第30話 〝手紙の手紙″

【手紙の手紙】


不思議なおじさん:『遅かったか…』


世界副大統領:『あなたは、先ほどの…


わ…私は間違っていたようだ…』


不思議なおじさん:『…うむ。

伝えておくことがある。


わたしは、まず、お主の兄を訪ね、話を聞いていた。

というのは、わたしがこの時代で見てきたことと違うからだ。


わたしが見てきたのは、お主の兄は早くに亡くなっており、最初からお主が世界大統領になっておったのじゃ。


それがなぜか変化しておった。


そして、なぜなのか知るためにまず、お主の兄に会い、そして、お主に会い話を聞いたのじゃ。


そして、わかったことは、お主のおかげで、お主の兄は生き続けてこれたのじゃ。


お主の兄には、その事実と、お主にも教えた心の法則を教えたのだ。


その手紙を読んでみることだ。


何かしら、お主のなかで感じるものがあるやもしれぬぞ。』


世界副大統領:『手紙…』


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『親愛なる弟へ』


わたしは、生まれてから、不思議な感じを受けながら生きてきた。

いつも、死を感じながら過ごしてきたような人生だったのだ。

それがなぜだかわからない。


わたしの想いを伝えておく。

こんなことは、面と向かって言えないからな。


手紙という手段を利用させてもらった。


わたしは、常にお前を尊敬してきた。

しかしながら、ことあるごとに、お前が不運に見舞われ、その度にわたしは、お前の努力が報われるように、兄としてその道を見失わないように、ただがむしゃらに生きてきただけだった。

わたしは、常にお前が、その努力が報われることを願ってきたのだ。


しかしながら、それが今までの現実になっていた原因だと教わったのだ。


だから、私は想いを変えることにした。


これで、私の願いが叶うのだ。


弟よ。


長い間すまなかった。


世界大統領となり、皆に称えられるお前の姿をみたかったのだ。


ただそれがわたしの生きる上でのこだわりだったのだ。


もう不運など起こす必要はない。


そして、本来私はもっと早くに亡くなる運命だったことも知った。


そして、その願いが叶わずにきたことで、生きながらえてきたことも知ったのだ。


願い続けて叶わないことで、生きながらえてきた。


その分、いろんな経験をすることができたのだ。


ありがとう。』

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世界副大統領:『う…ウグッ…うぅ…


なんだっていうんだ…

結局、最後まで、私は兄を超えることができなかった…』


不思議なおじさん:『こだわりがもたらしたこのことは、何を示しておるのじゃろうか…


また一つ探さねばならぬことが増えてしもうた…


また、行かねばならぬのか…』

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