第15話 〝爬虫類愛好会″
ガル:「私をみるようになったというのは、どういうことなんですか?」
ベーア:「どういうこと?…
そのままです…そのまま以外説明のしようがない…
私も…最近、私を見るようになったんです。」
ドグ:「〝私も″ということは、スークさんもそうだったということでしょうか?」
ベーア:「はい…
彼は最近、頻繁に自分をみるようになっていました。
〝誰かがいれば消える″
〝独りにしないでくれないか″
そう言ってよく、私の家に来るようになっていたんです。
私は、スークがノイローゼになっているものだとばかり思っていたんですが。
私も、私をみるようになって、やっとわかったんです。
彼は、ノイローゼなんかじゃなかったと。」
ガル:「自分にそっくりな存在を見る現象…たしか…ドッペルゲンガーだったかな?
見たものは死ぬという噂も聞いたことがありますが…まさか、その現象だとでも?」
ベーア:「…。
はい…私も調べて見ましたが、恐らくそうなんじゃないかと…
だから、正直不安なんです。
まさに、スークがそうでしたから…
それに…」
ドグ:「それに?」
ベーア:「REPTILIENメンバーの中で、同じような話を聞いたんです。
最近次々と、メンバーが亡くなっています。
そして…亡くなる直前、自分を見たという方がいるということも聞いたんです。」
ガル:「REPTILIEN?
REPTILIENって何なんですか?」
ドグ:「REPTILIEN…爬虫類?」
ベーア:「はい…爬虫類愛好会の」
ガル:「まさか!あの噂の爬虫類愛好会がREPTILIEN?
べ、ベーアさんは、あの爬虫類の保護活動のメンバーなんですか?!
も、もしかして、あの大量のネズミは…?」
ベーア:「そうです。
彼らの食事用に育てているんです。
20年くらい前、ある事がきっかけで凄く彼らの虜になりましてね。
スークも、同じ時期にハマっちゃって、色んな種類を集めましたよ。
集めていく中で、不思議と現在のREPTILIENメンバーの方々と知り合い、情報交換する会が自然に出来上がっていきました。
それが、今のREPTILIENの成り立ちです。
私も、立ち上げたメンバーの一人になります。」
ドグ:「REPTILIENメンバーが、最近次々に亡くなっている?
同じように、自分を見たものがいるという情報もはいった…
全て、関連している可能性があるな…
不可思議な事が集まり過ぎている。」
ガル:「しかも、ベーアさんも、その現象を体験するようになっている…
ドグ警部!
これは!何かありますよ!
やはり、警部の〝感″は凄い!」
ドグ:「ベーアさん。
私は、スークさんの死が自殺ではないのではないかと思い、あなたに会いに来ましたが、私の〝感″では、この事の真相は、凄く奥深いものが潜んでいるような気がします。
そして、決して自殺ではない。
やはり、あなたに会いに来て良かった…以前に別の事件であなた達の会社に行き着いた事も、何か関連しているのかも知れない。
色々とあなたにお聞きすることがありそうだ。」
ベーア:「別の事件?」
ドグ:「そうです。
まだ、旧社会で世界政府が出来上がったばかりの頃です。」
ガル:「世界政府が出来上がったばかり?
まだ僕が幼少の頃ですよ。」
ベーア:「もう20年くらい前になりますね。
あの時代…事業が急激に拡大していった頃です。
凄い楽しい頃だった…
野球以上に…」
ドグ:「その頃は、大きな事件が重なって起きてね。
あの時の世界は、めまぐるしく変化が来襲していた。
私もかなり忙しい日々だった。
世界大統領の暗殺…
双子の赤ん坊の一人が産まれてすぐに消失する不可思議な事件…
あと世界中で、小さなサンタクロースがイタズラをする事件が頻繁に発生するという変わった事件もあった。
しかも犯人は、捕まらず。
サンタクロースもストレスが溜まるんだという曖昧な解釈で自然と人々の記憶から消えていった。」
ガル:「あっ!そういえば、僕が幼少の頃の記憶に、小さなサンタクロースに嫌なことをされて泣いていた記憶がありますよ!
それっきり、サンタが嫌いになって、街中でサンタをみる度に泣くようになったって話を親から聞いたことを思い出しました!
でも…それまでの僕とは随分と変わって、なぜか親たちはあの事をありがたい出来事だったっていってたなぁ…」
ベーア:「変化の時代…まさにそう思います。
あの時、何かが始まったような…そんな不思議な感覚があります。」
ドグ:「そう…あの時、何かが始まってしまったんだ…
何かが…」
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