第10話 〝不老不死″

博士:「いや〜久しぶりだね。

マビ。

会いたかったよ。」


マビ:「博士?やっぱり博士なの?

パビ!

あなた知ってたなら先に言いなさいよ!」


パビ:「いや…こんなことになってることは、僕も知らなかったよ。

博士、それはなんなんですか?」


博士:「驚かせてすまないね。

いろいろとあってね…

不老不死の秘薬を作っていてね。

試しに飲んだらこんな姿

になってしまったんだ。」


マビ:「不老不死???」


博士:「ちょっと失敗しちゃったかな。

でも、確かにドクロになっちゃってるから、これ以上死なないと言えば死なないし、骨だから見た目老けてるかどうかもわからないし、まさに不老不死!

成功と言えば成功かも知れないね。」


マビ:「大失敗じゃないの!

早く元にもどったら?」


博士:「うーん…

戻す方法は…

わからない。」


パビ:「どうするんですか!」

マビ:「どうするのよ!」


博士:「まぁ。

いいんじゃないかな。

私も最初は驚いたが、慣れたら慣れたで結構楽しいんだよ。

初めての経験がたくさん出来るからね。

骨の状態で生きれるなんて、こんな経験なかなか出来ないと思ったら、ちょっと楽しくなっちゃってるんだよ。」


マビ:「よく楽しめるわね!

考えられないわ!」


パビ:「僕もそう思いますよ…」


博士:「まぁ、仕方ないじゃないか。

落ち込んでもしかたないことだ。

前向きに生きないとね。

不老不死なんだから、落ち込んだらいつまでたっても落ち込まなきゃいけないじゃないか。


死ねないなら、なおさらだね。

落ち込みながら生きるより、楽しみながら生きたいよ。」


マビ:「確かに…そう言われたら、納得だわ。」


博士:「それより、何しにきたんだね。

なんか用事があったんじゃないのかい?」


マビ:「あっ!

そうなのよ!

ねぇ!博士!

今、この世界では、異常事態が起こっているの!

すべての植物が赤色にしか育たなくなってしまったのよ!

それって、酸素が生成されなくなるし、地球の生き物は、絶滅するかも知れないんだから!」


博士:「あぁ、そのことか。

赤色の植物のことなら知ってるよ。

それに、絶滅しないし、酸素もちゃんと生成される。」


マビ:「えっ?

知ってたの?」


パビ:「いつのまに…

さすがと言えばさすがですが…

それなら尚更のんびりとお茶を飲んでいる場合でもないでしょう。」


マビ:「ねぇ!博士!

この世界で何が起こってるっていうの?」


博士:「何が起こってるかだって?

そんなの知らないな。

ただ、問題ないことはわかるよ。

絶滅することもない。」


パビ:「なぜ?

大丈夫だって言い切れるんですか?」


マビ:「そうよ!

こんな急激な異常事態、今までにないことなのよ!」


博士:「驚いた?

斬新な出来事だった?

予想だにしなかったかね?」


マビ:「えっ?

そりゃあ当たり前じゃないの!

も、もしかして…」


パビ:「まさか?

博士…」


マビ:「博士の仕業じゃないでしょうね!」

パビ:「博士の仕業なんですか?!」


博士:「さすが双子だね。

息がピッタリでいつも感心するね。」


パビ:「ちょっと!博士!

こんなイタズラ度を越してますよ!」


マビ:「ホント!合言葉といい、趣味悪いわよ!」


博士:「ちょっと待ちなさい。

誰も、私がやったとは、一言も言ってないじゃないか。」


マビ:「だって、そんなふうなこと言ったじゃないの!」


博士:「誰もが想像しなかった出来事が世界で起こり始めた時、必ず〝彼″が関わってるんだ。


こんな急激な変化を起こせるのは〝彼″しかいないからね。


とうとうシビレを切らして動き出したんだろうね。


長い間、音沙汰がなかったからこの世界に飽きちゃったのかとおもってたんだが…」


パビ:「それって?

まさか、あの行方不明の〝彼″ですか?」


博士:「あの〝彼″か、この〝彼″かしらない。

私が知っている〝彼″は、〝彼″しかいないから。

少々やっかいなことになるな。


でも。とにかく、大丈夫なんだ。

絶滅などしない。

この世界が存在する意味を考えれば、自ずとこの答えに行き着くんだ。」


マビ:「ちょっと…話が少し飲み込めないわ…

博士が大丈夫だって言うなら大丈夫かもしれないけど。


もしかして、それもあって不老不死の秘薬を作ってたの?

みんなが助かるように?」


博士:「あっ!

そうか!

それはいい考えだね、マビ。

でも、成功すればだけどね。


今のままでは、みんなドクロになっちゃって、それはそれで面白い世界になるかもしれないけど、それが良いかどうかは別のような気がするね。


私は、趣味で作っただけ。

な〜んとなく作れるんじゃないかなぁ〜って思ったら、作れちゃっただけだよ。」


パビ:「また…そんな軽い感じで発明しちゃったんですか?

博士の場合、お遊びから突然すんごい発明に繋がるんだ。


月のエネルギー供給システムのヒントなんかもさ…


四つ葉のクローバー探知器作ってた時に、〝よっちゃん″という人を突然思い出したことがキッカケらしいんだ。


その人の操るエネルギーが、エネルギー変換のヒントになったっていうんだけど。


何のことやらさっぱりだよ。


とにかくいつも、こんな感じなんだ博士は。」


マビ:「ねぇ?博士?

〝よっちゃん″て誰なの?」


博士:「話したくもない過去の話だ。

話しても多分信じないからね。」


マビ:「そう言われたら余計に気になるわよ!」


博士:「それよりも、その身につけている管理装置は、この部屋の中では電波を遮断しているから、外せるよ。

たまには、外してごらん。

身体には、あまり良くない。」


マビ:「えっ?

外せるの?」


ガチャ


パビ:「うわっ!ホントだ!」


マビ:「すごい解放された感じ!」


博士:「だろう?

本来、こんなことまでしなくてもいいんだ。

〝riza″は、人の気持ちなんか考慮しないからね。

管理を遂行する為に必要なら、どんなことでもやる奴なんだよ。


最近、ちょっとやり過ぎ感が強いかな。


とにかく爬虫類を隔離したのはさすがに私も驚いたがね。」


パビ:「でも〝彼女″は、なぜ?爬虫類を隔離したのでしょうか?

博士なら知っているのかと思ってました。」


博士:「知らないよ。

でも、可愛がってたトカゲのトカちゃんが行方不明なんだよ。

それが心配でね。

食事も喉を通らないんだ。」


マビ:「そりゃそうでしょ。

食べても顎から落ちるんだから、通るわけないわよ!」


博士:「なるほど!

マビ、それは面白い発見だよ。

骨骨で生きていくことになると、表現の仕方が変わるんだよ。

言葉の使い方も、今までの人類だから適していた表現だったものが、骨骨ではマッチしないんだ。


これは、面白い世界を作れるかもしれないぞ!」


マビ:「ちょっと…目を輝かせて語ってるけど、みんなその骨骨にしようっていうつもりじゃないでしょうね?」


博士:「ちょっと…そのつもりだけど。」


マビ:「やめてよ!

私は嫌だからね!

そんな姿!

いくら不老不死になれるとしても、そんなのイヤだわ!」


博士:「せっかくの人類の大昔からの夢が叶うのに…」


『🎶おーしりペンペン、オシッコもらした🎶おーならププププおならぷう。』


マビ:「ちょっと?ちょっと!

何なの?

今の?

外から聞こえる?」


博士:「おいでなすったぞ。」


マビ:「えっ?

何なの?」


博士:「その穴から見えるよ。

最近誰かにつけられていて、見られているような気がしていたんだ。

だから、研究室に身を潜めていたんだが、ここまでやって来るとはね。

よほどの目的があるんだろう。」


パビ:「しかも、先ほどの合言葉を使うということは…近くにいたということですよね。

どこに隠れていたんだろう?

隠れるようなところなんてなかったけどな。」


マビ:「博士何をしたの?

誰かに恨まれるようなことしたんじゃないの?」


博士:「そんなことするわけないじゃないか。

それよりも、会って話でもしてみようかな。

私になぜ会いたいのか聞いてみたいんだ。」


マビ:「やめときなよ!

危険だって!

コソコソつけたりするような奴って、ろくな奴いないわ!

だいたいが変質者だって!


ちょっと、わたしが見てあげるわ!」


パビ:「しかし…博士…

あの合言葉は…」


マビ:「そ!そうよ!

合言葉歌ってたから、ドア開いちゃうんじゃないの?」


ガチャ、ガチャガチャ!!


マビ:「あれっ?

開けようとしてるけど、開かないみたい。

えっ?」


博士:「いや…それは、後で説明するよ。

とにかく、どんな奴か見てみようかな。」


マビ:「開かないんなら、わたしが見るわ!

勝手に開けて入ろうとするなんて、結構図々し過ぎるわよ!


一体どんなやつ…な…?

ん…?


…?


ちょっと…」


パビ:「ん?どうしたの?」


マビ:「あれって… は、博士?」


パビ:「えっ?」

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