第46話〝真理はどの面から見ても同じ″

博士:「…真理は、どの面から見ても同じ…

昔、ある人から教わった言葉を思い出したよ。」


パビ「真理はどの面から見ても同じ?

それはどういうことでしょうか?」


博士:「真理は真理であり、全てのものが真理であり、真理はひとつでしかない。


その石にも、花にも、君にも、空や風、宇宙、全てから真理がわかるようになっているんだ。


このドッペルゲンガーという現象もまたしかり…

自分にそっくりな人物とは、自分の影…

反物質としたら…

その二人が出会い、お互いが元の〝ひとつ″に戻ろうとしたら?


パビ:「消滅…?

元の無に戻る…。

反物質と同じ事が起こるのですね。」


博士:「このドッペルゲンガーと反物質は、

我々が、どうしてこの世界にいるのか…

そのヒントを教えてくれているのだ。」


パビ:「しかし…反物質とドッペルゲンガーが繋がっているなんて!

誰もそんな事思いつかないですよ!


でも?でもですよ!

その仮説が正しければ、私達が存在するということは、片割れの自分が必ず存在しなければ!存在出来ないという事じゃないですか!


その!もう一人の私は!どこにいるんですか!」


博士:「パビ…それは私もまだわからないんだ。

ただ、その辺にいてもらっては困るな。

おそらく、そんな身近に存在するようであれば、この世界は成り立たないだろう。」


パビ:「成り立たない?」


博士:「あぁ。

この世界で存在を開始した瞬間、そのもう一人の私は存在している。

でも、そこら辺にいるとしたらどうなると思うかね?」


パビ:「二人が出会えば、消滅する…

そうか!

そこら辺にいるようじゃ、泡のようにすぐに消えてしまうんだ!


それじゃ、この世界が成り立たないんだ!」


博士:「そうだ。

するとこうなる。

我々の反物質である、反我々は、我々が簡単に出会えるような世界にはいないが、出会えなくはない世界にいる。


この分離の仕方に、この世界の秘密が内在していると思うのだ。」


パビ:「ちょっと待ってください!

すると…!

eoの身体に現れたあの黒い影は何なんでしょうか?


博士…


彼のメモリーを見てみてはどうでしょうか?

私達があの戦場に着くまでに〝何″が起こったのか、それがヒントになるかもしれません!」


博士:「君の意見のとおり、私もそうしようとしたんだよ。

しかし、余りにもエネルギーが強大すぎて、映像になっていないんだ…


これを見たまえ…」


博士は、その映像をパビに見せた。


eo:「トカゲが…ああ…ぁ…

やめろー!」


博士:「映像として残っているのは、ここまでなんだよ。


あとは、凄まじいノイズしか残っていない。」


パビ:「でも、不思議な事がこの映像を見てもわかりますよ。


あれだけの数の両軍の兵士たちが、〝映っていた″のに…


私達が見た光景が逆に信じられないくらいの数ですよ!


それが、一人もいなかった…


私達が着いたあの場所には…


eoしか残っていなかった。」


博士:「とにかく、このメモリーは、抜き取っておこう。

この得体の知れない現象が起こるのを、防がなくてはならない。

eoの何らかの思考が〝キッカケ″となったのだろう。

その近辺のメモリーは、私が預かることにする。」


パビ:「は…はか…せ?」


博士:「どうした?

顔が真っ青じゃないか!

パビ!どうしたんだ!」


パビ:「い…eoが、いません…。」


博士:「な?何だって!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る