第8話 〝R7″

ペン:「ドッペルゲンガー…ですか…

でも、実際そんなことありえるんでしょうか?

私は、ただ単に似ている人を自分だと思い込んだり、幻覚を自分で作り上げてしまった、心の病なんじゃないかと思うのですが。」


ワン:「真相はよくわからない。

ただ、ドッペルゲンガーの通説では、自分そっくりの存在を見た、会ったものは死んでしまうと言われているんだ。


だから、本当かどうかはわからない。」


ペン:「じゃあ、今回のメンバーの死も、そのドッペルゲンガーの可能性があるというのでしょうか?」


ワン:「可能性はあるとしか言いようがないな。

実証された現象ではない、いや、実証できない現象だからだ。

このドッペルゲンガーという現象はね。


この世界では、そういった不思議な現象が山ほどあるんだ。


いまだに解明されずに不思議なままとされていることが山ほどね。」


ペン:「それは同感です。

あまりにも、不思議なことが多すぎますよ…」


ワン:「あぁ…。


それと、不思議なことで思い出したんだが…


君はR7の噂を知ってるかね?」


ペン:「えっ?R7の噂?ですか?

知らないですよ。

何なんですか?」


ワン:「誰もいるはずのない、爬虫類たちしかいるはずのない場所で、話し声を聞いたものが多数いるようなんだ。」


ペン:「えっ!

ゆ…幽霊ですか…

明日、R7に行く予定なんです…

それは、嫌な話を聞いてしまいましたよ…


結構その手の話には弱いんです…」


ワン:「そうか。

なら、なおさら気をつけることだ。

かなり、ハッキリとした声を聞いたらしいが、姿は見えなかったという報告だ。


…しかも…」


ペン:「しかも!何なんですか?」


ワン:「かなりどぎつい関西弁の幽霊のようなんだ。

皆、誰かのイタズラだと思って、必死に探したが、どこにも人は見当たらなかったらしい。」


ペン:「そ…それは、かなりツライ情報ですね…

明日行くのやめたいですね…」


ワン:「やめてもいいんだ。

持ち回りで予定組みして運用しているが、無理する必要はないんだからね。

強制しているわけではないんだ。

君がやめたいと言えば、代わりに誰かが好んで対応してくれるはずだよ。」


ペン:「い…いや、そうは言っても、R7は待ちに待ってた区域なんです。

是非見てみたい種類がわんさかいますからね。

幽霊と比較しても、断然あの子たちを選びますよ!」


ワン:「なるほど。

やはり君もR7が好きなのか。

さすがにあそこは人気があるな。


ただ、R7には、他に気になる噂もあってね。

人影を見たものもいるんだ。」


ペン:「それって、本格的に幽霊ってやつじゃないですか!」


ワン:「しかも、彼はそのあと間もなくして亡くなったんだが、奇妙なことを言っていてね。」


ペン:「また…ですか?」


ワン:「人影ではあるんだが、ロボットの幽霊だと言っていたんだ。」


ペン:「ロボットの幽霊?」


ワン:「あぁ。

間違いなく奴はロボットだったと、

しかも、目の前で消えたんだそうだ。

だから、ロボットの幽霊だとね。」


ペン:「確かに、爬虫類たちのいるこの領域には、ロボットたちは一切入らないように〝彼女″が管理してますからね。


完璧な〝彼女″ゆえにありえませんし、やはりロボットの幽霊だとしか言えないですよ。」


ワン:「不思議なことが、この世界では、次から次へと起こるようになっているのかもしれないな。


はたはた疲れるよ…」


ペン:「ワン会長、あなたからそんな弱気な発言を聞くなんて珍しいですよ。

本当にお疲れなんじゃないですか?」


ワン:「あぁ…もう疲れたんだ…

本当に疲れた…


だから、私にも見えたのかもしれない…


もう潮時だと言ってるのかもしれないな…」


ペン:「どういうことですか?

ん?

ま、まさか…


ワン会長!もしや、あなたも?」


ワン:「あぁ…

最近…私も、


〝私″を見るようになったんだ…」


ペン:「えっ!」


ワン:「それもね…

だんだんと距離が近づいている…」


ペン:「ま…まさか!」


ワン:「確かに…あれは…


〝私″だ…」

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