第51話 俺の心は熱く怒りに満ちている。

「なにがどうなってるんだ?」


 俺には、まだわからなかった。

 この展開についていけない。


「さぁな?

 知る前に死ねよ!」


 ジルは、何度も俺に向けて刀で叩く。


「その程度の攻撃効くかよ!」


 俺は、そう言ってジルの顔を殴る。

 ペタ。


「なんだそれ?

 今のがまさか本気?

 お前、やっぱ雑魚だろ?

 ただの盾男だろ?」


 返す言葉もない。

 正直、俺も最近自分が盾男ではないのかと自覚していたところだ。


「……だったらどうする?」


「雑魚王決定だな」


 ジルが、そう言って笑い言葉を続ける。


「カイ!なにぼーっとしてるんだ!

 早くソラを倒せ!あれだぞ?あれだったら殺してもいいぞ?」


 ジルが、そう言って笑う。

 なんか腹が立つなコイツ。

 ソラはソラで驚いた顔をしていてカイはカイで戸惑っているようにも見えた。


「なんだ?カイ……

 俺の言うことが聞けないのか?」


 ジルの言葉にカイが、ピクリと反応する。


「カイ、カイ、カイ、カイ、カイ、カイ、カイ、カイ、カイ、カイ」


 ジルが、地団駄を踏む。

 そして、さらに強い口調でこう言った。


「カイ!カイ!カイ!カイ!カイ!カイ!カイ!カイ!カイ!カイ!」


 カイは、手を震わせて水の魔法をソラに向けて放つ。

 それを片手で僕は防ぐ。

 この身体の使い方なんとなくだけどわかってきた。

 俺の身体は、本当に盾男。

 ある程度の攻撃なら髪の毛一本でも防ぐことが出来る。

 俺の防御力はそれだけ高いんだ。

 防御力に関しては、レベルアップしている。

 前よりも高く、誰よりも硬く。

 俺は、確実に強くなっている。

 相変わらず攻撃力はないけど……

 もしかしたら、この間の奇跡が起きるかもと思いもう一度ジルを殴った。


「痒いところはありやせんか?」


 身体で感じるこの熱い何か……

 そう、俺は……

 俺の心は、熱く怒りに満ちている。

 これまでない以上に俺は怒っている。


「いいじゃん。

 その殺気に満ちた目……」


 俺は、もう1発ジルの顔を殴った。


「痒いところはありやせんか?」


「はぁ?テメェの攻撃なんざ痛くも痒くもないんだよ!」


 ジルは、そう言って刀を振り下ろす。


「そのなまくら刀。

 痛くも痒くもないぞ。

 いや、ちょっとくすぐったいかもな!」


 俺は、そう言って地面を蹴り砂をジルの目にかける。

 ジルは、一瞬目を閉じる。

 その瞬間を俺は逃さず思いっきり蹴る。

 しかし、俺の攻撃でのダメージなんて少しもない様子だった。

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