第27話 〝反対の反対″
【反対の反対】
マビ:『ねぇ、この世界は何もかもが縮小していっているようにしか思えないんだ。
みんなも、段々と欲望を薄めていって、いつかは消えてなくなるんじゃないかと思えるほどなの。
何かきらめくようなものが感じられないんだ…
私は、人類は、欲望があるからこそチカラ溢れる人生を生きることができると想うの。
欲望ほど生きることを感じれるものはない。
ねぇそう想わない?』
パビ:『なぜ君は、いつもこの世界からはみ出そうとするんだ?
神の教えにもあるじゃないか?
欲望というものには、キリがないと、人類にとっては欲望を失くすことが神への道だと。
我々の歴史を振り返ってみればわかるだろ!
欲望に身を委ねた結果、自らを滅亡させてしまったんだ。』
マビ:『で…でも、周りの人たちが、どんどんロウソクの火が消えていくようなそんな感じを受けるの…
全てが平和で、平等で、穏やかで、お互いを愛し合い、争いなんか見たことがないわ。
それは、みんなが全てはわたしだと考え、同じ気持ちで過ごしているからだけど、私はこのままみんながくっついてなくなるんじゃないかと想うほど不安なのよ。
何かが間違ってるんじゃないかしら?
全ての人が平和で、平等で、愛を与えて過ごす理想の生活だというけれど、何かが違うのよ。
やっぱり、欲望まで削ぎ落としちゃダメなのよ!
それは、ゼロに向かっていくだけなの!
ゼロよ!無よ!』
パビ:『しーっ!何を血迷ったことを言ってるんだ!通報されるぞ!
こっちにくるんだ!
ジジ様に話を聞いてもらうんだ。
そうしたら、少しは落ち着くだろう。』
マビ:『わかった…でも…このままじゃ…ほんとにみんな消えてなくなっちゃうよ…』
【今の今】
パビ:『ほらこっちだ!マビ!
ジジ様がいらっしゃるよ。』
マビ:『あぁ…ジジ様…お会いしたかった…
ジジ様、私は、やはりこの世界の向かっている方向が、何か間違っているんじゃないかと思えて仕方がないの。
全ては一つであるという教えは、理解できても、その元の全てに戻ろうとすることは、何か間違ってるんじゃないのでしょうか?』
ジジ:『言いたいことはわかる。
しかしな、人というものは、いついかなる時も、どんな状況であっても、どんな環境であっても、常に同じような不満、疑問を抱いて生きておる。
マビよ。
お主は今の世界の状況が間違っておると言う。
しかしな、この世界と逆を進む世界でも、お主はその世界の状況に対し、何かが間違っておると言うのだ。
心を読んですまぬが、お主は、欲望を亡くしてはいけないと考えておるな。
しかし、欲望に身を委ねて突き進む世界にいた時、お主は欲望なんかあるから、ダメだと言ってきたのだ。
じゃあどっちがお主の答えなのじゃ?
これは、お主に限ったことではなく、人類に与えられた課題なのだ。
だから、どんな世界であろうと、どんな環境、境遇であろうと実は関係無い。
その〝今″で、どうあるべきかを学んでおる。
どれが良い、どれが悪いかは、お主の想い次第でしかない。
これに気づけぬようでは、どんな時代であろうと、どんな世界であろうと、同じような悩みを抱えて生きるお主から変わらんのだ。
だから、何度も何度も繰り返して、時代を変え、性別を変え、国を変え、境遇を変え、時間の方向も変えて、この世界に来るのだ。
いい加減に学べ。
この世界でお主は、色んなとても多くの人生を経験して、まだその流れから抜け出せていないのだ。
それを学べ。
ある意味、〝今″の世界がどんな世界であろうと関係ないことに、まだ気づけぬか?』
【答えの答え】
ジジ:『こんな世界は…と言ってしまった瞬間、お主は、この世界のせいにしてしまっているのだよ。
自分を変えることをせず、世界に変わって欲しいと願う。
典型的な成長できない人のセオリーなのじゃ。
だから、いつまでもこの世界に来るのだ。
早く気づきなさい。
もう、そうすればこの世界で苦しむ必要はないのだから。
すべては、お主の想いのままに世界が変わってしまうのだ。
早くそれに気づきなさい。
そして、想いかた次第で、素晴らしいものがあることにも気づけなくなるということも付け加えておこう。
例えばじゃな。
今まで特に気にしなかった、道端の小さなタンポポがすごくかわいく、美しく想えたことはないかね?
タンポポでなくても良い。
花でも、木の枝でも葉っぱでも良い。
それは、お主の想い=こころが変わったからだ。
美しい、かわいいと想えるこころに変わったからだ。
あれが悪い、これが悪い、ツライ、憎たらしいなど想っているこころの状態では、決して想えないことだ。
だから、美しいと感じることが出来る自分がいたとき、お主のこころは美しいということなのじゃ。
悪い、ツライ、憎たらしいと感じる自分がいたとき、お主のこころは、悪くてツラくて憎たらしいということなのじゃ。
そして、そのこころに応じて、世界が変わるのだ。
この世界の成り立ちを理解することだ。
そこから、何を学ぶかを〝今″問われているのだ。
何度も、何度も、この世界にやってきては、解こうとしていることなのだ。
だから、この世界がどんな世界であろうと関係はない。
わかったかね。』
マビ:『あぁ…ジジ様…ありがとうございます…
私は…本当に長い間、本当に長い間…この想いの流れから抜け出せて来れなかったのですね…
この教えは、全てです!
私の追い求めていた全てです!
この世界が間違っていたということは、私が間違っていたということなのですね。
本当にありがとうございます…』
ジジ:『そうだ。
それが本当に理解出来たのなら、
もう、この世界にお主は来なくても大丈夫なのだよ。
次のステージへ進むのだ。
もう、この世界で学ぶべきことは終わりなのだ。
たったそれだけだったのだよ。
ただ、それだけのために、何度も何度も何度も何度も、この世界を生きてきたのだよ。』
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