Doppelgänger:ドッペルゲンガー

第42話〝あの時から″

ドグ:「…うぅっ…、…。」

ガル:「ド！ドグさん！」

ベーア:「よかった！気がつかれたようですね。

本当によかった。」

ドグ:「…ん？ここは？」

ガル:「まだ起き上がらないほうがいいですよ。

無理しないでください…

ここは、ベーアさんの家ですよ。」

ドグ:「あぁ…そうだったな…。

？

まさか、気を失っていたのか？」

ガル:「そうです。

心配しましたよ。

突然の事で、本当にパニックになりましたが…とにかくよかった…」

ドグ:「私はいったい？

どうしたというのだ？」

ベーア:「私が悪いのです…

私が、闇の世界の話を出したとたんに、

突然意味不明な言葉を発して、倒れられました。

失礼ですが、あなたにどんな過去があったのですか？」

ドグ:「そ…そうか…

申し訳ない…

ベーアさん、あなたのせいではない。

これは、私自身の問題なのだ。

私の弱さのね。

この話はもうよそう。

君たちを巻き込みたくないんだ。」

ガル:「巻き込みたくない？

それってどういうことなんですか！

あの女の子と、何か関係があるんじゃないですか？」

ドグ:「女の子？」

ベーア:「ドグさん。

あなたが気を失っている間に、私たちは不思議な体験をしたんですよ。

それは、もうすでに、私たちはあなたの事情に、巻き込まれてしまっているんだと思います。

よかったら聞かせて下さい。

あなたのことを。」

ガル:「そうですよ！

もう…何が何だかさっぱりだけど、とにかく僕も、今起きていることが何なのか知りたいんです！

頭の中が整理出来ない…

それに、わからないほど不安なことはないですよ。」

ドグ:「その不思議な体験のことを聞かせてもらえないか？

何があったのだ？」

ベーア:「私が説明しましょう。

ドグさんが倒れられた後…」

そして、ベーアは、女の子の声によって、太陽の光を浴びさせることで、意識を取り戻した経緯を説明した。

ドグ:「そうか…

女の子の声か…。」

ガル:「何か心当たりがあるんですね！」

ドグ:「いや…

私の〝感″によると、その女の子には、一度だけ会ったことがあると思う。

そして…」

ベーア:「そして？」

ドグ:「私の中にいるんだと思う。」

ガル:「えっ？」

ベーア:「な…？

ドグさんの中？」

ガル:「なんか訳が分からなくなってきましたよ！

ドグさんの中に？

女の子がいるんですか？！」

ドグ:「確証はないんだ。

私の〝感″だよ。

もしかしたら…あの時に会って消えた女の子じゃないかとふと思ったのだ。」

ベーア:「あの時？」

ドグ:「あぁ…

私はね。

あの時から、時が止まってしまっているんだ。」

ガル:「時が？」