第50話 余のことは親しみを込めて神さまと呼ぶことを許可するぞ

「ひゃは!

 貴方ってとってもクレイジーね!

 でも、私はもっともっとクレイジーなの!」


 クレイジーが、そう言って歌う。


「この声、嫌いだ!」


 亜金が、そう言ってクレイジーに突っ込む。


「また、アンタなの?

 私に惚れたのかしら?」


 クレイジーが、そう言うと亜金が怒鳴る。


「誰が?誰にだ?」


「亜金君、様子が……」


 俺が、そう言うと玉藻さんが答える。


「亜金は、一定以上ストレスが溜まると裏亜金が出るんだ」


「裏亜金?」


 俺は首を傾げる。


「亜金の鬼畜王モードだ」


 バルドさんが、小さく笑う。


「きちくおう?」


 聞きなれない言葉に俺は戸惑う。


「まぁ、クレイジーは、プレゲトンを持った亜金に任せようぞ」


 聞き覚えのない声に俺はその声の主の方を見る。


「誰?」


 俺の思った言葉が口に出る。


「余の名前か?

 余の名前は、大神 神(おおがみ しん)。

 余のことは親しみを込めてかみさまと呼ぶことを許可するぞ」


 なんだろう。

 嫌味を言われているはずなのに嫌味に聞こえない。

 だから、すんなりと言葉が出た。


「かみさま?」


「そうだ。

 主の名前は、小野寺 昴だな?

 万桜から、話は聞いているぞ」


「う、うん」


 俺が、うなずくと俺とかみさまとの間に1発の銃弾が通り抜ける。


「俺を目の前にしてお喋りとは余裕だな」


 ヴィンが、そう言って俺を睨む。


「ヴィンか……

 余が相手になってやろう」


 かみさまが、そう言って一瞬でヴィンの背後に立つ。

 ヴィンも素早い動きで間を空ける。

 かみさまが、手に魔力を籠めているのが魔力の低い俺にでもわかった。

 俺の目ではふたりの動きが全く見えない。

 そう、次元が違いすぎるんだ。


「ソラ!貴女の相手は私よ……」


 カイが、そう言ってソラの前に立つ。


「カイ?」


「貴女は、私と一緒に……」


 カイは、そこまで言いかけるとジルがカイの首輪を引っ張った。


「カイ。俺の許可無く会話をするな!」


 ジルが、俺の方を見る。


「……なんだ?」


「お前は、俺が殺す!」


 ジルが、そう言って刀を召喚して俺に向けて突撃してきた。

 俺は、それを手で受け止める。

 じんわりと痛いけど、俺の防御力は伊達じゃない。

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