第11話 〝特別ルール″

ペン:「いよいよ、R7か…

やっと…やっとこの日がきたよ。

この為にREPTILIENメンバーになったようなもんだからな。」


ケロ:「おはようございます。

今日、R7を担当するケロです。

よろしくお願いします。」


ペン:「あ…お、おはようございます。

今日初めてR7を担当することになったペンです。

よろしくお願いします。」


ケロ:「あ、初めてなんですか?

それは、楽しみでしょうね。」


ペン:「は、はい!

そうなんです!

いやー、ココに来る為にREPTILIENメンバーになったようなもんですから!」


ケロ:「よくわかります。

ここを志願される皆さんのほとんどがそうですもんね。」


ペン:「しかし…ケロさん。

あなたは、REPTILIENメンバーの中でもかなりお若そうですね。

メンバーの中でも私が若い方だと思っていましたが…」


ケロ:「そうですね。

皆さん、年齢層は高いですよね。

僕たちの年代では、僕くらいですね。

僕の同年代の人たちは、爬虫類のことに興味を持つより、せっかく働かなくてよくなったんだからと言って、遊びまくってますからね。」


ペン:「じゃあ、君は同年代の彼らからすると、相当変わっている人物になるんですね。」


ケロ:「ハハハ…そうですね。

でも、変わっていると言えば、僕の親友なんか、もっと変わってますよ。

いつも、空ばっかりみてるんです。

子供の頃から、ずっと。」


ペン:「空を見上げることは、変わっているとは思えないけどなぁ。」


ケロ:「いや…まぁいいですよ。

会えばわかると思いますよ。

彼は、空を見てこの世界のいろんなことがわかるようになったんです。」


ペン:「ど…どういうことかな?

空を見て何が分かるんだろう?」


ケロ:「空と会話が出来るんです。

そして、空は、この星が生まれた時から存在している言わば、この世界の長老クラスの存在だっていうんです。


『空ってさ。

今まで死んだことがないんだって。

ずっと、この世界を見てきたんだって。

すごいよな。』


それを聞いて、最初は、何を言ってるのか不明だったんですが、空から教えてもらっているという話がどんどんエスカレートしちゃって…

最近じゃ、皆も怖がって近寄らなくなったんです。

僕は親友だから、あまり気にしてないんですけどね。」


ペン:「空と会話?

それは、かなり変わってるなぁ…

なかなかいないと思いますよ。

世の中には、いろんな人がいるんだなぁ…

いろんな爬虫類がいるように…」


ケロ:「あっ?そうでした。

今日のプランをご説明しないといけませんでした。

基本ルールは、どこも同じですので、それは、ご存知ですよね?」


ペン:「あぁ、大丈夫ですよ。

・安全区域から、外には絶対に出ない。

・触れてはいけない。

・持ち帰らない。

でしたね。」


ケロ:「はい。

大丈夫そうですね。

ここR7においては、もう一つ特別ルールが存在します。」


ペン:「え?特別ルール?

そんなの初めて聞きましたが?」


ケロ:「そうだと思います。

・決して話しかけてはいけない。

です。

これは、このR7から、無事帰る為の必須ルールとなります。」


ペン:「無事に帰る?

安全区域内にいる限り、安全なはずじゃないんですか?

そんなルールいつ出来たんですか?」


ケロ:「わかりませんよ。

僕もそう教えられただけなので。

ただ…このR7には、最近いろんな噂がありまして…

とにかく、ルールは守らないといけませんから。」


ペン:「わ…わかりました。

従いますよ。

でも、その噂の件ですが、本当に出たんですか?

ゆ、幽霊…」


ケロ:「僕は知りません。

まだ、遭遇していませんし、ただ…」


ペン:「ただ…何なんですか!」


ケロ:「いや…気にしないでください…

それよりも、目的を遂行することに集中しましょう。

プランを説明します。」


ペン:「気になるでしょ!

その、ただ…

は、相当気になるじゃないですか!

もう、そこまで言ってるんですから、教えて下さいよ!」


ケロ:「すみません…あまり気にしないで欲しいのですが、偶然にも…

その…幽霊に遭遇したのが、なぜか、僕のパートナーばかりなんです…」


ペン:「な?

やめてよ〜そうゆうの…

それは…相当凹むよ〜…」


ケロ:「でも、全員ではありませんし、たまたま最近、僕が担当することが増えたこともあると思いますよ。

時期がたまたま重なっただけだと思うんです。」


ペン:「わ…わかりました。

すごい、イヤな気分になっちゃったよ。

ところでプランは?」


ケロ:「はい。

R7は、この地図を見てわかるように、かなり歪で広範囲な楓状の島になっています。

東側の方から、エリア1〜10まであり、それぞれに生息する種類が生態に合わせて分けられています。

現在地は、ちょうど中間地点のエリア5で、本日は二人での作業ですので、この地点から、それぞれ、東側のエリア、西側のエリアに分かれて進んで行きます。


だいたい、不慣れな方でも、みっちり8時間も見ておけば、完了できる内容です。


彼らの食事を決められた配給リスト通りに、各エリアの設置ポイントに投入するだけです。」


ペン:「中間地点から、外へ離れて行くわけか…

ちょっと、不安だなぁ…」


ケロ:「ペンさんは、初めてですので、どちらが希望ですか?

どのエリアを見てみたいのですか?」


「あぁ…そうですね。

ドラゴン系のエリアが希望だったんです。」


ケロ:「で、あれば、東側ですね。

結構、皆さんが希望されますよ。

わかりました。

今日は、東側は、ペンさんにお任せしますね。」


ペン:「ちなみに…幽霊騒動が起きた場所は、どちらなんですか?」


ケロ:「東側ですね。

特にエリア2のドラゴンエリアです。」


ペン:「やっぱり…

そんな気がしたんだ…

もし、何かあったら、どうすれば良いのでしょうか?」


ケロ:「そんなに心配することでもないと思いますよ。

皆、無事に戻れているんですから。

ただ…ルールを守っていたからという条件付きではありますけど…

それに、それぞれ必ず中央ルートに戻って北側に進むため、お互いそれほど離れることはないと思いますので、何かあれば緊急連絡信号を送って頂ければ、駆けつけるようにしますよ。」


ペン:「わ…わかりました。

決して話しかけてはいけない…ですか?

絶対に守ります!」


ケロ:「はい。

それでは、シュリンクボールをお渡ししますね。

それぞれのエリア別に数字を入れてありますので、数字を間違えないようにお願いします。


ピストルタイプの開封機も支給されていますので、これを使用してください。」


ペン:「あぁ、この辺の部材は、もう慣れているから大丈夫ですよ。

心配なのは、幽霊だけだよ。

でも、ドラゴンエリアは、念願のエリアだし、こんな機会はなかなかないだろうからね。

気合い入れて行きますよ!」


ケロ:「良かったです。

最近、幽霊騒動がでてからは、皆さん東側に行く方が本当に少なくてですね。

僕は、西側に行きたいのに、なかなか行けなくなっていたんです。」


ペン:「へぇ〜

西側ですか?

何か特別な種類がいるんですか?」


ケロ:「えぇ…まぁ…

とにかくありがとうございます。

それでは、始めましょうか。

もしも、分からないことがあれば、無線機で連絡ください。」


ペン:「よし!

行きましょう!」

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