第52話 塵も積もらなければ山にならない!

「ホント、お前ゴミだな?

 そんな攻撃で俺を倒す気か?」


 ジルの顔に無言で何度も俺は攻撃する。


「塵も積もれば山となるって言葉知ってる?」


「それがどうした?」


「塵は、積もれば山になる!

 塵は、積まなければ山にならない!

 だから、俺は積むのだ!

 山となるダメージをな!」


「黙って殴られるとでも思ってるのか?

 バカか?」


 ジルは、俺の目を見ながら蹴りを俺に喰らわせた。

 俺の身体は、宙を舞う。

 そして、何度も蹴り上げる。

 ダメージはない。

 だが、俺の身体は宙を舞う。


「はは。

 なぜ宙に浮くかわからないって顔だな?

 教えてやろうか?」


 ジルが、得意気に笑う。


「なんでだ?」


 それを素直に聞く俺はバカだと思った。


「ダメージを与えれなくても、体重をかけて蹴ればこうやって吹き飛ばすことは出来るしこのまま首を締めることも出来る」


 ジルは、そう言って俺の首に手を当てて締め付ける。


「……くそ」


 なんだ?身体が動かない。


「動けないだろう?

 答えは簡単だ。

 俺は、お前に瞳術をかけた。

 身体が動けなくなる瞳術をな!」


 ジルが、笑う。


「今度は、息ができなくなる瞳術を掛けてやろうか?

 このゴミ助が!」


 ジル……こいつは、ドSだな。

 ジルは、楽しそうに笑う。


「お前はゴミだ!ゴミはゴミなりにゴミのように生きゴミのように死ね!

 なぁ?ゴミよ。俺にもう1発殴りを入れてみるか?」


 ゴミ……?

 俺は、ゴミ……生きている価値もない。

 ゴミ……



 俺は、走馬灯のように過去を思い出す。



  教室の隅の席。

  それが、俺の席だった。

  周りには、色んなゴミが捨てられていた。

  俺の席にはこう書かれていた。


 【ゴミは、ゴミ箱へ】


  俺は、椅子に仕方がなく座る。

  ねっちょりとした感触が、尻の下に感じる。

  生ごみか……

  勘弁してくれ……



 嫌な思い出だ。

 嫌なことを思い出した。

 俺は、この世界でもゴミなのか……

 子供の頃、みたいにゴミ扱いか……

 そうか、ゴミか……

 俺は、ゴミ……


「どうした?昴だっけ?

 ゴミらしく死ぬ覚悟はできたか?

 ゴミ!ゴミ!ゴミ!」


 ジルの言葉が暗示のように俺の心を刺激する。


「なぁ?もう1発殴ってみろよ?

 お前の攻撃なんて――」


 ジルが、そこまで言いかけたことまでは覚えている。

 俺の記憶は、そこで途切れた。

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