第4話 7月24日

 翌日も状況に変化はなかった。ニュースも取り上げられる時間が、目に見えて減っていた。

 警察の捜査が難航しているのだろう。……それは、僕らも同じだった。

 この状況をなんとか打破しようと、僕らは図書館内を駆けずり回った。

 僕とカッちゃんは新聞各紙に目を通し、今回の殺人事件の記事に何か新しい情報がないか調べていた。

 そこに、パソコンでニュースチェックをしていた秀彦がやってきた。

「ちょっと面白いものを見つけたんだけど」

 秀彦はそう言って、僕とカッちゃんをパソコンのところへ連れてきた。

 画面には、何かの記事が表示されている。

「数年前にも、月野市で殺人事件があったみたいなんだ」

 秀彦は得意げに話す。

「これが、その事件?聞いたことないよなぁ」

 カッちゃんは言いながら、パソコンの画面を覗き込む。僕もそれに続く。

 もし、聞いたことがあったとしても、よほどのことがなければ覚えていないだろう。僕らが幼稚園生の頃の事件だったのだから。

 記事の内容はこうだった。

 三十代のサラリーマン男性、六十代の女性、二十代女性主婦、十代の男性フリーターが被害にあった無差別殺人事件は、長岡直人ながおかなおと容疑者の逮捕で一応の解決を見た。しかし、まだ、四十代女性と五十代男性の行方が分かっていない。この二人も長岡容疑者の犠牲になったと見て、警察は捜査を進めている。

「へぇ、こんな事件があったんだ。……とりあえず、この事件を調べてみようか?」

 カッちゃんの提案に、僕らは頷いた。

 僕とカッちゃんは、再び新聞をチェックする。ただし、今回は数年前の図書館に保管されている古い新聞で、さっきの事件が掲載されているかだ。

 およそ三十分ほどで、さっきの事件についての記事を見つけた。

 それからが大変だった。

 事件の起きた日付から後の新聞に隅々まで目を通し、目的の記事を探していく。これがなかなか骨の折れる作業だった。

 その日はそれだけで終わってしまった。しかし、全ての記事を見つけることはできなかった。

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