第13話 〝合言葉″

マビ:「ちょっと!

博士よ!

博士が外にいるわ!」


パビ:「えっ!ど、どうして?」


博士:「そりゃまた面白いことになったね。

せっかくの機会だから、中に入ってもらってお茶でも飲みながら、話をしたいな。」


マビ:「ちょっとまって!

この状況を冷静に考えてみて!

どう見たって、外にいる博士が博士じゃない!

ってことわよ!

どう見ても、この骨骨が怪しいじゃないの!

この骨骨!

あなたの正体はなんなのよ!」


博士:「いやいや…困ったな。

マビ、私は私じゃないか。

見た目は、骨骨だけど。」


マビ:「だまされないわよ!

私たちを狙ってるのね!

甘く見ないでよ!

こう見えても結構強いんだからね!」


パビ:「マビ!ちょっとまてよ!

おちちけって!」


博士:「パビも落ち着きなさい。

お乳蹴ってどうするんだ?

ヘンタイの会話になってるぞ。」


パビ:「そんなつもりで言ってませんよ!

言い間違えただけです!」


マビ:「ちょっと話を聞きなさいって!

あなたは誰よ?

何の目的なの!」


博士:「マビが強いのは知っているよ。

なんせ、世界武闘大会に出てるくらいだ。

ボコボコにはされたくないね。

ただ、私は私だからね。

それ以上でもないし、それ以下でもない。

それに…あの合言葉はね…」


パビ:「あっ!そうか!合言葉!

マビ!やっぱり、博士だって!」


マビ:「私はだまされないわよ!

えぇい!」


シューン…!!!


マビ:「えっ?!」


博士:「まぁ、マビ。

〝おちちけって!″」


パビ:「博士!胸をおさえて、

わざと言うのやめて下さいよ!

僕は、僕で、さっきの言い間違いは、結構恥ずかしいんですから!」


マビ:「何?今のスピード!

普通じゃなかったわよ!

どうして?」


博士:「骨骨だからかなぁ?

体が軽いんだよね〜。

当たらなくてよかった〜。

〝おちちけって!″」


パビ:「博士!もはや、何の脈絡もなく言ってますよ!

からかうのはもうやめて下さいよ!

変に気に入っちゃったんですね…」


マビ:「やっぱり、おかしいわよ!

博士にしてはおかしすぎるわ!」


パビ:「いや…ちがうよ。

絶対に博士だよ。

あの合言葉で、僕は確信したんだ。」


マビ:「えっ?合言葉?

あの趣味の悪い、あれ?」


パビ:「そうなんだよ!

僕もちょっと疑いかけてたけどね。

実は、あの合言葉はウソなんだ。」


マビ:「えっ?!

ウソ?

どういうこと?」


パビ:「あれは博士と決めていたウソの合言葉で、本当は、あの合言葉で扉が開く仕組みではないんだ。」


マビ:「なんてこと!

わざと、あんな馬鹿馬鹿しいこと言わせたっていうの!」


博士:「まぁまぁ、おちちけってマビ。

それはそれで、効果的だったということだよ。

外にいる私が、私ではないということがわかってくれたからね。

あの勢いじゃ、いつかおちち蹴られてたかもしれないよ。」


パビ:「博士!

もう〝おちちけって″は、やめてくださいよ!

しつこいです!」


マビ:「でも、なぜなの?

なぜそんなことする必要があったのよ?」


博士:「それは、あとで話してあげるよ。


それよりも、せっかく私ではない私が訪れて来てくれてるんだ。

中に入れてあげればいい。」


パビ:「いや!それは、危険ですよ博士!

何者かもわからない者をそんな簡単に受け入れたら危険です!」


マビ:「でも、私も興味があるわ。

なぜなのか知りたいもん。

ほんと、そっくりなんだから…


…?!


あれっ?


もう、いないみたい…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る