしいですよ。運が良ければ枢機卿様のお力が借りれるかもしれませんね」
「え」
それ以上追及することはなく話題を変えてくれたのは、まぎれもなく優しさだ。だが、その内容にパンをちぎっていた手が止まる。
枢機卿と聞いて、頭のおかしい誰かさんの顔が浮かんだ。
「す、うききょう……?」
「何でもこの近くで魔人の目撃情報があったとかで、枢機卿様がいらっしゃったそうです」
「そ、の枢機卿って……まさか『信仰の鎖』じゃないよね」
「いいえ?」
ぎくしゃくした言葉を絞り出す僕に、アンナさんはきょとんと目を瞬かせた。
「『信仰の盾』様だそうです。確か『守護』の加護を持った、人格者で有名な方です。教会の内部監査を担当している方だとかで、近場にいらっしゃったので急きょ駆けつけたらしいです」
「……そっか」
ほうっと息を吐く。
良かった。知らない人だ。
ああ、ほんとに良かった。『信仰の鎖』だったら、僕はこの村から出てまたどこか遠くへ逃げなきゃいけなかった。『信仰の鎖』って、頭おかしいから絶対に会いたくないんだよね。近づきたくすらない。
そもそも僕が保護されていた聖地から逃げたのって、あいつが主な原因だし。
「まあ『信仰の盾』様がこの村にいらっしゃるかもしれないというのは冗談半分ですけどね。そもそもそれを聞いたの自体、一か月前の話です」
「あれ、そうなの?」
「ええ。一月前に教会の監査の人が来たので、その時世間話に聞いたんです」
その監査の人とやらには覚えがないから、僕が来る直前の話だろう。
僕の知ってる枢機卿の戦力は、ゴブリンの群れごとき相手だとオーバーキルにもほどがある。彼らが運用されるべきところは、もっと別だ。ていうか、魔人が人間の領地で発見されたからこそ出張ってきているのだから、そっちの探索に行くはずだ。
魔人が出張ってくると、魔物が組織だって行動し始める可能性がある。まあ、枢機卿は例外なく超強いはずなので、一月もあれば魔人を倒して元の業務に戻っている可能性もある。
どちらにせよ僕らには関係のない話だ。
「でも実際、山にいるゴブリンの群れを倒すのにどのくらいの戦力が必要なんですか?」
「さあ……。群れの規模が分かりませんから、何とも言えません」
そりゃそうだった。
「どちらにしても、群れの本体でもないのにゴブリン五匹に遭遇したっていうのは予想よりも規模が大きいですね。この村の単独戦力でどうこうなる段階ではなさそうです。そこも含めて話し合いをしなければいけませんね」
「ふうん」
頷きつつも、最後に残ったパンの一欠けらを口に放り込んでもぐもぐ咀嚼する。
この世界も銃火器が生まれているくらいの文明レベルはある。歴史に明るいクラスメイトによると、近世初期くらいの文明レベルらしい。いわゆる、航空戦力はまだないに等しいが、陸海軍は兵器が充実し始めている時代だということだ。歴史のテストで常に平均点を五点ぐらい下回っていた僕にはよくわからない説明だった。
ただ、この世界の文明レベルであっても、魔物に対抗するのは魔法か加護がないと厳しいという事実がある。
魔力はこの世界を見守る神様からこぼれた力だ。地球にはないこの不可思議なエネルギーは、人間の信仰によって接続可能で存在を強化するという法則を持っている。
存在力の強化を言葉で説明するのは難しい。ただ、言うならば魔力を持つもの以外から干渉を限りなく少なくし、反面自分の与える影響を大きくするのが魔力強化の特性だ。
手元から離れた瞬間に魔力強化の恩恵はなくなるので、飛び道具はよほど工夫しない限りは使えない。銃に魔力強化を施すと火薬が爆発しないという実もふたもない現象が起こるというのが、わかりやすい例だ。ちなみに蒸気機関を魔力強化すると不変性の強化のせいか熱伝導力が著しく悪くなって機能不全を起こすらしい。
そのため魔力強化を使えるのは、ある程度まで単純な武具しかないのだ。
そして、信仰心が一定以上ある人間の多くは教会に帰属する。だからこそ、魔物に対する効果的な戦力を抱えている教会は大きなアドバンテージを得ているのだ。
なにせ、魔物は魔力から生まれている。
そのため、魔物はすべからく物理現象に対して強い抵抗力を持つ。
だからこそ魔物の脅威に対抗するには、魔力強化を使える人間か戦闘に使える様な加護を授かった人間かのどちらかが居なければ話にならない。
「それでシンイチさん。お願いがあります」
そして一応魔力強化を使える人間である僕には、アンナさんのお願いが先読みできた。
「魔物の対処を手伝ってください」
「僕、昨日だいぶ働きました。だから一回休みでもいいと思うんです」
「ダメです。また働いてください」
「そんな!?」
一度遠回しに断ったというのに、逃げようのない言葉で追い詰めてくる。
アンナさんにあるまじき厳しすぎるお言葉に、僕は異議を唱えた。
「僕に毎日働けっていうんですか!? そんなつらいことをしろなんて、アンナさんのお言葉とも思えませんよ! もっと僕を甘やかしてくださいっ」
「シンイチさんは私のことなんだと思ってるんですか?」
無能な僕を優しく見守ってくれる女神様だと思ってたんだけど、違うんだろうか。
――それ私のことじゃないの?
――寝言は寝てから呟いてください。あ、いやすいません。寝取りがサロメ様の得意技でしたね。寝技をネタにサロメ様をからかおうなんて、失敬しました。
――ちょ!?
途端にぎゃーぎゃー抗議の声が上がったけど無視。
「アンナさんのことは、優しく僕を甘やかしてくれるプリーストだと思ってます」
「ち、が、い、ま、す!」
僕の意見を聞いたアンナさんは、ぷくっと頬を膨らませてお怒りを表明した。
「私は人を無意味に甘やかしたりはしません。労働は人間として当然の勤めで、生きるために必須の営みです。それをこなす過程で傷つく人を癒すのが慈悲です。怠惰に生きている人に施しを与えるのは、慈悲ではありません」
大変かわいらしいむくれ顔で難しい正論を言うアンナさんに、僕はすがりつくような視線を向けた。
「おかしいですよ! 僕の知ってるアンナさんはそんなことは言わないはずです!」
「シンイチさん」
にっこり笑ったアンナさんが、ずいっと顔を寄せてくる。
あ、やばい。
切り替わったアンナさんの雰囲気を、僕にしては珍しく瞬時に悟った。
これ、まずい笑顔だ。
「私、そんなに寄生しやすそうに見えますか? イリア様より賜った『慈悲』の加護の根源をそんな風に見られていたなら、とてもとても心外ですよ?」
「ほんっとすいませんでした」
恐怖の笑顔だったので、机に額を叩きつける勢いで頭を下げる。
忘れていた。『慈悲』の加護をもらえるような人はみんな、基本的にとても優しいが――甘くは、ない。イリア様の加護をもらったクラスメイトもそうだった。
『慈悲』の加護より癒しの力を授かった彼らは優しく、そして厳しいのだ。
でも寄生なんて、そんなつもりは……ちょっとしかなかったのに、あんなに怒らなくてもいいと思う。少なくとも、一か月近く僕を楽させてくれてたのは事実だし。
――信一? 怒るわよ、私も。
――あ、はい。なんでもないです。
サロメ様までちょっとお怒りモードに入りかけていたので、四面楚歌になる前に状況の改善に踏み込むことにする。
「了解いたしました。僕、きりきり働いてまいります」
そもそも一か月近くアンナさんが僕の行動に何も言わずに教会に住まわせてくれていたのは、一応は高位神官位を持つ僕が何か考えて行動しているのだろうと最大限好意的な解釈をして見守ってくれていたからだ。その誤解が解けたいま、アンナさんが僕の怠惰を見逃す道理はない。これから厳しくされるかもしれないと思うと、今から憂鬱だ。テンションが下がってきた。
「それで、アンナさんはどうするんですか?」
「私は村長宅を訪ねてこれからの予定をまとめてきますけど……代わりますか?」
「無理です」
コミュ障の僕がそんなことするくらいなら、ゴブリンの群れに突っ込んだ方がまだましだ。
「知ってました。それじゃあ、シンイチさんに頼む仕事ですけど――」
つらつらと語られる僕がしなきゃいけない仕事を聞きながら、こっそりサロメ様に話しかける。
――サロメ様、サロメ様。
――あら? どうしたの? ちなみに私は信一がちゃんと働いてくれるって聞いて、ちょっと嬉しいわ。うふふっ。真人間への、偉大な一歩ね!
――そうですか。ちなみに僕の言いたいことも大したことじゃないんですけど……。
――けど?
――そういえばサロメ様って、神話までさかのぼっても働いたことがないよなぁって思って。
――わ、わたしは人間じゃないもの! 神様だもん!
仕事を控えた暗澹たる気分だったので、とりあえずサロメ様をいじったら少しだけ気が晴れた。
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