第2話 7月21日

 僕らは、図書館に集合することにしていた。

 図書館入り口の側の駐輪場に自転車を停める。どうやら僕が一番乗りらしい。

「あれっ、日下くさか君?」

突然、背後から声を掛けられた。振り返るとそこには、同じクラスの遠山あかりが立っていた。

「遠山さん、おはよう」

 遠山あかりは、普段はおとなしく目立つタイプではない。

 それなのに、どうして学校以外でクラスメイトに会うとドキッとするのだろう。

「おはよう、日下君も読書感想文の本を探しに来たの?」

「ううん、僕は自由研究のテーマ探し」

「そうなんだ。テーマ決まったら教えてね」

「うん、じゃあ、読書感想文を書くのに面白い本があったら教えてね」

 僕がそういうと、二人でアハハと笑う。

「じゃあね」

「うん、またね」

 そうして、遠山あかりは図書館に入っていった。

 そういえば、彼女は去年、読書感想文で賞を貰っていた。それで、昼休みの放送で発表したことがあった。きっと今年も気合が入っているのだろう。

「僕も頑張るぞ!」

 一人、気合を入れる。遠山あかりに自慢できるようなしっかりしたテーマを決めなければ!

 カッちゃんと秀彦がやってくると、早速、自由研究のテーマ探しを始める。

 僕と秀彦で気になる本を集めていく。それをカッちゃんが見て決めるのだ。決定権は、カッちゃんにあった。

 僕と秀彦が集めた本、中には「自由研究のやり方」なんて本もあったのだが、あっさりと却下されてしまった。

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