第14話 〝黒″

【エリア5】

ペン:「し…しかし、すごいジャングルだなぁ…

ここは、特別広いし…

これは…段取りよくやらないと、楽しむ時間が無くなるぞ。


でも…このバルーンスーツは、凄い!

この常夏の地で、密閉された宇宙服見たいなスーツを着ろって言われた時はウンザリしたけど、こんなに快適だとは。


どういう仕組みになってるんだろ?

凄い涼しい。


しかも、移動が楽なのがいいね。

ボヨンボヨン跳ねて行けるし、もし彼らに噛まれても、大丈夫らしいからより安心したよ。


よし!最初のエリア5のポイントについたぞ。


さて、シュリンクボールをセットしてっと。」


ブシュッ!

シューゥ…

ブィーン…バシュー!


ペン:「よし!うまく拡散したぞ!」


ザッ!ザザザザザザアー!


ペン:「きたぁ!

みんな、待ってたかのごとく、獲物目掛けてやってきたー!


この瞬間がたまらないんだよなぁ!」


【エリア6】

ケロ:「もう…やめなよ。

ムダだよ。

君たちが、この世界では自由に存在することが出来ないのは、知ってるはずだよ。


この島はもちろんのこと、エリアからすら、もう出ることはできないんだ。


だから、僕がいる。

いいかげん僕を信用してほしいもんだよ。


僕たちがいなければ、君たちは生きて行くことさえも出来ない存在になってるんだ。


もう、自由はないね。


だから、僕に噛みついたって何も変わらないんだ。


もうやめなよ。


それより、これから起こることに対して、君たちも、君たちの思いのチカラを、君たちの使命に基づいて集中しなおさないと、存在すら消されるんじゃないかな?


それだけは、避けたいはずだよ。

さすがの君たちもね。


その怖さ…は、知ってるはずだ。


〝魂の焼滅″だけはね。


〝黒″はもう、この世界を認識してしまったんだ。


逃げられないよ。


もう…逃げられない…」


【エリア4】

ペン:「うわー!サバクツノトカゲだぁ!

スゲー!初めて見たよ!


えっ?

トッケイもいる!

こりゃたまんないなぁ。


ダメだ…ダメダメ!

ここで時間をロスしちゃってたら、あのエリアで楽しむ時間がなくなってしまうよ。


よし、エリア4のシュリンクボールをセットして。」


ガチャ


ペン:「えっーと…ここの発射ポイントは…


あそこだな。


よし!発射!」


ブシュッ!

ペン:「トッケイ触りたかったなぁ…

くそー!次行くぞ!」


【エリア7】

ケロ:「この辺りも、植物たちが赤色に変化し出してきたようだね。


ねぇ、君たちさ。

もう少し待てないかなぁ…

君たちが先走ったおかげで、あとのフォローが大変なんだ。


ハァッ!


やめなよ。無駄だって。

僕に入ろうだなんて、よっぽど追い込まれてるんだね。


とにかく、もう誰にも入らせないよ。

皆には、話しかけないように伝えてるんだ。


君たちの怒りは、痛いほどわかるけど…


彼らは、君たちを生かそうとしてくれているだけなんだ。


怒りの矛先が間違ってるよ。


君たちは、やはり目的を見失ってはいけないんだ。


見失ってはいけない…」


【エリア3】

ペン:「しまった…

あれから…ついつい…

トッケイをさわりまくってしまった…

時間をかなりロスしたよ…


よし!

もう、見ないぞ!

あっ!そうだ!空を見ながらにしよう!


それなら、見なくてすむぞ!


ここで時間くってたらダメなんだからさ…ほんと、なさけないよ…


うわっ!

トビヤモリだ!


うわぁー!

トビトカゲ!


えっ!

ヘビも飛ぶの?


なにここ!

空を飛びまくってる!


カメラ!カメラー!」


【エリア8】

ケロ:「この世界で、君たちは見張り役に過ぎないんだよ。

それ以上でもそれ以下でもないんだ。


せっかく増やしてきたのに、減らしてたら意味がない。


それに…〝黒″が気づいたんだ。


あっちの世界では、大変な騒ぎらしいよ。


こっちの世界どころじゃないかもしれない。


君たちも、こっちの世界にいれるだけ幸せかもしれないよ。

こんな状況であってもね。


幸せなんてものは、何にフォーカスするかで、変わるもんなんだってことが身にしみてわかるよね。


絶対的なものじゃない。

相対的なものなんだ。」


【エリア2】

ペン:「はぁーい!来ました!来ました!やって来ましたぁー!

待ちに待っていたエリア2だあー!


はい!わたくしペンは、テンションあがりまくりでございます!


そうさせていただきます!


はい!


これが、生き甲斐だからでございます!」


〝ビービー″

ケロ:『ペンさん…通信機電源入れっぱなしだから、全部聞こえてますよ。』


ペン:「えっ?うわぁー!しまったぁー…

なんか今日は、しまったぁ…って思うことばかり不思議と起こってるなぁ…

すみません。

お恥ずかしい限りです。」


ケロ:『いえいえ、もうエリア2に入られたんですね。

なかなか順調ですね。

でも、さっきのテンションの高い独り言は少し心配しましたよ。』


ペン:「えっ?

頭がおかしい奴だと思われてしまいました?

恥ずかしいなぁ…」


ケロ:『そうじゃなくて、その勢いで彼らに話しかけるんじゃないかと心配したんですよ。』


ペン:「あっ…すみません…ご心配お掛けしてしまって。

あのもう大丈夫です。

少し、心が落ち着くようになりました。

ありがとうございました。」


ケロ:『じゃあ、あとで最終地点でお会いしましょう。』


ペン:「了解です。」


プツッ


ペン:「興奮してて、通信機の電源入れっぱなしだったんだ…もう切っておこう…」


『おい!』


ペン:「?!」


『お前や!』


ペン:「えっ?」


『お前しかおらんやろ!アホか?』


ペン:「…?!えっ…?


誰も…いないのに…


まさか…」


【エリア9】

ケロ:「き…君は、誰なんだ…?


これは、幻覚ではないはずだ。

僕は誰にも入らせてはいないんだ。

彼らは、稀に人間たちの中に入り込み、人を内から幻覚を使ってコントロールし、この人類世界で遊びたがることがあるが、僕に入り込むことはできない。

だから、幻覚ではないはずだよ。


でも…どうして…?


どうして、目の前に僕がいるんだ?


君は…〝僕″なのか?」


…ドタドタ!


ペン:「〝ウッぎゃー!

助けてー!

で、でた、でた、でたでたぁー!」


ケロ:「えっ?あれは、ペンさん?」


ペン:「助けてー!ケロさぁーん!」


ケロ:「とんだ邪魔が入っ…ん?

いない…

しかし、どうやって?」


ペン:「いたいた!

ハァ…ハァ…

ケ…ハァ…ケロさん!ハァ…

ハァ…出ましたよ!で、で、でたんです!ハァ…ハァ…

やっぱりイヤな予感してたんだ!

関西弁の幽霊がでたんですよ!」


ケロ:「そ…そうですか…また出ましたか…ところで、話しかけてはいませんか?」


ペン:「はい!大丈夫です!

でも、誰もいなかったんですよ!

それなのに声だけが…」


ケロ:「どうやら、いつもと同じのようですね。


しかし…どうして僕が当番の時には現れてくれないのかなぁ?」


ペン:「それは…やなぁ。」


ケロ:「えっ?どうしたんですか?急に?

関西弁?」


ペン:「それは…


この機会をまってたからやー!」


ケロ:「ぺ!ペンさん!」


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