第33話 〝月で起こった戦争″
ベーア:「あの頃の私は、ある組織に脅威を抱いていました。」
ガル:「ある組織?」
ベーア:「成功者たちの紹介で知った裏の組織のような存在です。
決して姿を見せないんです。」
ドグ:「私が昔、あなたの会社に訪れた時には、その組織との交友はあったのですか?」
ベーア:「はい…
実はあなたの事はすごく覚えていました。
私たちは、当時、大きな事業を秘密裏に進めていたんです。」
ドグ:「やはり。」
ベーア:「すみません…
その事業を展開するにあたり、その組織の協力が、大きな鍵を担っていたんです。
不思議と彼らに問題を相談すれば何事もなかったかのように円滑に進むようになるんです。
なのに謝礼は不要。
その事業を成功することが我々の報酬になるのだと言って、お金は一切受け取らなかったんです。
また、他の人の話を聞いてゾッとしたこともありました。」
ガル:「何です?」
ベーア:「彼らに相談せずに事業が失敗した時です。
携わったメンバー全員が消えた…
そういう噂を耳にしました。」
ドグ:「私は別の事件から、ある被害者があなたの元社員だったことから、お伺いした。
ただ、本題を切り出す前に、その事件の犯人を逮捕したとの連絡が入り、帰ることになったのだ。
その時には、スークさんとだけ会ったんだ。
ベーアさん。
あなたではなかった。」
ベーア:「あの時は、別室で見ていました。
あなたが来たことをその組織に連絡したのは私なんです。」
ドグ:「彼らは何と言っていたのですか?」
ベーア:「君たちは、事業の事だけに専念すればいい。
何も心配する必要はない。
じきにその刑事は、帰ることになる。
そう言っていました。
すると、その通りになった…」
ドグ:「私は彼らを探していたんだ。
あなたたちではない。
彼らは、どの時代にも裏で存在し、世界をコントロールしてきたのだ。」
ベーア:「知っていたのですか?」
ドグ:「私は彼らを見つけるまで捜索をやめない。
だが…どうしたことか、ここ数年、彼らの足取りが忽然と消えたんだ。」
ガル:「あの…何の話をされているのか…さっぱりなんですが!」
ベーア:「おそらく…月で起こった戦争の噂を聞いたことがあるんですが、その時期からではないかと思います。
私は元キャッチャーです。
相手のクセや傾向を分析することに長けているんです。
彼らが動く時は、必ず満月の夜なんです。」
ドグ:「満月の夜!
やはり!
だが、月で起こった戦争とは?
そんな事、誰も知らないんじゃないか?
そんなニュースなど聞いた事もない!」
ベーア:「ニュースなんて、その組織にとって不都合な事は一切流しませんよ。
ニュースは、彼らが全てコントロールしていましたから。」
ガル:「なんだか怖いですよ!
何なんですかさっきから!
この世界の話をしてるんですか?
作り話をしてるんじゃないんですか?」
ドグ:「作り話は、得てして現実化する。」
ベーア:「そう。
これは現実の世界の話ですよ。
私たちは、少しずつその組織との関わりについて恐怖を抱き始めていました。
そうこうしているうちに、世界がめまぐるしく変わりだしたのです。
そのきっかけが、その月での戦争ではとの噂なんです。
そこには、世界最強の〝彼″が関わっているのではないかと。
各国は、その噂を聞き、〝彼″を自国に取り込もうと動き出した。
それが世界大戦になりそうな状況まで悪化した時、〝彼女″が、現れたのです。」
ドグ:「あなたは、相当この世界の裏側に精通していたのですね。
そんな情報は、私も耳にした事がない。
月での戦争だなんて…」
ベーア:「月の裏側で起こっていたから、地球では気づかなかったのだと思います。
ただ、その結果で彼らは対応を変えたのだと思います。」
ドグ:「そして、あなたは、スークさんの死はその組織が関連しているのではとの不安を持っている。
そうですね?」
ベーア:「そうです…
怖い…
彼らが怖いんです…」
ガル:「そうとわかれば、〝彼女″に報告すればいいじゃないですか?
〝彼女″に、守ってもらえればいい!」
ドグ:「その〝彼女″もその組織との関わりがあるとしたら…
ベーアさん、あなたはそう思っている。」
ガル:「なんですって!」
ベーア:「そうなんです…
一見〝彼女″が現れた事で世界は、救われたように見え、そして…裏の世界でも、忽然と我々をコントロールしていた組織は、消え失せた…
そして…〝彼女″は、益々この世界での影響力を高めている。
ある意味…〝彼女″の思いのままに、世界をコントロールしているんですよ!
この状況は、彼らがこの世界を裏からコントロールしてきた状況そのものなんだ!
しかも、何故か爬虫類たちを隔離するという暴挙まで行っている!
でも…その理由は、一切説明がないんだ!」
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