第53話 ゴミはゴミでも破壊系のゴミだった。

 気づいたとき、俺はベッドの上で横になっていた。


「ご主人様、気づきましたか?」


 ソラの目にクマができている。


「なにがあったんだ?」


 俺は、ソラに聞いてみた。

 するとソラが小さくうなずいた。

 そして、俺の記憶に無い俺の記録を話してくれた。




「なぁ?もう1発殴ってみろよ?

 お前の攻撃なんて――」


 ジルが、そこまで言った所で俺の拳はジルの顔に当たった。

 それと同時にジルの体が宙に吹き飛んだ。


「な……んだと……?」


 ジルは、そう言って俺の方を睨む。

 ジルが、反撃をしようと仕掛けるがジルの全ての攻撃を俺は防いだ。

 俺は、小さくつぶやいていたそうだ。


「俺は、ゴミ」


と……

 そして、再びジルを殴る。

 ジルの体がクレイジーに当たる。


「ジル!なに邪魔を――」


 クレイジーが、そこまで言ったとき。

 俺は問答無用でグレイシーに蹴りを入れたそうだ。

 するとそのクレイジーの体がヴィンの体に当たり……

 3人の視線が俺に移る。


「どこまでも邪魔なヤツだ」


 ヴィンがそう言って俺の方に銃を向ける。

 そして、銃を放つ。

 しかし、俺はその銃弾をたたき落とした。


「あは!ヴィン、鈍ってるんじゃないの?」


 クレイジーが、俺に向かって突進する。

 その動きは一瞬で、ソラの目には追いつけなかったそうだ。

 しかし、俺はそれよりも早く動きクレイジーの頭を地面にたたきつけた。

 クレイジーの頭が地面にたたきつけられる。


「バカが……

 突っ込むだけで殺せるのなら俺がとっくに倒している」


 ヴィンが、俺の頭に銃口を向けゼロ距離で銃を放とうとする。

 だけど、俺はそれよりもさらに速い動きでヴィンの顔に一撃浴びせた。

 ヴィンの体が宙を舞う。


「よくも乙女の顔に傷をつけてくれたわね!」


 そう言ったクレイジーの殺気は、よっぽど凄かったらしい。

 ソラは恐怖で動けなくなるくらいに……

 だけど、俺はその殺気など気に留めなかったそうだ。

 今度はクレイジーのあごに蹴りを入れたそうだ。

 そして、そのままかかとを振り上げてクレイジーにかかと落としを喰らわせる。


「殺す!殺す!ころ――」


 クレイジーが、何度もそう呟く。

 俺は、その時もずっと「俺はゴミ」と言っていたそうだ。

 続いてジルが攻撃を仕掛けてくる。


「この糞ゴミが!」


 ジルが、短剣を俺に向けて投げる。

 俺は、その短剣の刃の部分を素手で掴む。

 そして、再びゼロ距離で銃をうとうとしていたヴィンの顔をその短剣で切った。

 ヴィンの美しい顔に傷をつけた。

 ヴィンは自分の容姿にも自信を持っていた。

 それを俺程度の人間に傷つけられた。

 それは、ヴィンのプライドが許さなかった。


「お前に最も醜い死を与えてやろう」


 ヴィンの低い声がその場にいた全員が感じる。

 この辞典で玉藻さんや優心さんは恐怖で涙が溢れたらしい。

 あのバルドさんでも鳥肌が立つくらいに……

 ヴィンが、俺に向けて銃を連射した。

 すると俺は小石を軽く蹴った。

 ヴィンさんは、それを避けた。

 しかし、その小石が地面に着いた時……

 周りにいたオークたちが一瞬で消滅した。


「ブラックホールじゃと?」


 軍鶏爺が、そう呟いていたそうだ。

 そう、俺の適性武器はゴミ。

 ゴミだと思ったモノを最強の武器に変える。

 そう、俺はゴミはゴミでも破壊系のゴミだったんだ。

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